互いの両親に「二拠点生活」を理解してもらうには。ー 田舎と田舎の二拠点生活5
2019.10.02 UP

互いの両親に「二拠点生活」を理解してもらうには。ー 田舎と田舎の二拠点生活5

LOCAL

 「愛知と小豆島の二拠点生活をする」

 両親に初めて結婚の意思と今後の暮らしかたを伝えたら、両親揃ってしらけた顔で私の顔を見て「……。何言ってんのこの子」と信じてもらえなかった。

二拠点生活は夫の希望でもあるとわかると、私の両親は安心。

 しかし、婚約から約3か月後に、初めて夫が小豆島に来て両親に挨拶をすると一転。あっさり賛成して喜んだ。

 その変貌ぶりに、今度は私が呆然としていたら、「『二拠点生活』を賛成する男性がいるとは思えなかったのよ。あんたが行き来するって言っても、旦那が反対していたら島には滅多に帰れなくなるでしょう。もうお姉ちゃんは嫁いで島にいないし、あんたまでいなくなったら嫌だなぁって受け入れきれなかったのよ。とくにお父さんはね」と母がクスッと笑った。

 私は姉と2人姉妹。県外に嫁いだ姉は、滅多に島に帰ってこない。多くの女性は嫁いで家から離れるため、両親も昔から覚悟はしていたが、島で自営している私が島の外の人と結婚するとは夢にも思わなかった。仮に島の外の人と縁を持ったとしても、島に移住させると思っていたのだ。

 嫌だなぁと思っていた私の両親の気持ちが一転したのは、直接夫と両親が会い、きちんと説明したからだ。夫は「二拠点生活は僕も望んでいるんです」と理由を説明してくれた。そして、「もしよければ、将来愛知で住んでください」と夫から老後の提案を具体的にしたことも大きいと思う。

 「ええなぁ、愛知! 老後に住みたいわぁ。昔、お父さんの転勤で7年住んでたんよ。愛知好きやわぁ」と盛り上がった。

夫の両親は、ベテラン夫婦の視点から賛成。

 なお、愛知に住む夫の両親は、私たちの結婚スタイルに即賛成。婚約した翌日に、夫の両親に挨拶に行って結婚の意思と二拠点生活の説明をすると、「それはいいわね!そうそう。毎日一緒にいるより、別々にいる時があるほうがうまくいくものよ。お母さん賛成だわ!」と盛り上がった。以降、何一つ心配ごとや不満が出てこないし、お義父さんとも仲良くしている。

 話がスムーズだったのは、お互いの両親がサラリーマンだったので、家業の後継問題がなかったことも大きい。そして、将来を見越して二人の意思で「二拠点生活」を決め、よさをお互いに実感しているうえで、きちんと説明したことが、両親の理解に繋がった。

 こうして互いを尊重し合い、交流を重ねることで、片道7時間の距離を超え、家庭円満な暮らしができている。

ある日の新米夫婦

 私の両親は介護をしているので、父と母が一緒に家から離れることができない。それでも娘がどこに住んでいるのか知るために、入籍後すぐに母が一人で愛知に来た。おしゃれな料理や愛知名産の「ひつまぶし」を食べ、その日近所で行っていた「ハワイアン・フェスティバル」を楽しんだ。お義父さんも大歓迎。「二人のおかげで大好きな愛知に来れるんやから、ありがたいわぁ」と喜んでくれた。

記事は雑誌ソトコト2018年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続ける。2017年7月に、愛ある日の夫婦知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を造る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚し、2018年7月に娘を出産。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。