小豆島暮らしを通じて得た縁を幡豆につなげる。ー 田舎と田舎の二拠点生活16
2019.11.08 UP

小豆島暮らしを通じて得た縁を幡豆につなげる。ー 田舎と田舎の二拠点生活16

LOCAL

 愛知県の家がある西尾市の幡豆地区で、6月から10月にかけて市民参加型のまちづくり勉強会「ハズフォルニアスクール」が開催された。3人の講師の話を聞き、最後に地元の人同士で意見交換することを通じて、地域に眠る魅力や可能性を再発見し、未来に向けて今何ができるかを、楽しく考えた。

 運営メンバーである夫から、講師は誰がよいか相談を受けた私は、小豆島で暮らすなかでよい刺激を与えてくれた人を3人紹介した。小豆島と幡豆は、規模も景観も似ているので、合うはずと思ったのだ。

紹介した3人の講師の話が、地元の人の背中を後押しする。

 約20年ほど前の幡豆は、観光地として多くの人で賑わっていたが、ブームが去ると客足は遠のき、次第に人口も減った。だが、10年ほど前から海も山もある豊かな自然に惹かれた人が次々と移住者し、移り住んだ若者たちが、自分たちが住む場所を自分たちで盛り上げようと立ち上がったのだ。

 まずは地域の実情を学ぼうと、1回目は当雑誌『ソトコト』の指出一正編集長、2回目は現代アーティストの椿昇さん、3回目はローカルフォトを広める写真家・MOTOKOさんに講演をしてもらった。住む人だけでなく、地域外から多様に関わる人たちが大切であること。高い生活力を持つ大切さや、「オーガニック」が生み出す可能性。写真で地元の元気な姿を発信するパワーなど、たくさんのヒントを得た。

 やってきたことが間違いではなかったと思い、考えが整理され、今後の形が明確になった「すでに行動を起こしている人」、勇気が湧き、早速実行に移した「内に秘めた想いがあった人」、たくさんの参考事例にワクワクする「おもしろいことに関わりたい人」、新しい流れに喜ぶ「長年幡豆を支えてきた地元の人」。さまざまな人が目を輝かせながら明日を見つめた。

 有志の人たちが立ち上がって築いた場だからこそ、参加者の当事者意識も高まりやすく、一市民として参加した西尾市・中村健市長も「全員がまちづくりの当事者として参加していたことが素晴らしかった。要望をする側、受ける側という図式ではなく、行政と市民が共に当事者として協力して、ワクワクする西尾市をつくっていければと思います(途中省略)」と感想を述べた。

初めて幡豆のお役に立てられた。

 講師を呼んだ私も感謝され、「よく呼べたね」と感心された。しかし、役に立てられたのは、棚から牡丹餅のようなもの。小豆島暮らしをしていたから今回の講師たちと縁ができており、幡豆に住んでいるから紹介するきっかけがあっただけ。これまでは、どっちつかずな暮らしを後ろめたく思うこともあったので、二拠点生活を役立てる機会があったことは、私の励ましにもなった。

ある日の新米夫婦

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 娘の生後100日目にお食いめを行った。小豆島の実家にいるタイミングだったので、夫抜きでの開催になったが、産後は料理をする時間をなかなか確保できないから、実家にいるタイミングでよかったかも。「一生食べ物に困らないように」という願いを込めて行う行事だが、食べればよいというのではなく、「食べ物をいただく」ことがどういうことか、これから夫と楽しく伝えていこうと思う。

記事は雑誌ソトコト2019年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。