あなたの「役どころ」が、ここにある。日替わり店長、やってみませんか?
2019.09.26 UP

あなたの「役どころ」が、ここにある。日替わり店長、やってみませんか?

WORK

東京・千代田区有楽町にあるソーシャルバー『PORTO』が、日替わり店長を募集中!
月に1回の担当だから、店長初心者も気軽に始められそうだ。
やりがいをもって務める6人の店長と共同オーナーに、店長の「役どころ」を聞きました。

”点線“の関係を”実線“に。求めるのはこんな店長!

 日替わり店長が人と人とのつながりをつくっている『PORTO』。運営しているのは、共同オーナーの嶋田匠さんと喜屋武悠生さんだ。3年前、求人メディアを運営する会社とその取引先となる代理店の社員という関係で知り合い、「互いになんとなく気が合った」らしく、すぐ飲みに行って友達になった。「一緒に何かやりたいね」と話すなかで、「自分たちの場を持ちたい」という共通の目標が見つかった。

嶋田匠さん(26歳/右)はコンサルティング会社『コノハコ』を経営し、喜屋武悠生さん(31歳/左)は自社スペースの運営を行う『ファイアープレイス』に携わりながら『PORTO』の共同オーナー兼店長を務めている。
嶋田匠さん(26歳/右)はコンサルティング会社『コノハコ』を経営し、喜屋武悠生さん(31歳/左)は自社スペースの運営を行う『ファイアープレイス』に携わりながら『PORTO』の共同オーナー兼店長を務めている。

 「ただ、個人が場を持つには多くのハードルがあります。資金、設備、時間のハードル。そこで、僕たちも含めた多くの人が気軽に自分の場を持てるように、みんなでシェアする場をつくることに。こうして、月一で入ってくれる日替わり店長を募ることになったのです」と二人は言う。以前からの仲間や新たに出会った人たちに声をかけ、「やりたい!」と手を挙げた店長15人ほどでスタートすることに。店舗となる物件は知り合いのつてで紹介してもらい、有楽町で見つけた。「広さは8畳以下、L字型のカウンターのある店を探しました。狭いからこそ、店長やお客さん同士の距離が近くなるし、カウンターの端と端の席のお客さんも頑張れば会話ができますし」と、『PORTO』のコンセプトに合った店舗を探した。

『PORTO』が入るビル。階段で4階へどうぞ。
『PORTO』が入るビル。階段で4階へどうぞ。

 そうして、2018年6月にオープンした『PORTO』。「PORTO」とは、イタリア語で「港」。世の中に広がる別々の海を旅してきた人たちが、灯台の明かりを頼りに港に帰ってきて、そのカウンターで出会い、つながり、新しい生き方や価値観が生まれる。店名にはそんな思いが込められている。「今は、SNSで人のつながりが保存できます。ただ、保存はされているけど、”点線“になっている関係も多いですよね。それをリアルに会うことで”実線“に戻せる場にしたいのです」と嶋田さんは言う。さらに、「会社みたいな、わかりやすいバリューを出すことが求められるコミュニティで、居場所が得られない人って少なくないと思うんです。僕も新人時代や異動直後にバリューが出せず、”役どころ“が得られない時期がありました」と、自身の会社員時代を振り返る。「でも、バリューを出さなくても受け入れてもらえるりどころがあれば、居場所を感じられ、挑戦する力も湧きます。『PORTO』がそんな場になれば」。

JR高架線沿いの繁華街にある『PORTO』。窓からは新幹線が。
JR高架線沿いの繁華街にある『PORTO』。窓からは新幹線が。

 店長に向いているのは、「人が好きな人。人を肴にお酒を飲む店ですから」と喜屋武さんは笑顔で話す。嶋田さんは、「”他己“紹介が上手な人。お客さんの魅力を別のお客さんにうまく伝えられる人は店長に向いています。一般的な物差しで人を定義づけずに、中身を理解しようとする姿勢で」と、店長に求めることを語った。ちなみに、報酬は売り上げによって変動する。金・土曜は2万5000円、月〜木・日曜は1万5000円という基準額を上回ったら売り上げの20パーセント、下回ったら15パーセントが支払われる。

お酒もいろいろ置いている。
お酒もいろいろ置いている。

 そして今、『PORTO』は拠点を増やそうとしている。「店長希望者も多いので」と嶋田さん。「活用できていない空きスペースがあり、『ここで、やってみる?』と応援してくださる都内の大家さんも同時に探しています。ぜひ!」と呼びかけた。

 会社での役どころは、顧客やマーケットありき。でも、『PORTO』での役どころは、自分ありきで決まる。自分らしさを生かしながら、店長という役どころを月一で楽しんでみよう!

毎回1回、『PORTO』のカウンターに立つ日替わり店長たち!

自分の価値観を、表現する場として役立ちます!

 大竹悠介さん(29歳) WEBプロデューサー・編集・ライター

大竹悠介さん

 僕は埼玉県所沢市出身で、東京の映画会社に勤めながら、複業として『西埼玉暮らしの学校』というローカルメディア兼ソーシャル系大学を立ち上げ、編集・ライターも行っています。『西埼玉暮らしの学校』を展開するにあたって、行政や地元の商店主、デザイナーに協力を求めるのですが、その際に、自分がどういう人間なのかを自己紹介します。「『PORTO』で店長をやっています」と言うと、「今度行くよ」と来てくれる人も。そこで、大竹悠介がどういうセンスを持った人間なのかを話し、わかってもらうのです。組織の肩書きでなく、個人として評価されるのが理想です。大竹悠介というブランドがあるとしたら、それを『PORTO』で表現しているわけです。

 所沢のコーヒー豆店で手伝いもしています。コーヒーが大好きなので。その店の豆を挽いたコーヒーを『PORTO』で出しています。コーヒーを淹れる道具一式は僕の私物で、店長をやるたびに運び込んでいます。大荷物です(笑)。

 僕にとって『PORTO』は自分を表現する場であると同時に、自分が自分に近づくための場でもあります。カウンターに立って、地元の仲間や素敵な価値観を持ったお客さんに囲まれていると、自分が自分でいられる気がします。

「コーヒーを出すのも僕の自己表現」と言う大竹さん。お酒を飲んだ「シメ」として注文されることが多いとか。
「コーヒーを出すのも僕の自己表現」と言う大竹さん。お酒を飲んだ「シメ」として注文されることが多いとか。

3つの仕事を掛け持ちして、人との接し方が変わりました!

 鎌田祐大さん(30歳) 美容師・料理人

蒲田祐大さん

 僕は本業をつくらないようにしています。埼玉県春日部市で美容室『5 1/4(ファイブ&クォーター)』を経営しながら、お米広報集団『米騒動』でキッチンカーなどを使った飲食業にも携わり、そして、『PORTO』の店長も務めています。3つの仕事を掛け持ちするおもしろさは、それぞれの職場で出会える人が違うこと。新しいコミュニティや人と人との掛け算が生まれることによって、僕自身も変わりました。人との考え方の違いを受け入れられるようになったし、その人から何かを学びたいという気持ちで関わることができるようになったのです。さらには、自分の弱点もわかるようになり、弱いところはけている人に頼めばいいという謙虚な姿勢に。単に年を取ったからかもしれませんが(笑)。

 そんな変化もあってか、これまでに3回、「ゲスト店長」とコラボしてカウンターに立ちました。「一緒に店長しない?」とお客さんを誘ったのです。僕のお客さんとゲスト店長のお客さんが交じり合い、化学反応が起こるのが楽しいです。実際、バーを経営している僕の友人と仲よくなったゲスト店長が彼の店を訪ね、そこで就職が決まったということもありました。すごいでしょ?これからも何が起こるか楽しみです。

『米騒動』で開発した、肉と米を混ぜてエスニックな味に仕上げた「お米ソーセージ」をメニューとして提供したりも。
『米騒動』で開発した、肉と米を混ぜてエスニックな味に仕上げた「お米ソーセージ」をメニューとして提供したりも。

長野と東京の2拠点生活。もちろん、店長も続けます!

 山下実紗さん(25歳) 『○と編集社』理事

山下実紗さん

 独立行政法人を退職し、長野県・辰野町に設立された『○と編集社』という企画とデザインと建築で地域を再編集する会社で働くことにしています。東京でも仕事を探し、長野と東京の2拠点生活に。『PORTO』の店長も今までどおり『スナック茶の間』という屋号で営業しますよ!

 店長をする前、カフェをしたいと思っていましたが、会社もあるし、挑戦できませんでした。でも、あるイベントでオーナーの嶋田さんと出会い、『PORTO』に来てみたら、すごい盛り上がりに驚きました。すぐに、「私にも店長させてください!」とお願いしちゃいました。

 これまでに11回、カウンターに立ち、お客さんともつながることができ、やる気と自信が湧きました。Facebookで『スナック茶の間』のクローズドのページを設けていますが、それを見てくれた辰野のメンバーが「『○と編集社』に参画しないか」と声をかけてくれたのです。店長を務めたことで、人生が変わりましたね。

 ただ私、よく帰宅の終電を逃すんです(苦笑)。『スナック茶の間』は夜の11時に閉店ですが、楽しいじゃないですか、しゃべっていると。タクシー代は痛い出費でしたが、「楽しかったから、いいや」って。でも、気をつけます(笑)。

「ただいま」「おかえり」と言い合えるようなアットホームな場にしたいと、屋号を『スナック茶の間』に。
「ただいま」「おかえり」と言い合えるようなアットホームな場にしたいと、屋号を『スナック茶の間』に。

「コラボナイト」がきっかけで、店の外でもコラボが生まれる!

 大庭 周さん(23歳) メーカー勤務

大庭 周さん

 これまで4回、カウンターに立ちました。毎回、「コラボナイト」と銘打って、ゲスト店長を迎えてコラボしています。焼酎に詳しいゲストとコラボし、みんなで焼酎を飲みながら故郷について話し合ったり、愛について探求されているゲストを招いて生き方について語り合ったり。そんなふうに、「人生」にフォーカスした会を催しています。店長の僕がコラボするからか、お客さん同士のコラボも生まれることがあります。映画が好きな女性客が、たまたま隣の席に座っていた女性客と意気投合して、映画を鑑賞し、その後に参加者同士で感想を話したり、意見交換するイベントを一緒に開催したり。後でそれを聞き、とてもうれしくなりました。

 僕の店には一見さんも多く来られます。場の雰囲気に臆さないよう気軽に話しかけたり、ほかのお客さんと話題をつなげたり、店長として皆さんが打ち解けられるよう心がけています。そんな姿勢が、自身の営業の仕事にも影響しています。仕事上の人間関係はビジネスライクになりがちですが、一歩踏み込んで、プライベートの話題をもちかけ、関係性を深められるようになってきました。『PORTO』の店長を経験したことで、本業での姿勢も変わりました。

「知らない人同士が交じり合い、人生が豊かになっていくのをカウンターから見るのが楽しいです」と話す大庭さん。
「知らない人同士が交じり合い、人生が豊かになっていくのをカウンターから見るのが楽しいです」と話す大庭さん。

競合会社の営業社員と、交流会を開いたことも!

 木村 圭さん(27歳) 人材コンサルティング会社勤務

木村 圭さん

 大人になると、日頃会う人は会社関係か仲のいい友達に限られてきます。時間もなく、新しい仲間やコミュニティがつくりづらくなるから。すると、自分の居心地のいいコミュニティだけに属するようになり、思考や行動がワンパターンになり、柔軟な発想が生まれにくくなるように思います。でも、『PORTO』のカウンターに立つと、普段は会ったり話したりしないような多様なお客さんが来られ、おもしろい話を聞かせてもらえるので大いに刺激を受けます。会話も意外な変化球が多く、それをキャッチして投げ返すことを繰り返すうちに、自分のなかで何かが変わるのを感じるのです。生き方の自由度が増すというか……。逆に、「自分はこのままでいい」と立ち位置を再確認できたりもします。

 一度、自社の営業社員と競合会社の営業社員で『PORTO』を貸し切り、7人対7人の交流会を開いたことがあります。ライバル同士ですから、最初は互いに様子見だったのですが、お酒が進むと話も弾み、互いの共通のお客さまについて、熱い議論に(笑)。ただ、最後は各自の仕事の向き合い方や工夫などを語り合い、互いに切磋琢磨しようと握手するに至りました。その日のつながりは今も続いて、能力を高め合っています。

「久しぶりの友達が来てくれたり、仲よくなったメンバーと一緒に旅行に出かけたこともあります」と木村さん。
「久しぶりの友達が来てくれたり、仲よくなったメンバーと一緒に旅行に出かけたこともあります」と木村さん。

「おひとり様限定」で営業。「いいね!」を押す感覚で来て!

 高品美紀さん(29歳) IT系企業勤務

高品美紀さん

 私が店長の日は、「おひとり様限定」で営業しています。私自身、ひとりで飲みに行くことが多く、店で知り合った人と恋愛話や悩み相談をして楽しんでいます。仕事や経歴のしがらみもありませんし(笑)。そういう開放的な場があるのって、いいなと。もちろん、女性ひとりで飲みに行くのは勇気がいるでしょうし、常連客が固まって飲んでいたりすると所在なさを感じたりもします。そこで、「お客さん全員がおひとり様なら!」と考え、ひとり飲みの入門編みたいな場をつくることにしたのです。初回は20人ほどの「おひとり様」が来てくれました。

 店長としては、まだあまり上手につくれないお酒を出しながら、趣味が合いそうなお客さん同士を紹介して、つないだりしています。私自身がお客さんとつながることもよくあります。仕事関係の交流会で名刺交換したことがある女性が、その場ではとくに話をしなかったのですが、私が店長をしていることをFacebookで知って、「話してみたくて」と来店してくれて、今度、一緒にランチにも行く約束をしました。

 そんなふうに、Facebookで「いいね!」を押すような気軽な感じで遊びに来てください。おひとり様同士、つながりましょう!

自身の会社の人も来る。「社内ではほぼ仕事のつながりだけですが、ここでは一歩踏み込んで話せる」と高品さん(左)。
自身の会社の人も来る。「社内ではほぼ仕事のつながりだけですが、ここでは一歩踏み込んで話せる」と高品さん(左)。

 

記事は雑誌ソトコト2019年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

photographs by Hiroshi Takaoka
text by Kentaro Matsui

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