夫婦がチームとして仕事を行えば、移動しやすくなり、仕事の幅も増える。ー田舎と田舎の二拠点生活20
2019.11.24 UP

田舎と田舎の二拠点生活 夫婦がチームとして仕事を行えば、移動しやすくなり、仕事の幅も増える。ー田舎と田舎の二拠点生活20

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 今年1月から、私たち夫婦は「miyamoto」というチーム名で活動することになった。

 きっかけは、一緒に仕事をやることが自然と増え、会計上の線引きが難しくなったこと。そして、農家兼麹屋の夫と、醤油ソムリエール兼デザイナーの私が力を合わせると、六次産業化させることができるというところにおもしろさを感じ、発動した。

チーム体制は二拠点生活にぴったり。

 チームになっても、これまでの仕事は継続。変わったのは、意識と仕事の幅だ。例えば3月末に、夫が「麹」について講演をするが、話す資料は私が作成。これまで私が影武者として仕事をやるのは負担だったが、今は二人でよい講演にする! という意識に変わったので、精神的に楽になった。

 そして、六次産業化するチームとして、この春に自社の古代米とほかの蔵元の醤油をセットにした引き出物を販売する予定があるほか、各地の発酵を中心とする食情報を綴るメルマガを開始する予定だ。

 さらに思わぬ副産物も得た。二拠点で起こることに柔軟に対応できるようになったのだ。このことを実感したのは今年1月末。小豆島では醤油や酒などを仕込む「木桶」を新たに造るプロジェクトが行われ、同日に愛知県で「コレゾ賞」という賞の授賞式や、受賞者による各種イベントが行われた。

 私は木桶のプロジェクトに長年関わっており、夫も誘われている。また、コレゾ賞では夫婦ともども受賞している。お互い両方に行けたらよいが無理なので、私は小豆島で木桶のプロジェクトに参加し、コレゾ賞は夫に託した。

 私の表彰状を夫が受け取り、会場の様子を楽しそうに伝えてくれたので、小豆島にいながらコレゾ賞に参加した気分になった。一方、桶造りの現場でも「みやもと糀店さんですよね?」と話しかけられ、麹や味噌の話をすることが何度かあった。この時、夫は私の分身に、私は夫の分身になっていることに気づいた。

 また、『みやもと糀店』で1月〜4月に頻繁に行う「醤油仕込みの会」も、私が幡豆にいるときは私が担い、私が小豆島にいる時は夫にバトンを渡すが、一切問題はない。

 これまで小豆島にいるときに幡豆で用事が発生したときは、「諦める」しかなかったが、今では分担することで解決するようになった。むしろ、やりたいことが2倍できるようになったのだ。

 私たちは、夫婦ともども個人事業主なので代理がいない。病気になったら仕事が止まってしまう。予測もコントロールもできない赤ちゃんがいれば、なお危険。数人いる企業のようにはいかないからこそ、一番身近な家族と協力体制を築き、困った時は家庭内で臨機応変に対応して、リスクヘッジすることが大切だ。チームという二人体制にしてよかったと、深く実感している。

ある日の新米夫婦

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 3月3日は娘の初節句。当日は私が幡豆にいるが、どうしても家族で祝いたいと私の母が希望するので、2月中旬に親戚を自宅に招いて小豆島でお祝いの場を設けた。これでお祝いが終わったかと思いきや、幡豆の家に雛人形と娘の衣装が届いた。送り主はもちろん私の母。当日写真を撮って送るよう指示も添えられていた。再び祝いの料理を用意するのは大変だったけれど、いい記念になった。母に感謝!

記事は雑誌ソトコト2019年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

文 ● 黒島慶子
イラスト ● 宮本貴史

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黒島慶子 

くろしま・けいこ
醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、様々な人やコトを結びつけ続ける。2017年7月6日に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を作る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。