信州アルプス大学(長野県塩尻市) ー ソーシャル系大学案内 第33回
2019.10.24 UP

信州アルプス大学(長野県塩尻市) ー ソーシャル系大学案内 第33回

SOCIAL

山間のぶどうとワインが有名な町、長野県塩尻市にある「信州アルプス大学」。
学生も先生もみんな市民というコンセプトのもと、アイデアをかたちにするカラフルな「パレット」のような学校として、今年で開校2年目を迎えた。
秋晴れの週末、学長の中村剣さんをはじめスタッフが集まる月例会に参加させていただき、「プス大」の運営についてお話をうかがった。

人的ネットワークの要所として、今の塩尻に欠かせない存在。

 信州アルプス大学は、毎月2回の授業を中心に、2つの学部からなる市民大学である。「Cook’in English 世界の台所、英語でお料理」、「塩尻景観“ワイン”散歩」、「自宅でできるフットケア」など、地元の人を先生に迎え、地域の新しい魅力を発見する「じもと学部」と、「人生が変わる!ヴォイストレーニング講座」、「サステナブルなくらしと社会を考える」、「あなたの文章をレベルUPする4つのプロ技」など、その道のプロにスキルを学び、仕事に活かしたり生活を考えたりする「ビジネス学部」から構成される。塩尻市内の登録された飲食店で学生証を見せると特典がもらえる「学食」、ロゴがデザインされたステッカーやTシャツを販売する「購買部」、コテージや工作室を割引価格で利用できる「生協」も完備。2017年7月には長野県北部の「筑北キャンパス」が誕生、最近では塩尻ワインのトレーディングカード「ワイカ」や、個人商店での買い物が市民活動を支援する仕組み「しおじり1%プロジェクト」も始まり、塩尻市委託事業のひとつ『しおじり市民活動図鑑2017』を今年も発行するなど活動の幅を広げている。

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 プス大はもともと、評判の市民交流センター『えんぱーく』に集まるボランティア団体『えんぱーくらぶ』から誕生した。いつか塩尻に市民大学をと考えていた人たちが集まり、「シブヤ大学」や「ジョウモウ大学」など先行事例を研究。2年間の準備期間を経て2016年1月に開校した。現在、登録する学生数は300名を超えるという。運営スタッフは開校当時のままのメンバーで、忙しい本業の合間を縫って授業にも会議にも出席している。職業人の集まりだからか、この日もホワイトボードに書き出された多くの話題があっという間に片付けられ、新しいアイデアが次々と飛び交う。月例会に集まったのは、学長の中村剣さんのほか事務局長の久納朋子さん、用務員の吉国明夫さん、広報の北原華子さん、授業コーディネーターの竹内永さん、デザイナーの渡辺勉さん、Web担当の宮澤由香さん。お話をうかがうとそれぞれが高いスキルをもつ専門家集団で、プス大にはプロボノとして関わっている。

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 もともと、地元で働く人たちがパラレル・キャリアを試す場になればと考えていたという中村さん。働く世代が集まるプス大は、その場を楽しむだけのボランティア活動とは一線を画し、ビジネスと同じスピードで展開する。多くの人が関わるなかで、ますますカラフルになるパレットは、人的ネットワークの要所として、今の塩尻に欠かせない存在となっている。

信州アルプス大学
住所:長野県塩尻市大門一番町12-2 市民交流センター『えんぱーく』 2階協働オフィス
HP:www.alps-univ.net Facebook:www.facebook.com/alpsuniv

記事は雑誌ソトコト2017年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

写真・文●坂口 緑
illustration by Verve Iwashita

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坂口 緑

さかぐち・みどり
明治学院大学社会学部教授。2000年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。
研究領域は生涯学習論。共著に『ポストリベラリズム』、共訳書にアーリー・ラッセル・ホックシールド『タイム・バインド』など。