家入一真さんと指出一正さん
2019.12.02 UP

粒の仲間を増やしていくっていうのが実は地域にとってはいいことなのかなと思ってます。

SASHIDE’S EYE

2019年8月30日(金)、第1回定例会として「\特別対談/CAMPFIRE代表 家入一真 × ソトコト編集長 指出一正」が開催されました。本パートではメンバーからの質問に答えました。

【質問】地方でクラウドファンディングにチャレンジする人を増やすにはどうすればいいでしょうか。

指出 どうですか?家入さんは。まさに最初の質問にも近いと思いますが。

家入 そうですね、僕らはBAMPという媒体を運営していたりとか、会社でTVCM打ったり、いろんな活動をやったりとか、今回ご一緒させて頂くのはまさにそうですけれども、このメディアっていうところで、より多くの人達にチャレンジを知ってもらうことをやってくってことは凄く大事だなと思っていて。その一方でとにかくたくさんのロールモデルを作っていくことだなって思っているんですね。

ある地域ではこういう人がこういうプロジェクトをやってうまくいきましたよとか、ある地域ではまた違うこういう人がこういう事をやって、でも残念ながらうまく行きませんでしたよとか、そういうたくさんのロールモデルが生まれていくと、じゃあ自分はこういう形でこういうことが出来るかもしれないなとか、自分たちもこういうことやってみようよとか、そうやって先人たちがやったことが少しずつ裾野を広げていって、じゃあ自分もやれるかもって思ってもらえるようにしていくっていうのがすごく大事だと思いますね。

例えばですけど、去年一昨年とかCAMPFIREで音楽の領域が伸びたんですよ。これっていきなり音楽ジャンルに関わる方々に向けてなんか広告打ったとかメディア展開したとか、だから広がったって話ではなくて、まずは何をやったかというと、一番資金的につらい思いをしているインディーズの方々や、メジャーデビューをしたけど予算的にカットされて回ってこない方々とかが一番資金的につらい思いをしてたりするので、そういう方々のプロジェクトを一個一個サポートしていくってことと、合わせて、有名な方々にクラウドファンディングをやっていただいたんです。

別に仕込みとかでもなくヤラセとかもちろんそういうことではなく、実際メジャーデビューして有名な方々でもミュージックビデオの予算とか出なくなってきているんですよね。音楽の領域でも同じことが起きてきてるんですけど、産業構造が変わっていく中で、かつてみたいにトップスターだったりとかヒーロー・ヒロインが稼いだお金が再分配されて循環するみたいな仕組みがもう崩壊しているわけで、それは出版も同じ話だと思うんですけど、音楽って、もっと有名なメジャーデビューした人たちでも同じような状況って起きてるんですよね。そういう方たちにじゃあミュージックビデオを作ろうかってクラウドファンディングを使ってもらって。これがさらに数年前だとクラウドファンディングって絶対使いたくないって言われてたんですよ。

指出 それはアーティストの方に?

家入 そうそうそう。音楽業界の方にも。ファンからこういう感じでお金を集めるのも絶対嫌だし、クラウドファンディングをやるとお金に困ってるのかって思われるのが嫌だとか、いろんな事を言われたりしたんですけど、それがこの数年で流れが変わって、いいミュージックビデオを作りたいとかいいライブをしたいっていう時に、じゃあ一部クラウドファンディングを使おうってのが割とこう広がってきたんですね。で、そういう活動を地道にやってきたんですよ。とすると、結果、なんとかっていうバンドがクラウドファンディングを使ってこういう事例が生まれたっていうのが裾野を広げるんですよね、結果的にね。じゃあ自分たちも出来るかもしれないっていうアーティストがどんどん広がっていって、結果的に音楽のカテゴリーが凄い伸びたんですよ。これって映画業界音楽業界出版業界限らず業界とか問わず地域とかでも同じ状況なんじゃないかなって思っていて。とにかくロールモデルを増やすっていう、チャレンジする人を増やすためにどうしたらいいかって質問に対してチャレンジする人を増やしていくっていう、なんか凄く矛盾した答えになっちゃうんですけど、逆になにかありますか?

指出 滋賀県の長浜に行ったり、各地に行くと着実に進んできているなと思うんですよね。普段なかなか会えないんですけど、SNSとかオンラインとかを通じて見ていると、もしかしたらその人が悩んでることを共有してたりすると、近くのプレイヤーの皆さんが広がってくようになるんじゃないのかなと。

インターネットに詳しくない人がチャレンジしやすくするためには、インターネットに詳しい人が『まんが道』みたいに一緒にやったらどうかなって思いますね。一個人がやる必要はなくて、ユニットでやればいいんじゃないかなと思いますね。

あとはBAMPとか紙媒体とかメディアが必要かってのもどうでしょうかね。BAMPみたいな挑戦している人たちをちゃんと取り上げられるメディアがあるべきだっていう風には凄く思いますね。実はマスに向けてメディアを作るってことよりもたった一人や二人の仲間が増えたほうが、結構その後に、家入さんの3分の1ルールに近い感じもするんですけど、最初にどんな仲間がつくかってほんと大事で、ソトコトもそうですけど、僕たちが作ってる世界観ってマスではあまりなくて、どちらかというとニッチなとこなんですけど、ニッチはニッチなりに実はそこに気が付かない人が多いっていうのはチャンスだったりするから、そういう事をチャンスとして捉えて、小さい仲間を僕は数よりも量よりも粒だっていつも言うんですけど、粒の仲間を増やしていくっていうのが実は地域にとってはいいことなのかなと思ってます。

家入 お話聞いていてもう一つ思いました。

ロールモデルを作るっていいましたけど、もう一つ噛み砕いて言うと、自分たちの地域の中からヒーローを作り出さないといけないんですよね。これ一番強く思ったのが、数年前福岡の起業家を増やそうってイベントに呼ばれていったときに、トークイベントを東京で有名な起業家とかを呼んでやったんですよね。もちろん僕も呼ばれてる側ですよ。

そこで福岡良いとこだよねとか、福岡どうやったら盛り上がるかみたいな話して、終わってすぐに来ていた起業家達が、イベント終わってごはん行こうぜってなって。そういう感じで別に福岡がどうとか正直そんな考えてなくて、せっかく福岡来たから美味しいもの食べて帰ろうと。別にそれは否定しないし、いいと思うんだけど、すごく違和感を感じたんですよ。

なんだかすごくうーんとなってしまって、このうーんってなんだろうなって思ったときに、あ、なんか外から人呼んで賑やかしてもそれはいつまでたっても何も変わらないなと思ったんです。

指出 たしかにそうですね。

家入 確かに僕も福岡から出てる身なんで、お前が言うなって話なんだけど、大事なのはそういうイベントがあったときに最後のトリは地元で頑張ってる起業家が最後出てしゃべるべきじゃんって思ったんです。

これだなって思った時に、いろんな地域周ってる中でどうやったらこの地域盛り上がると思いますって話よく出るじゃないですか、そのときに、わかりやすく言うと誰を神輿に乗せるか、で、神輿載せたらみんなでその神輿を担がなきゃいけないんだと思うんです。そこから若いヒーローなりヒロインなりスターを出していくことで裾野って広がっていくので、要は自分たちの地域からヒーローを出さなきゃいけない。傍から見てて思うのが、よく起きてることってある程度プロジェクトとして地域でこういう事しようぜって有志が集まって始まるとしても、どこかのタイミングで手柄の取り合いみたいになったりとか、誰が表に立つのかとかみたいになりがちだったりして、足の引っ張り合いみたいなのがあったり。

指出 ありますね。

家入 それやってるうちは結局何も生まれないし、賑やかし的に一時的なイベントやって外から人呼んで来て喋ってもらって終わって、いいイベントだったねで終わってしまうっていう。それをなんか繰り返している感じがあって、自分たちの地域の中から次世代のスターをどう作っていくかをちゃんと考えないといつまで経っても変わらないなと凄く思いますよね。

指出 僕は冒頭に全国にトークイベントで凄い行ってるって話をしていますけど、これ、自分が主役では行ってないですよ、ほとんどが。何かって言うと僕が上の世代と若い世代のつなぎ役でそこに行って、若い人でその地域を盛り上げようとしている人たちに僕が話を聞いて、それを翻訳して来てくれた人に伝えて、彼らがやりたいことは観光や消費でもないかもしれないけど、人の繋がりや豊かさみたいなものを大事に置いた、この街にこの街が好きな人がやってくるような流れを作りたいんですよみたいなことを言うと、あ、そうだったのかと。ようやくそこでみんながうなずいてくれる。だからそうやってそこにいるローカルヒーローのみんなをどうやって地元の人が愛してくれるとか大事にしてくれる場を、池上彰さんの100万分の1くらいの感じで僕が解説をやってるんです。でもそれは自分の役割として大事だなと思っていて。面白い人はこんなにいるのに、それがほんの近くの同じ町内でまだ見つけられてない、だからむしろ地域は宝の山、人材の山だったりするなと思うんですよね。

家入 なるほど、たしかに。

指出 家入さんがおっしゃって下さったように、その土地の念力的な人が前に出てくると、そこにおのずと関係人口が現れるんですよね。

家入 ほんとですよね。どこどこ行くっていった時に、ああどこどこ行くなら何々さん会ったほうがいいよみたいな、絶対名前出てくるじゃないですか。すごいやっぱその地域で名前が立つと、逆に東京から人が会いに行くような流れがあると思うですよね。そうやってここに行ったらまず会ったほうがいいと言われる人になるのが良いっていうのを凄く思うし、自分自身も頑張らないといけないですけど、周りがこう後押ししていくというのも1つあるんじゃないかなと思います。

指出 この月曜日に僕福岡にいたんですよ。福岡から菊池に行って、そこから僕は特別講師で講座を設けている菊池市の若い職員が去年からやっているフューチャーラボKIKUCHIっていうプロジェクトがあって。

菊池って多分博多から行っても熊本から行っても意外と距離がある街なんですけど、思いのほか街のことが好きな若者が大勢いて、その人達がその場所が作られた結果出会って、なんだ近くに仲間がいるんだってなった。今日はその2期生の募集で行ったんですけど、1期生が応援に来てくれて、行政の力じゃなくて自発的に街づくりの集団コミュニティーが出来たんですよ。その名前をつけて欲しいって言われたので、いくつかお渡ししたら「菊池みらい編集部」っていうのを選んでくれて、それが今動いてて、熊本日日新聞にも取り上げられて。ローカルメディアが地元の若い人たちがやってることを紹介する。こうやってどんどん好循環でいけば、菊池のみんなに会いに行く人が現れると。それが一番いいなあと。家入さんがやられてることと、家入さんが疑問に思われてることとすごく符合しているんじゃないですかね。

家入 確かに。いろいろ地域回って、この地域は他と比べてどうですか?とか、この地域は東京と比べてどうですかって質問をすごくやっぱりされるんですよね。東京と比べると東京より良いところはたくさんあるとほんとに思うので、やっぱりそれはそう言いますけど、他の地域と比べてどうですかと言われると、身も蓋も無い言い方してしまうと、差異なんてそんなに無いわけですよ。県民性とか海の幸が美味しいですよねとか人が優しいですよねとか、そんな適当な事を言うのも嫌だし、でも大して他と差が無いですよなんていうのも言いたくないじゃないですか。ただ1つ僕思うのは、周ってて地域によって違うっていうか、特徴として出るなと思うのが、聞いてもないのに自分たちの地域の魅力をめちゃ語ってくる人がいるかいないかってあると思うんですよ。

指出 ありますね。

家入 ほんと極端な事を言うと、片やうちは市がダメだよみたいな感じのことを言ってる人がたくさんいる場所もある。

それって大きく違うじゃないですか。具体的な何が美味しいとかそういう話ではなくて、まず聞いてもないのに、ほっといてもどんどん魅力を伝えようと頑張ってくる人たちがいるエリアってやっぱ魅力的なんですよ。やっぱそういった所って人が集まりますしね。そういう違いはあるなと凄く思います。

指出 ぼくが尊敬していて、しかもチャーミングでいいなと思って、ファンでいるんですけど、島根の雲南に畑鵯(はたひよどり)っていう凄い素敵な地名のところで、くらしアトリエっていうのをやってらっしゃる女性の方がいまして。

その方はここの暮らしは素敵だということを私は言い続けますって言っていて、そういうところは他の地域にもありますけど、私達は言い続けるしかないから、とにかく言い続けると。自分たちのところは本当に素敵だということを前に前に言い続けることが実は大事だったりするんですよね。みんなそれぞれ地域のこと絶賛べた褒めしながら、自分たちの街はほんとに良いってことを言うってことを、口に出すことがけっこう大事。

家入 確かに。ほんとですよね。

指出 僕の中には地域に彼女のような先生がいて、そういう事を教えてくれるから、なんかこう話もできてありがたいですね。

 

【質問】地域のプロジェクトに対してお金の流れを増やすにはどうしたらいいでしょうか。

家入 地域のプロジェクトに対してもっと大きなお金の流れ。そうですね、さっき、ふるさと納税のところでも話をしましたけど地域金融の方々と組んでやるっていうのもありますし、地道にやってはいるけどもって感じではありますね。

ただ、今後の流れを考えていくと、統廃合をして大きくなっていくというか、地域に根ざした金融が存在しなくなっていくんじゃないかって仮説があって、信用金庫や信用組合とか、ああいったものは逆に存在感を増していくと思いますけど、地銀って言われるものは多分統廃合を繰り返し、地域密着型みたいなことは逆に出来なくなるなと。

一人一人のことを見てると、コストが見合わないと言う話が出てくると思っていて、そういった時にクラウドファンディングが全てを解決するなんて思ってはいないけれども、とはいえ、何かしら新しいことをやりたいとか、これからやろうとしていることがあって資金が必要な時に、銀行じゃない金融機関じゃない新しい第三の仕組みとしてクラウドファンディングがあって、そこに対してどうお金を集める仕組みを作っていくかっていうのは、金融機関化していく部分も若干あるのかなというのはなんとなくイメージはするですよね。CtoCだけですべてが上手くいくっていう話ではなくて、CtoCをベースとはしているんだけれども、そこに僕らがリスクを取ってお金を貸してあげる仕組みなのか、出資をする仕組みなのか、ハイブリッドみたいな仕組みは必要とされるていくのかなというのはちょっと思ったりします。

指出 信用金庫さんは各地で特にこういうローカルで地域のことをやる人たちに寄り添う形を意識的に取り組んでるところが随分増えていて、僕が取材で伺うところも実は信用金庫さんが一緒にやってくれててというのが増えていて、これはいいなと。元々そのために生まれたものでしょうし、信用金庫ってそう思いました。

家入 そうなんですよね、なので、逆に存在感がめちゃ増してるっていうことですね。

指出 ハイブリッドって、まさに家入さんが仰る通りですよね。たぶん複合的に考えて、お金を合わせたり分けたりしていくような考え方がローカルプロジェクトにあっているのかもしれませんね。

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家入 一真

いえいり・かずま
2003年 「ロリポップ」「minne」など個人向けサービスを運営する株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を福岡で創業、2008年JASDAQ市場最年少で上場。退任後、2011年株式会社CAMPFIREを創業、代表取締役に就任。他にもBASE株式会社の共同創業取締役、エンジェル投資家として60社を超えるスタートアップへの投資・支援、現代の駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」の世界展開なども。 2018年、シード向けベンチャーキャピタル「NOW」を設立。第一号として、最大50億円規模のファンドを組成。生きづらさを抱える人の居場所づくりや、「やさしい革命」を合言葉に、テクノロジーによる社会のアップデートを人生のテーマに活動しています。

指出一正

さしで・かずまさ
月刊『ソトコト』編集長。1969年群馬県生まれ。島根県「しまコトアカデミー」、静岡県「『地域のお店』デザイン表彰」、奈良県「奥大和アカデミー」、奈良県下北山村「奈良・下北山 むらコトアカデミー」、福井県大野市「越前おおの みずコトアカデミー」、和歌山県田辺市「たなコトアカデミー」、高知県津野町「地域の編集学校 四万十川源流点校」など、地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「わくわく地方生活実現会議」、「人材組織の育成・関係人口に関する検討会」委員。内閣官房「水循環の推進に関する有識者会議」委員。環境省「SDGs人材育成研修事業検討委員会」委員。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。趣味はフライフィッシング。