はじめての人はここへ行こう!ソトコト流アムステルダムのまち歩きガイド。Part 1
2019.10.27 UP

はじめての人はここへ行こう!ソトコト流アムステルダムのまち歩きガイド。Part 1

LOCAL

「サスティナブルに、サーキュラーエコノミー……。ちょっと私にはハードルが高そうだなあ」なんて感じているそこのアナタ! まち歩きを楽しみながら、気づけばアムステルダムの持つソーシャルな雰囲気を、いい具合に体感できる、ソトコト流まち歩きスポットを紹介します!

 平坦な地形であること、自転車専用のインフラが整っていることなどから、住民・観光客問わず、アムステルダムの多くの人の足となっている、自転車。私たちもまずは自転車で街を巡ってみようと訪れたのが『STARBIKES(スターバイクス)』というレンタルショップ。レンタルショップは多数あるけれど、実はここ、とっても”人“に優しいお店。値段が比較的リーズナブルなことはもちろん、さまざまなサイズ、そして障害者用の自転車も取り扱っているんです。

オランダは自転車専用道が充実。都度マップで確認しながら、まち巡りを楽しみたい。乗車しながらスマートフォンでマップを見るのは絶対ダメ! 
オランダは自転車専用道が充実。都度マップで確認しながら、まち巡りを楽しみたい。乗車しながらスマートフォンでマップを見るのは絶対ダメ! 

 オーナーのリンダ・プライマルスさんは「障害者だけじゃなく、パートナーが怪我をして自転車に乗れないなんて時も利用してもらえれば」だって。さすが多様性の国! と感心していたら、「ハンディキャップを持つことは、私自身にも起こりうること。お客さんから『すごく楽しかった』とか、『あなたはライフセーバーよ』とか、うれしいフィードバックをもらえるの」。リンダさんの自然体な感じ、いいなあ。

 『STARBIKES』で自転車をレンタルし、早速街中へ。海沿いを走ったり、運河を巡ったり。リンダさんから聞いた安全面での忠告を守りつつ(常に自転車専用道路を走ること。曲がる方向を手で合図することなど)、サイクリングを楽しみました。アムステルダムは地下鉄やバス、トラムなど交通網が充実しているけど、自転車で気になった風景を目指して走ったり、好きなところで止まって写真を撮ったり。ローカル気分で街を楽しむのもすごくアリ!

 自転車でプチローカル気分を味わったら、もっと”普段着のアムステルダム“を感じたくなってきてしまい……。今回の旅のコーディネーター兼通訳の桑原果林さんにお願いして、そんなスポットを案内していただくことに。「オランダ人がありのままでいるのが公園。みんなピクニックや日光浴、BBQが大好きで、晴れたらすぐに公園に行く、みたいな感じなんです。市内にも大きな公園がいくつもあって、この『Westerpark(ウエスターパーク)』もその一つです。この公園の敷地内には、レストランに農場、託児所もあるんですよ」。

時間を贅沢に使って、 オランダ時間を体感。
時間を贅沢に使って、オランダ時間を体感。

 取材時はオランダで記録的な気温を記録したこともあってか(最高気温が40度超えた!)、取材チームが泊まった宿の近くにある『Rembrandtpark(レンブラントパーク)』でも日差しを楽しむ人、運動をする人など、たくさんの人がそれぞれ思い思いに過ごしていました。でも、周りの目を気にしていない感じや、他人との距離感というか、空気感がすごくよくて、自立した雰囲気も感じることができました。

 7月に東京で開催された『TOKYO ART BOOK FAIR』が、大変な賑わいを見せていたことでもわかるように、老若男女問わずみんな本が好き(たぶん!)。ということで、オランダのアートブック事情も取材すべく本屋さんへ。

 向かったのは『San Serriffe(サン・セリフ)』。実はここ、アムステルダムにある世界的に有名な美術学校『Gerrit Rietveld Academie(ヘリット・リートフェルト・アカデミー)』の図書館の責任者でありキュレーターのピーター・フェルベーケさんと、パートナーであり、グラフィッィデザイナーのエリザベスさんのお店。「小規模の出版物や自費出版のものなどを基本に、大手の出版物もミックスして扱っています。リートフェルトの卒業生の本も多いのも特徴ですね」とピーターさん。

ピーター・フェルベーケさん。おすすめの本を選んでいただいたのだが、それもやっぱりどれもステキで……。本は小規模な出版社や初版限りの出版物が多いので、気に入ったものがあれば、迷わず買うことをおすすめしたい。
ピーター・フェルベーケさん。おすすめの本を選んでいただいたのだが、それもやっぱりどれもステキで……。本は小規模な出版社や初版限りの出版物が多いので、気に入ったものがあれば、迷わず買うことをおすすめしたい。

 そして選書と同じくらい大事にしているのがほぼ毎週行われるイベントだ。「著者をはじめ、本に関わった人がプレゼンテーションをするという時間を設けているんです。動画を見せたり、パフォーマンスをしたり、ディスカッションをしたりなんでもOK。本はあくまで作品の一部。その先にある延長線上にあるものを見たいんです」。

 オランダでも昨今、出版を取り巻く環境はよくないらしく、新刊を出す際に公的な補助金や助成金を申請し、費用に充てることが一般的だとか。が、うれしそうに本の説明をしてくれるピーターさんに、本への深い愛情と、本の持つ可能性を見た気がしました。オランダの本に出合いたい人、必見です。

店は9月に リニューアルしました!
店は9月にリニューアルしました!

 街を巡るうえで、やっぱりカフェは外せない!アムステルダムの行く先々で名前が挙がったのが、『Café de Ceuvel(カフェ・デ・クーベル)』。ここは尿などの老廃物から栄養を取り出し、それをアーバンファームに活かし、育てた食材をカフェで提供したり、地域でエネルギーを共有したりする、サスティナブルを体現するカフェ。取材対応してくれたオーナーのエスメー・イスコートさんは、「ここのプロジェクトが始まって5年。もともと市とは10年契約なので、残り5年でなにができるか。例えば、今ここで提供している飲食の食べ物のうち、ビーガンは75パーセント。目標としては2020年には100パーセントビーガンにしたい。植物由来のもののほうが、生産にたくさんのエネルギーを使わなくて済むし」と、この場所にかける熱い思いを話してくれました。

 『Café de Ceuvel』をはじめ、P80でも紹介した『Schoonschip』にも関わる建築会社『Space & Matter』のマルタイン・ポールさんは、『SWEETS Hotel』や『NDSM』を推薦してくれた。「いずれも古くなったものをリノベーションして活用した事例であり、運河や船といったオランダらしさを感じられるところ。ぜひ、行ってみてください」。

 お二人ともサスティナブルはもちろん、水辺の空間づくり、船の文脈など、日本での参考にすべきスポットの数々をレクチャーしてくれました。はい、全部巡って誌面で紹介します!

本文画像

STARBIKES

 某有名コーヒーチェーンに似たような店名。創業者兼オーナーのリンダ・プライマルスさんも「実はそれもちょっと狙ったの!(笑)」といたずらっぽく笑う。アムステルダム中央駅近くにあるので、観光の拠点にもとっても便利。自転車レンタルは2時間5ユーロ〜。約200台保有。本文で紹介した障害者用の自転車のほかに、2人乗り自転車、電動自転車も扱っており、多くの自転車が日本では馴染みの薄いフットブレーキを基本としている(ハンドブレーキ用もある)。レンタルの予約はウェブサイトにある予約システムやEメールから。「もちろん、突然来てその場で借りることもOK!」とはリンダさん。またショップ2階には、ローカルも頻繁に訪れるカフェもある。

創業者兼オーナーのリンダ・プライマルスさん(右)とパートナーのダニエル・ピークさん。
創業者兼オーナーのリンダ・プライマルスさん(右)とパートナーのダニエル・ピークさん。
アムステルダムのレンタルショップでは、場所によっては子ども用を置いていないところもあるが、ここはもちろん対応済み。サイズも豊富だ。
アムステルダムのレンタルショップでは、場所によっては子ども用を置いていないところもあるが、ここはもちろん対応済み。サイズも豊富だ。

De Ruyterkade 143, 1011 AC Amsterdam
月〜金曜:8:00〜19:00/土・日曜:9:00〜19:00
なし
www.starbikesrental.com

2 Westerpark

 場所はアムステルダム中央駅の西。市内には40か所ほどの公園があり、その中でも人気の公園の一つがここ。元・ガス工場で、その跡地を利用。建物はリノベーションされ、オフィスやレストラン、イベントスペースなどが入る。広大な緑地公園で、林道や渓流が延び、園内には託児所や、馬や豚などと触れ合えるミニ牧場なども。園内では自然を学ぶワークショップなども行われるという。「この公園はご近所で、夏はよく子どもと水浴びに来たり。普段も利用しますね。託児所の公園をよく利用するんですけど、公共で誰でも使えるんです」と、今回の旅のコーディネーター兼通訳の桑原果林さん。イベントも数多く開催され、取材時には大規模なLGBTイベントが催されていた。

公園内にある高級ホテル『Conscious Hotel Westerpark』。
公園内にある高級ホテル『Conscious Hotel Westerpark』。
桑原さんもよく利用する託児所脇の公園。広いスペースには遊具も充実する。
桑原さんもよく利用する託児所脇の公園。広いスペースには遊具も充実する。

Haarlemmerweg 4, 1013 RW Amsterdam
公園自体は毎日24時間出入り可能
各施設によって異なる
www.amsterdam.nl/westerpark

3 Rembrandtpark

 点在するオブジェも特徴的。

南北に広がる広大な緑地公園で、アムステルダム市内南部にある。豊富な水辺空間のほか、高い樹木の間を縫うように遊歩道が張り巡らされ、散策が楽しい場所だ。
南北に広がる広大な緑地公園で、アムステルダム市内南部にある。豊富な水辺空間のほか、高い樹木の間を縫うように遊歩道が張り巡らされ、散策が楽しい場所だ。

Postjesweg, 1058 EP Amsterdam
毎日24時間出入り可能
公園のため特になし
www.amsterdam.nl/projecten/rembrandtpark

4 De Hallen Amsterdam

 トラムの車庫跡地をリノベーションしたスタイリッシュな複合施設。映画館や図書館、フードコートなどが入る。個性的なショップも魅力で、リサイクル自転車の専門店『RECYCLE』や、サスティナブルやエコをテーマとした商品を多く扱う『The Maker Store』、リペアやリサイクルをテーマにしたジーンズショップであり、関連したワークショップを開催する『Denim City』なども。オーガニックの商品や、作り手が集うマーケットも定期的に行われているのでチェックしたい。

歴史的な空間を活かした施設。
歴史的な空間を活かした施設。
メイド・イン・アムステルダムの商品を数多く取り扱う『The Maker Store』。お土産はここで揃えたい。
メイド・イン・アムステルダムの商品を数多く取り扱う『The Maker Store』。お土産はここで揃えたい。

Hannie Dankbaarpassage, 1053 RT Amsterdam
日〜木曜:7:00〜25:00/金・土曜:7:00〜27:00
なし
https://dehallen-amsterdam.nl

5 Noordermarket

 毎週月曜と土曜に開催されるマーケット。オランダ定番のチーズや花に、月曜は洋服、日用品、アンティーク雑貨など、土曜はオーガニックのフードマーケットがメインとなるなど、幅広いバリエーションの品々を扱う。「オーガニックのマーケットは、数あるマーケットの中でもそんなに多くないんじゃないでしょうか。ここはアムステルダムの中心地に近いのがとてもいい。豊かな生活を求めてくる人が多いので、雰囲気もいいのと、なんといっても私の家から近い(笑)。オーガニックマーケットなので、食材も元気で、おいしいものが揃っていて、見た目もカラフルで元気になれます。アンティークなどの買い物もできるので、最近はローカルだけでなく、観光客の方も多いみたいです」と桑原さん。

オーガニックの品々は、アムステルダムにある普通のスーパーよりも少し高いくらいだというが、日本に比べたら格段に安価! さすが世界有数の農業王国。マーケットにはスープやジェラートを食べられるカフェも。
オーガニックの品々は、アムステルダムにある普通のスーパーよりも少し高いくらいだというが、日本に比べたら格段に安価! さすが世界有数の農業王国。マーケットにはスープやジェラートを食べられるカフェも。

本文画像

Noordermarkt 42B, 1015 NA Amsterdam
月曜:9:00〜13:00/土曜:9:00〜16:00
火〜金曜、日曜
www.noordermarkt-amsterdam.nl

6 De School

 カフェ&レストラン。『Rembrandtpark』近くにある施設。その名のとおり、もともと小学校だった場所をリノベーション。建物には、ヘルシーなメニューが好評のカフェやレストランのほか、イベントスペース、ギャラリーなどが入る。アートプログラムやコンサート、ワークショップも多数開催され、アムステルダムの文化発信拠点の一つとなっている。

過剰に装飾することなく、簡素だがスタイリッシュにリノベーションされた空間。
過剰に装飾することなく、簡素だがスタイリッシュにリノベーションされた空間。

Dr. Jan van Breemenstraat 3, 1056 AB Amsterdam
月曜:8:00〜18:00/火〜木曜:8:00〜22:00/金曜:8:00〜28:00/土曜:9:00-28:00/日曜:9:00〜18:00
なし
www.deschoolamsterdam.nl

7 San Serriffe

 地元でも知る人ぞ知るセレクトブックストア。世界的に知られる美術学校『Gerrit Rietveld Academie』に関連する書籍をはじめ、インディペント系のアートブックが数多く揃う。店名の由来は書体名、と思いきや実は違った!「1977年4月1日のガーディアン紙(イギリスの大手一般新聞)に、『サンセリフ』という架空の島の話が掲載されていました。そんな嘘の広告に、本当の会社がお金を出していたのがおもしろくって、店名はそこから引用。お店のあるこの場所はアムステルダムの中では歓楽街で、こんなところに本当に本屋があるの? って思う人も多い場所。フィクションみたいだし、ある意味オアシス。まさに架空の新聞記事の『サンセリフ』みたいでしょ?(笑)」。

店はアムステルダム随一の歓楽街・飾り窓地区に立地。入り口はとてもわかりにくいが、店内に入れば納得の選書をすぐに確信するはず。
店はアムステルダム随一の歓楽街・飾り窓地区に立地。入り口はとてもわかりにくいが、店内に入れば納得の選書をすぐに確信するはず。

本文画像

Sint Annenstraat 30, 1012 HE Amsterdam
木〜土曜:13:00〜19:00/日曜:13:00〜17:00 
月〜水曜
www.san-serriffe.com

次ページへ続く

photographs & text by Yuki Inui
illustrations by MASAMI
coordination by Karin Kuwahara

記事は雑誌ソトコト2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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