二拠点それぞれのよさを活かした、妊婦生活。ー 田舎と田舎の二拠点生活11
2019.10.26 UP

二拠点それぞれのよさを活かした、妊婦生活。ー 田舎と田舎の二拠点生活11

LOCAL

 これまで二拠点の滞在場所と期間は、主に「仕事」の都合で決めてきた。

 小豆島にいないとできない仕事をなるべく1〜2週の間でまとめ、小豆島の滞在期間とする。そしてほかの期間を幡豆で過ごす。しかし、妊娠してから基準が変わった。

滞在場所を決める基準が、「仕事」から「妊娠」に変わる。

 妊娠初期は体調が悪く、ずっと小豆島にいた。少し乗り物に乗るだけで吐き気が襲ったので、幡豆に行けなかったのだ。「幡豆にずっといる」という選択肢もあるが、小豆島で仕事があったので島にこもった結果、2か月近くも別居生活を送ることに……。

 3か月目の中頃になると、わずかに体調が落ち着いてきたので二拠点を行き来した。さすがに夫に会いたいし、お腹の子にも会ってほしかった。実家にいるほうがゆったりできるが、不思議なことに、幡豆にいるほうが断然体調がよかった。

 安定期(5か月目)に入ると、すっかり体調も安定して移動もへっちゃらに。産前産後で一番動けるのは今だ!と、二拠点に限らず、あちこち出かけた。

 そして、7か月目になると再び体調が不安定に。お腹の子が内臓を圧迫するからか、気分が悪い時が多く、体が重く、すぐに疲れてしまう。二拠点のどちらにいるか迷った。母は「ずっと実家にいなさい」と口すっぱく言い、夫は私に判断を委ねた。

 妊娠後、私の体調でクライアントに迷惑をかけないよう依頼を断ってきたので、この時には、仕事が20分の1くらいまで減っており、仕事で場所を決める必要はなかった。

 結果、残りわずかとなった夫婦二人の時間を大切にしたいという想いから、7か月目以降は主に幡豆で過ごすことにした。

 振り返れば、正しい判断だった。7か月目になれば、お腹の子は音が聞こえている。夫は頻繁に子に話しかけてくれたので、子にとってもよいはずだ。また、これまではさほど目立たなかったお腹も、7か月に入るとどんどん大きくなって妊婦らしくなっていく。妊婦の検診時に動く子どもを一緒に見たりしながら、夫も「子どもが生まれる」という実感が高まっていくし、夫と一緒に出産準備もできる。出産に向けた体力づくりも、一人でするより夫と一緒にしたほうが圧倒的に楽しい。体調が悪い時があっても、精神的には毎日元気いっぱいだ。

 私が実家にいると、出産に向けて四六時中口あれこれ言う母も、幡豆にいる間は何も言わない。気になっているに違いないが、夫に託したほうが気が楽なのかもしれない。

 なお、妊婦の体調やお腹の子の状態は、人によってバラバラ。アドバイスが逆効果になることもあるし、計画だって崩れる。計画を立てることも大切だけれど、何よりも「臨機応変に対応できる態勢」「夫をはじめとする家族との協力態勢」づくりが要だ。

ある日の新米夫婦

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 出産には体力が必要。特に足腰を鍛えなければ! ということで、毎日30分以上歩くほか、田舎ならではのトレーニングを夫と一緒に行っている。例えば農業。夫が農家なので自然と行うことになる(笑)。ひたすら屈伸運動なんだなあと実感。ほかにも近所の友達のカフェで薪割りをしている。薪を割るとお礼においしくて体によいご飯をご馳走してもらえて、一石二鳥!

記事は雑誌ソトコト2018年7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。