daita2019 新しい家族像に応答する立体的な庭がのみこまれた家。
2020.01.16 UP

連載 | SUSTAINABLE DESIGN daita2019 新しい家族像に応答する立体的な庭がのみこまれた家。

SUSTAINABILITY

 日本の家を取り巻く大きな問題として、高度成長期につくられた家のほとんどが核家族のための商品住宅だったということがある。核家族のためにつくられた家で、核家族以外の暮らし方をしようとすると、暮らしと空間がまったくかみ合わないので、何をしていてもストレスがある。改造しようとしても、パッケージ商品だからほとんど改造ができない。核家族の家は余るほどあるのだが、「多様な家族像の身の丈に合う住宅を!」というのは、より重要なテーマとなっている。

 今回紹介する『daita2019』という住宅は、若手建築家・山田紗子氏の設計によるものだ。まず驚くのは、家の前面が立体的な庭で覆われていることだ。庭といっても、鉄パイプと植物が交じり合っていて、なにやら野性味がある。私がおもしろいなと思ったのは、敷地の半分を家、半分を庭と思い切って半々にしたことで、家と庭のどっちが主役かもはやわからなくなっている点だ。この家には親と子の二世代が暮らしているのだが、二世代住宅というよりもこれは新しい家族像のための住宅と考えるのがしっくりくる。一人で住んでほかを間貸しすることもできるし、働きながら暮らすこともできる。多世代シェアハウスとしてワイワイガヤガヤ暮らすにも良さそうだ。昔の日本の家には、必ず縁側や土間があった。内部か外部かがあいまいな中間領域があることで、多様な暮らしを可能にしたのだが、この住宅の庭は、立体的になることで縁側としても土間としても機能している。そのせいなのか、ものすごく斬新なデザインなのに、とても自然につくられているようにも感じる不思議な家である。

住所:東京都世田谷区
施工年:2019年

※個人住宅のため、見学不可。

記事は雑誌ソトコト2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

©yurika kono

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藤原 徹平

ふじわら・てっぺい
建築家。1975年横浜生まれ。2009年より『フジワラテッペイアーキテクツラボ一級建築士事務所』主宰。2010年より『一般社団法人ドリフターズインターナショナル』理事。建築、地域計画、まちづくり、展覧会空間デザイン、芸術祭空間デザインと領域を越境していくプロジェクトを多数手がける。2012年より横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。受賞に横浜文化賞 文化・芸術奨励賞など。