たこ、ふぐ、しらすの海の幸、アートに散策。関わって知る、「 あいちの離島 」の楽しさ。
2019.10.14 UP

たこ、ふぐ、しらすの海の幸、アートに散策。関わって知る、「 あいちの離島 」の楽しさ。

LOCAL

愛知県・三河湾沖の離島である佐久島・日間賀島・篠島。
どの島にも個性的な歴史と文化が根づいています。
1島に行くだけでも楽しい島。3島を巡ると違いもわかり、もっと楽しめます。
お気に入りの島をつくり、その島の「関係人口」になってみてください!

3島の魅力と個性を、島の内外に知らせたい。

 愛知県・知多半島の先の三河湾にある離島、佐久島・日間賀島・篠島。佐久島は愛知県西尾市の一色港(一色さかな広場)から高速船で約20分、日間賀島、篠島は南知多町の師崎港から約10分。名古屋市から日帰りで行けるアクセスのよさで、釣りや海の幸、海水浴、観光などで親しまれてきた。

 島同士の距離はきわめて近い。だが佐久島は西尾市、日間賀島と篠島は南知多町と、異なる行政母体であったり、島を囲む海流に違いがあることなどで、日常的な交流はほとんどないという。

 そんななか、それぞれの島の魅力を活かしながら、これからは互いに島同士でも協力し、「関係人口」づくりや、島ならではの文化の発信などで3島の振興を目指そうという動きが生まれている。

 まずは互いの島のよさを理解し合うことはもちろん、島外の人に関わってもらうきっかけをつくり、島の楽しさを味わってもらい、島のファンやサポーターになってもらおう、ということが目標だ。

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 3島にあまり交流がなかったことは、それぞれの島にとって悪いことでもなかった。互いの文化が混ざり合わず、各島の魅力や強みとなる「個性」が明確になっている。

 たとえば佐久島は、のどかで静かな島である一方、近年は島全体でアートプロジェクトを行う「アートの島」として知られるようにもなった。日間賀島は漁業と観光が強く結びつき、観光客向けのプログラムが豊富。篠島は昔ながらの漁師の島で、三重県の『伊勢神宮』とも深い関わりを持つ信仰と歴史の島だ。

 現在、各島ではIターン、Uターンで移住した「外の目線を持った人」や、観光や飲食業、漁業などでこれまでにない挑戦をする若い世代を中心に、島の外の人も関われる新しい取り組みのアイデアを生み出そうとしている。

私たちの島へようこそ!島それぞれの暮らしや文化、食を楽しんでください!

アートや猫との出合いも楽しい。

佐久島 Sakushima Island

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 島の人口は約220人。高齢化と過疎化対策として、2001年から「祭りとアート」をキーワードにしたイベントなどを重ねてきた。島内各地にアート作品が点在し、「アートの島」として知られるように。写真映えする作品も多い。「猫の島」としても知られ、昨年は映画のロケ地にもなった。海の幸も豊富で、大アサリが名物だ。

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島出身で、大アサリなどを素潜り漁で採る漁師・加藤英明さん(左)と妻の麻紀さん。『café OLEGALE』も経営。麻紀さんは「マルシェ『39の市』の企画・運営もしています。島内外のつながりづくりになれば」と話す。

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『Oyaoyacafe もんぺまるけ』を経営する神谷芝保さん。『39の市』を加藤麻紀さんと企画・運営。「次は10月27日に開催。ぜひご来島を!」。

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島の漁師の鈴木照久さん。「島の魅力はゆっくり過ごせるところ。『アートの島』として観光客との関わり方も探っています」。

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父の代からの食堂『鈴屋』を経営する鈴木章伸さんはUターン移住。「神楽太鼓など、知ってほしい文化が島にはたくさんあります」。 

おもてなしの心を感じてほしい。

日間賀島 Himakajima Island

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 3島の中でとくに観光に力を入れてきた島。漁師と観光業を営む島民が手を結び、観光プランや名物づくりに取り組んでいるのが特徴で、島全体に「お客様をもてなしたい」という気持ちが根づく。たこやとらふぐ、あなごなどが名物。3島の中ではもっとも小さく、一周約6キロ。ジョギング大会には全国から参加者が集まる。

とらふぐも名物。「てっさ」にして提供する飲食店や旅館も多い。ふぐ漁は10月から解禁。
とらふぐも名物。「てっさ」にして提供する飲食店や旅館も多い。ふぐ漁は10月から解禁。

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西港に近いダイニングカフェ『KITCHEN macha』の経営者・大西正和さん。「島生まれ、島育ち。料理人として修業した後に戻ってきました。島で捕れた新鮮な魚貝をカレーやアヒージョなど洋食スタイルで提供しています」。

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『民宿 たかせ』の女将・高瀬真生さん。結婚を機に名古屋市から移住。女将のかたわら、セラピストとしても働く。「島には新しい働き方、仕事を開拓する余地がまだまだあるので、関係人口づくりの中で探り、広げていければ」。

鯛を伊勢神宮に奉納する、食の島。

篠島 Shinojima Island

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 漁師の島で、捕れる魚はどれも逸品。とくに鯛は「おんべ鯛」として伊勢神宮から献上するよう命じられた歴史があり、現在でも伊勢神宮に出航する「おんべ鯛奉納祭り」が行われる。味、漁獲量ともに山口県下関市と並ぶとらふぐ、単一漁港としては日本一の漁獲量を誇るしらすなども有名。美しいビーチは夏、海水浴客でにぎわう。

左/榊原さんと新美さんが養殖する鮑。出荷できるまで数年かかる。中/生、天ぷら、釜揚げなどのしらす料理が楽しめる。右/おんべ鯛づくりなどの神事を取り仕切る神明神社。
左/榊原さんと新美さんが養殖する鮑。出荷できるまで数年かかる。中/生、天ぷら、釜揚げなどのしらす料理が楽しめる。右/おんべ鯛づくりなどの神事を取り仕切る神明神社。

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鮑の養殖(右上写真)に一から挑戦中の漁師・榊原浩介さん(右)と新美佳紀さん。「自分の子どもたちに、将来の島の産業の選択肢を増やしたくて2年前から始めました。島の新しい産業にしていきたいです。今は、従来の漁と両立させつつ、出荷ができるまで育てています」と榊原さん。

佐久島 × 日間賀島 × 篠島 3島座談会。

島暮らしで私たちが思うこと、3島が力を合わせればできること。

 大都市から日帰り圏内で、さまざまな楽しみ方ができる3島。1島だけではなく、「3島で力を合わせてできること」を考えてみようと、島の女性たちが集まり、アイデアを出し合いました。

日間賀島で行われた座談会には3島から10人以上の女性が参加した。これまで、互いの島の交流はほとんどなかったといい、顔を合わせて語り合う、貴重な機会となった。女性ならではの視点、実行力で、3島の合同企画も生まれそうだ。
日間賀島で行われた座談会には3島から10人以上の女性が参加した。これまで、互いの島の交流はほとんどなかったといい、顔を合わせて語り合う、貴重な機会となった。女性ならではの視点、実行力で、3島の合同企画も生まれそうだ。

3島の強みや課題を確認。合同運動会で交流を!

 距離は近いものの、あまり関わりのなかった3島。島の将来や関係人口づくりを考え、今後は連携を強くしていこうと8月末、3島の女性たちによる座談会が行われた。中心となったのは佐久島の加藤麻紀さん、日間賀島の高瀬真生さん、酒屋・お煎餅屋などを家業とする鈴川典子さん、生まれも育ちも篠島で、漁師の夫を持つ新美満香さんだ。

 新美さんは篠島の女性を中心に『篠島活性推進委員会』を立ち上げた。「篠島にはおいしいものや素晴らしい場所があると、たくさんの人に知ってもらったり、島をよりよくするために、移住者や若い方にどんどん活動してもらいたい。『島のお母さん』である私たちがその手助けをできれば」「男性ではつくりにくい横のつながりを、女性が率先してつくっていきたい」などと設立の経緯を語った。

 鈴川さんは「観光も強いが、漁業が中心という意識を共有しているのが日間賀島の強み」、高瀬さんは「自分の事業だけでなく、島全体で生き残るためにどうすればいいかという発想ができるのが日間賀島。そこに移住者としての目線を活かしたい」と話した。

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 加藤さんが佐久島でのマルシェ「39の市」の取り組みについて話すと、ほかの島の参加者たちは「行ってみたい」「参考にして自分たちも試してみたい」と興味津々。加藤さんはさらに「3島合同で取り組めるイベントがあれば」とも提案。一例として3島対抗運動会を挙げると、島の男たちによる腕相撲大会の案などで盛り上がり、座談会は盛況のうちに幕を閉じた。

Report:「あいちの離島の未来をつくろう!関係人口キックオフイベント」が開催されました。

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 9月6日、名古屋市の『アスナル金山』で「あいちの離島の未来をつくろう!  関係人口キックオフイベント」が開催された。3島の代表島民や関係人口となる方々が登壇し、島の魅力や現状を話した。弊誌編集長・指出一正は全国の関係人口の取り組みを紹介した。

Information:参加者募集中
島を楽しくするアイデア、いっしょに考えましょう!「あいちの離島の未来をつくろう!  名古屋勉強会」

 佐久島・日間賀島・篠島のファンやサポーター=「関係人口」になってみたい! という方のための勉強会を開催。島のことを知っていただき、島が目指す未来に向けた、新しい取り組みやアイデアをいっしょに考えます。離島振興、漁業、遊休農地、インバウンド、空き家、ものづくり、歴史・伝統・祭り……、そんな言葉にピンときたら、ぜひご参加を!

日程とテーマ
9月20日(終了)佐久島
10月18日(金)日間賀島
11月29日(金)篠島
12月13日(金)まとめ
2020年2月中旬 3島合同交流会

会場
名城大学社会連携ゾーンshake
(名城大学ナゴヤドーム前キャンパス西館2F)

各回とも時間は18:30〜20:30、定員20名程度(先着順)、参加無料。気になるテーマの回のみの参加でOK、子連れ参加もOKです。

記事は雑誌ソトコト2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

photographs by Kazuteru Takamoto
text by Sumika Hayakawa

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