生活スタイルが一転!新生活で知らない自分に出会う。ー 田舎と田舎の二拠点生活7
2019.10.04 UP

生活スタイルが一転!新生活で知らない自分に出会う。ー 田舎と田舎の二拠点生活7

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 夫は社交的な性格だ。初対面の人とすぐに仲良くなる。たとえ、言語がわからない外国人とでも。そのこともあってか、幡豆の住まいには日々いろんな人が来る。

 アポなし訪問なんて日常茶飯事。フラッと立ち寄った人が、そのままご飯を食べ、泊まっていくこともある。夫と二人だったはずの夕食の席が、いつの間にか人が増えて宴会になることもよくある。

夫と二人で過ごせない新生活。

 しかも、夫はシェアハウスを運営しており、私たちも睡眠以外はシェアハウスで過ごす(寝室は中庭を挟んだ離れにある)。さらに、夫は※ウーファーに仕事を手伝ってもらっているので、睡眠時間以外はウーファーと一緒に過ごしている。よって、夫と二人で過ごすことは極めて少ない。「新婚」らしい甘い空気も最初からない(笑)。

 夫のライフスタイルを初めて聞いたときは二拠点生活のことよりも、「こんな私がうまくやれるんだろうか……」と心配になった。というのも、私は真逆な生活を小豆島で送っているからだ。1週間のうちで話した人は、家族と仕事関係の人だけ……、なんてことがよくある。友達と過ごすのも、出かけるのも好きだけど、ついつい仕事が気になって仕事詰めにしてしまう。

 初めてシェアハウスに行く時は不安しかなかった。しかしいざ扉を開くと、みんな想像以上に干渉なく過ごしていて、私のことなど誰も気に留めない。ご飯を一緒に食べることもあるけど、基本はみんな好きなタイミングに好きなものを食べている。一方、聞いていたとおりいろいろな人がアポなしでやってくるし、夫の隣にはウーファーがいる。夫と二人で過ごせるのは、食材を買い出す時くらい。戸惑った……。

幡豆と小豆島、どちらのライフスタイルもお気に入り。

 が、不思議なもので、すぐに慣れた。「ずっとシェアハウス暮らしがええわぁ」と本気で夫に伝えるほどになり、突然の来客にも喜ぶようになった。もし、ずっと夫と二人だけで過ごしていたら息が詰まることもあるだろうが、そんな心配もまったくない。おかげで幡豆の友達も増え、助け合いながら過ごしている。いつしか幡豆に行く目的が、「夫に会いに行く」から、「夫を含む幡豆のみんなに会いに行く」に変わっていた。私自身、こんなに交流が多い生活を好きになっていることに驚いている。

 一方、小豆島に帰ったら、相変わらず一人の時間が多い。それはそれで、私の仕事に集中できる、大好きな暮らし方であることに変わりはない。

 多くの人は、どちらかの生き方に絞られるなか、大好きな両方の過ごし方ができるなんて贅沢なことだ。おかげで「生き方」に幅ができ、知らない私に出会えた。

ある日の新米夫婦

 シェアハウスの近所には、夫の友達がたくさん住んでいる。美容師の友達がわざわざシェアハウスに髪を切りに来てくれるし、魚がたくさん獲れたと持ってきて、さばいて調理してご馳走してくれる。年末には一緒に餅つきをし、一緒に年越しをする。必要なものがあったり、人手が欲しいときも、一声かければパパッと解決する。お金以上に大切な人間関係がここにはある。

記事は雑誌ソトコト2018年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。