おいしそうな「フォント」。高知県高知市 ーSUSTAINABLE DESIGN
2019.09.23 UP

おいしそうな「フォント」。高知県高知市 ーSUSTAINABLE DESIGN

LOCAL

『街路市』は楽しい。1週間に一度だけ、というのもくすぐられるし、旬の青果は自然光の下、とりわけみずみずしく見える。お釣りをもらうまでのちょっとした会話に、「あれを買うならこの店」と自分の中で決まってくることに、少し誇らしい気持ちにすらなる。

 ほぼ毎日、高知市内のどこかで開かれている街路市。最も規模の大きい日曜市は、全長約1300メートル、400店以上が軒を連ねる。歩き眺めていて、特に目を引かれるのは何をいくらで売っているのかを伝える商品札。手書きが多いのだが、文字のクセ、太さ、間隔のとり方から、店主の性格や姿勢、いろいろなことを想像する。もはや「フォント」と呼びたくなる統一感を持った文字の店もあり、それがアナログならではの不完全さを帯びていて、愛おしい。ここでは買い物は、単なるモノとお金との交換ではない。さっき芋天を食べ歩きしたのに、今度はうどんに並んでいる。フォントがあまりにも、おいしそうだったから。

記事は雑誌ソトコト2019年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

photograph & text by Mitsu Maeda

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前田 実津

まえだ・みつ
マレーシア、東京での生活を経て、高知市にUターン移住。フリーのフォトグラファーとして活動するかたわら生活の細部に目を向け、ドキュメンタリー作品を制作している。