新しい評価軸「生き様経済」。 | 2 | やってこ! 実践人口論
2019.12.03 UP

やってこ! 実践人口論 新しい評価軸「生き様経済」。 | 2 | やってこ! 実践人口論

SUSTAINABILITY

「実践人口」を増やすための合言葉が「やってこ!」である。
「やってこ!」が世代を超えたつながりを生み、ローカルをおもしろくする。
生き様経済の時代を生き抜くには「やり続ける」しかない。

 ソトコトのみんな、やってる〜? 連載2回目の今回はまず「実践人口」のおさらいから。これは観光以上、移住未満のローカルへの関わり方を示す「関係人口」の先にあるキーワード。

 ローカルの生き方に覚悟を宿して、一度きりの人生をおもしろく生きるために行動する。自分に限界を決めるのではなくて、常に「もっと! もっと!」という姿勢でやり続けている人たちが僕はローカルの未来をつくると考えていて、そうした人たちのことを総じて「実践人口」と呼んでいます。

なぜ、僕は「やる」のか。

 僕はこれまでWebメディアの編集長として全国を旅しながら、命の炎を燃やしてがんばる多くのローカルプレイヤーを取材してきました。彼らは困難に向き合いながらも、小さな経済圏に臆することなく自分なりのやり方でおもしろい人生を歩もうとしていました。20代のほとんどを新聞配達と牛丼屋のアルバイトに費やし、社会人としては遅咲きだった僕にとって、それはとてもまぶしく、かっこいい生き方に見えました。

 みんなと同じ土俵の上に立ちたい!  だったら自分が「やっている人」になるしかない!  長野と東京の2拠点生活を始めて開いた『やってこ!シンカイ』は、そんな僕の実践者への強い憧れから生まれた場所でした。

『やってこ!シンカイ』の今。

 全国のローカルプレイヤーがつくった雑貨や洋服、本などを売る『やってこ!シンカイ』は、サブスクリプション制(定額課金制)で出店者から資金を集めて運営しています。既存の小売業や利益の求め方から距離を取り、ファンビジネスとしての新たな収益方法に挑戦する。それは東京とローカルを反復横跳びして、その過程で得た学びや気づきを、社会的な価値として“実践”に落とし込まなければいけないという、僕なりの強い使命感から生まれたものでした。

2か月に1度開催している「やってこ!マーケット」の様子。
2か月に1度開催している「やってこ!マーケット」の様子。

 『やってこ!シンカイ』からは今、「やってこ!」が新たな「やってこ!」を生み出すような、いい連鎖が次々と始まっています。イベントを開けば、全国からたくさんの人が長野に集まり、打ち上げはいつも30人以上の大宴会。出店者同士で「お前はやっている。でも、俺のほうがもっとやっている!」というような“かましあい”も行われているんです。

 全国のローカルプレイヤーが、世代をまたいだ“ナナメの関係性”を築き、お互いを鼓舞し合う。それはまだ僕が見たことのなかった景色であり、それこそ、やってみなければ見ることができなかった“新しくて、おもしろい景色”でした。

「生き様の経済」の時代。

 これからは貨幣経済における「お金」ではなくて、社会的な「評価」を仲介にしてモノやサービスが交換される「評価経済」の時代がやってくると言われます。僕はここでいう社会的な「評価」とは、つまり「生き様」のことだと考えています。

 社会の一員として自分はどのように生きているのか、その生き方に自分はどのくらい納得しているのかが問われる。それは「生き様経済」の時代と言い換えてもいいと思います。

 僕はいい死に方をしたいです。みんなに葬式で泣いてもらいたいです。そのためには他人の人生に深く関わりながら、みんなの自己実現を後押しする存在であり続けないといけない。だから、やる。やってやってやりまくる……! そうやって周りに大きな影響を与えられる人になれば、結果的にいい死に方に近づける! そう、信じているんです。

 人生一度きりなのに、このまま何も残さずに死んでいいのかよ?  僕はそうやって自分を問い続け、みんなを鼓舞し続けながら、終わりなき「やってこ!」の世界を生き抜くつもりです。

 次回は僕の周りにいるかっこいい「やってこ!」な人たちの生き様を紹介します。また読んでくださいね。ではまた!

記事は雑誌ソトコト2018年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

text by Huuuu

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徳谷柿次郎

とくたに・かきじろう
1982年生まれ。大阪出身の編集者。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社『Huuuu』の代表取締役。長野と東京の二拠点生活をしながら、どこでも地元メディア「ジモコロ」/小さな声を届けるウェブマガジン「BAMP」の編集長として、全国47都道府県を飛び回る。地域特有の課題を情報発信の力でサポートしている。趣味はヒップホップ、温泉 、カレー、コーヒー、民俗学など。