二拠点生活が生んだ家族同士の最高のサポート体制。ー 田舎と田舎の二拠点生活19
2019.11.19 UP

田舎と田舎の二拠点生活 二拠点生活が生んだ家族同士の最高のサポート体制。ー 田舎と田舎の二拠点生活19

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 赤ちゃんがいると、わずかの仕事も終わらない。一方私の母は、「子育てをする!」と独断で仕事を辞めたくらい育児を望んでいるので、産後も相変わらず二拠点を行き来し、母に預けて仕事時間を得ている。

 ある時、今の暮らし方は、今では少なくなった「大家族」に似ていると気づいた。

家族みんながwinwin。

 婚前から、二拠点生活をする第一目的は、私の仕事の継続だった。しかし、産前から仕事を断り続けたので、今は私自身の仕事が少ない。もしや小豆島に帰る必要がなくなる!? と産前は思ったが、そのわずかな仕事ができないのが現実だ。

 娘を横にさせると泣くのは当然のこと、抱っこしたまま座ったり、立って動かなかったら泣きだす。授乳時以外は立って動き続けるしかないのだ。「赤ちゃんがいると、パソコン作業ができない」と先輩ママから聞いていたが、そのとおりだった。

 また、産前より、夫側で発生するパソコンを介する仕事や事務仕事を私が担ってきた。産前は幡豆にいる間に終わらせていたが、産後はどんどん溜まる。実家に帰って、仕事時間を得る必要があった。

 一方、母は喜んで娘を見てくれるものの、両家の祖父母の介護と、勤めていた職場のフォローもしていて忙しい。娘を見てもらう代わりに、私は家事と介護を積極的に行った。「夏妃(娘)といる時間は私の生きがいやし、毎日繰り返される家事と介護が減って助かる」と母もうれしそう。

 夫にとっても、私が実家にいると集中して仕事ができるし、自由な時間をたくさん得ることができる。そして、娘と過ごしたくなった頃に幡豆に戻ってくれるからちょうどいいそう。私としても、実家でやるべきことを終わらせ、幡豆では家族3人の時間を大切にする今の暮らしがお気に入り。

 こうして今は、育児・家事・介護・仕事という家族みんなのタスクを共有し、力を合わせてこなしていくという「チームプレー」が定着した。夫の仕事にとっても私のサポートが欠かせなく、そのためには両親の育児が不可欠。そして、当然ながら夫が得る収入があってこそ、生活が成り立つ。

一緒に住むから助け合える。

 そのことをママ友達に伝えると、「わあ!いいな。私も実家が近いから時々子どもを預けるけど、子どもは『他の家に置いていかれる』と思って出発前から泣いて大変。実家でも『え、今日も?』と嫌な顔をされちゃうから遠慮する」と疲れ顔で話したのだ。

 その時に、その友達の暮らし方は「核家族」で、私は「大家族」に似ていることに気づいた。しかも、夫は別の家にいるので「お姑さんに気を使う」なんてこともない。二拠点生活を前提に暮らし方を考えることで、私の場合は家族みんなが助かり、誰もが気楽な形が自然と構築されていたのだ。

ある日の新米夫婦

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 1月〜4月は、約10日おきに*ウーファーが2人ずつ来て、麹造りと寝食を共にする。年齢も国籍も本職も人柄もバラバラ。世界中を旅して発酵を研究している人。農と発酵に関わる仕事を志し、ほかの蔵でも製造経験をしてきた20代の人。料理の延長線上として家で麹も造りたいという専業主婦など、今期もいろんな人と暮らせられておもしろい。娘にとってもよい経験になっているだろうな。

*ウーファー:仕事を手伝い、代わりに食事と寝る場所を提供してもらう人

記事は雑誌ソトコト2019年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。