大人ごはん Vol.3 ーリトルプレスから始まる旅 volume92
2019.11.18 UP

リトルプレスから始まる旅 大人ごはん Vol.3 ーリトルプレスから始まる旅 volume92

SUSTAINABILITY

一緒にごはんを食べ、話を聞き、考える。

 今回紹介するリトルプレスは、食をとおして人・社会・文化を考えるリトルプレス『大人ごはん Vol.3』。

 前号で紹介をしたリトルプレス『歩きながら、考える』に続くようなタイトル、「食べながら、考える」としてもいいような記事が掲載されている。

 ごはんを含め、料理の本といえば、おいしそうな写真と作り方の本を想像することが多い。『451ブックス』にも、見ているだけでも楽しく、おいしい料理の本が並んでいる。

 また、テキストが中心の食のエッセイを集めた料理の本などもあるが、テーマや著者の個性が、おいしい料理を思い起こさせるものが多い。

 『大人ごはん』では、編集長の室谷明津子さんが、さまざまな場所に出向き、人に会い、一緒にごはんを食べて、話を聞き、そこから食にまつわることが広がり、さまざまなことを知ることができる。そして、考えさせてくれる。

 特集の最初は「『一人の時間』を考える」。

 写真家で文筆家の植本一子さんと東京・新宿の『ベルク』を訪れ、ワインやレバーハーブパテ、ヴァイスブルスト(ソーセージ)を食べながら、「一人」でいること、「家族」といることの違いについて聞く。

 『女ひとりの夜つまみ』という本を書かれたツレヅレハナコさんのご自宅にも伺い、一人飲みのコツ、一人飲みの店選びのコツ、おすすめのおつまみレシピのコツなどを聞きながら、一人で飲むことについて考える。

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 2番目の特集は「小豆島で農村歌舞伎を観てきました」。

 実際に室谷さんが小豆島を訪れ、約300年前、江戸時代中期から受け継がれている島人の農村歌舞伎を観る。

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 観劇中の弁当としても作られる「わりごう弁当」(オカモチ風の入れ物に、長方形の真ん中を斜めに割った形の木箱の弁当が多く入っている)を島の保存会の女性たちが作る現場を取材したり(食べたり)、歌舞伎に関わる島人たちに話を聞き、弁当から、地域に受け継がれる芸能などへ話が広がっていく。

小豆島のわりごう弁当と、農村歌舞伎を楽しみたい。
小豆島のわりごう弁当と、農村歌舞伎を楽しみたい。

 特集以外の記事も、アフロ・ブラジル料理や、トウモロコシにまつわる料理の歴史や文化、日本に住む外国人(チェコ共和国)、ヘベレケな話など、写真と共にテキストが盛りだくさんな112ページ。『大人ごはん』を通じて、暮らしや、食や地域の歴史、世界が見えてくる。

 こうやって「食べること」に向き合えば、「考えること」へとつながる。日々の暮らしの中でも「知ること」と「考える」ことを大切にしていきたい。

『大人ごはん Vol.3』編集長から一言 

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 食を通して、いろいろな人の「日常」を覗き見したい。そんな好奇心から始まった雑誌が超・スローペースながらも続いているのは、取材に訪れた先々に物語があるからだと思います。写真は、まだ背表紙がなかった創刊号と2号。これからも自分たちが楽しめるものを作り続けたいです。
www.facebook.com/otonagohan

今月のおすすめリトルプレス

『大人ごはん Vol.3』

『大人ごはん Vol.3』

 食を通して人・社会・文化を考えるリトルプレス。

編集長:室谷明津子
編集スタッフ:マスダユキ
デザイン:佐藤正明、写真:長野陽一
発行:Incline
2019年6月発行、210×148ミリ(112ページ)、1100円

記事は雑誌ソトコト2019年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文●根木慶太郎

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根木慶太郎

ねき・けいたろう
岡山県玉野市で新刊や古書、洋書、リトルプレスを扱う書店『451ブックス』を経営。地元では「絵本を読む」教室なども開催。全国から取り揃えたリトルプレスはネットショップでも購入可。www.451books.com