食べつなぐ、という未来。『食べつなぐレシピ』
2019.10.11 UP

食べつなぐ、という未来。『食べつなぐレシピ』

FOOD

 小さな畑からそっと顔を出す、土から生まれ、土に還る食べ物。飽食のなかにあって消費されず生ゴミになっていく食べ物。わたしたちは食べることが大好きなのに、どうしてもう少し食べるという行為に、繊細に、意識的になれないのだろう。“女性が元気になれる食堂”をテーマにヘルシーな餃子や中華料理を提供する「按田餃子」を東京都内に2店舗展開する按田優子さんの著書であるこの本には、わたしたちが本来立ち返るべき、食べることの喜び、収穫された食物を味わいきることの愛おしさに満ちあふれている。食べ物を食べきる、という当たり前のこと、余った食材の保存方法、路地に咲く野草を食べるという選択を含め、なるべく食べ物を買わない食生活のあり方。レシピ本の体裁を借りながら、ここに書かれていることはひとつの生活の思想であり、生きるための叡智だ。清貧のなかにある尊い喜び、そのなかにわたしたちの未来を見た。これはそんなことを感じる一冊だ。

『食べつなぐレシピ』
著者: 按田優子 出版社:家の光協会

記事は雑誌ソトコト2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

text by Daisuke Hayasaka

キーワード

早坂 大輔

はやさか・だいすけ
岩手県盛岡市の小さな本屋『BOOKNERD』の店主。書店経営のかたわら、出版も手掛ける。くどうれいん著『わたしを空腹にしないほうがいい』 (6刷目)引き続き好評発売中。