「菜園の大リノベーション 前編」
2019.12.11 UP

連載 | 森の生活からみる未来 | 71 「菜園の大リノベーション 前編」

SUSTAINABILITY

 昨年の11月、2か月半ぶりにニュージーランドの森へ帰ってきた。こちらの冬季に森を離れ、夏季の日本を拠点に、世界で移動生活を送る、といういつものパターンである。

 今回のように、家を2か月以上空けてしまうと、森での暮らしを日常に戻すための作業は、なかなかのボリュームとなる。いつもならば、家と車に1〜2日、桟橋とボート周りで1日、庭に2〜3日という感じで、トータルで1週間ほど。だが今回はある作業に、いつも以上の時間と労力を要することになった。

 2010年にここに移住して以来ずっと、自分の手で庭を改造してきた。それは「手」というより、「全身」を駆使しての、ものすごい重労働。だが、ぼく自身が、疲労困憊するほどの肉体労働を偏愛し、土と植物と向き合うガーデニングが大好きということもあり、その作業自体は楽しくてしょうがないのだが。

 もともとうちの庭は、前の持ち主の趣味で、バラを中心に季節ごとの花が計算されて植えられた「フラワーガーデン」だった。そして、ぼくがこの庭を改造してきた理由は当然、菜園と果樹園のスペースを増やすため。つまり、「フードガーデン」に変換するためであった。

 そして実は、ぼくなりの「フードガーデン化計画」は、3年前にほぼ完成。だが一昨年から、思うような収穫を得られないようになっていたのである。

 これは何か策を講じなければと、近所のオーガニック菜園の達人に相談したり、自分なりにいろいろ調べて出した結論は、思いきって「土の総入れ替えをすべき」というものだった。さらに、そのタイミングで、畑を大幅に増やすことにしたのである。

 以前、かなり詳しくそのシステムの解説をしたので割愛するが、我が家ではキッチンから出る有機物はすべて土に還している。

 植物性の生ゴミはコンポストに入れ、解体した魚の食べられない部分は、畑か、腐葉土をつくるスペースに埋めている。これはすべて、菜園のためだ。

 1年ほど熟成させてつくったこれらの土を、毎年、冬か春に、菜園に加えていた。つまり、畑の土も自作していたのである。

 だが、今回の大リノベーション計画では、自前の腐葉土だけではとても足りないため、街の「土屋さん」で、オーガニックの腐葉土を購入することを決意。

 「土屋」と書くしかなかったが、日本でこういったお店(?)を見たことがないため、なんと形容したらいいかわからない。そこの野球場ほどの広大な敷地内には、畑や芝生用の土だけでなく、多種多様な砂利や岩、木材や木片が山積みになって売られている。

 車のままそこに入って行き、必要な土の種類と量を告げる。すると、大規模な工事現場でしか見ないような大型のパワーショベルで土を運んできてくれるのだ。ぼくの車はSUV型ハイブリッドカーなので、大量の土を運べるトラックのような荷台は付いていない。

 よって、そこでレンタルできるトレーラーを、自分の車に接続して引っぱって帰ることになる。ちなみに、ここでの販売単位は「ショベル何杯分」というもの。

 ぼくは移住してから、ボートやキャンピングトレーラーを引っ張る機会が頻繁にあったため、トレーラーの牽引自体には慣れている。だが我が人生で、「パワーショベル単位で土を買う」という経験をすることになるとは、想像もしていなかった。増設する菜園の規模から計算して、ぼくは最終的に「パワーショベル5杯分」を買うことになるのだが……。

(次回へ続く)

記事は雑誌ソトコト2018年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

写真・文●四角大輔

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四角大輔

よすみ・だいすけ
ニュージーランドの湖で半自給自足の持続可能な、森の生活を営む執筆家。フライフィッシング冒険、世界でのオーガニックジャーニー、アーティスト育成をライフワークとし、会員制コミュニティ『Lifestyle Design Camp』学長、複数の企業の役員やブランドアドバイザーを務める。レコード会社プロデューサー時代に7度のミリオンヒットを創出。好評発売中の新刊『人生やらなくていいリスト』では、ストレス社会となった日本で、自分自身を守り抜き、軽やかに働き、自分らしく生きるために必須の「ミニマム仕事術」と世界一簡単な「人生デザイン学」を公開している。増刷を重ね、現在4刷。