奥の細道のむすびの地、船町の川湊にある投句箱と投句記載台。芭蕉の句「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」にちなんで、蛤の形をしている。市民投句のポストは市内40か所以上に点在する。
2020.01.13 UP

連載 | SUSTAINABLE DESIGN 岐阜県大垣市 日常の延長線上に、十七音の文学。

SUSTAINABILITY

 松尾芭蕉が『奥の細道』の旅を終えた地、大垣市。俳句をむ私にとって、ここは愛媛県松山市に負けない「俳句のまち」だ。市内には俳句ポストが点在し、俳句関連行事も多い。大人向けの初心者教室や句会も盛んだが、“小さな俳人”も活躍している。

 子どもの句はとにかく純真で、着眼点と言葉選びがおもしろい。市内の小・中学校では俳句の授業が年10時間もあり、地元の俳句協会から講師が派遣されるため、プロから直接作句を学ぶことができる。発表の機会は俳句大会や市民投句。さらに今年度から、子どもの句を厳選した句集が市から発行される。この頃から俳句に触れることで、日本語の美しさや四季の恵み、故郷の魅力を心に刻んでいけるのだと思う。

 俳句は、世界一短い文学と言われる。感じたままを五七五にのせるだけで、いつもの風景も彩度が変わる。大垣市民にとって俳句は日常の延長線上にあり、子どもも大人も共に楽しめる文学なのだろう。私も一句を書き留めて、ポストへそっと入れた。

記事は雑誌ソトコト2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

photograph & text by Maiko Goto

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後藤 麻衣子

ごとう・まいこ
岐阜在住の編集者・コピーライター。工業デザイナーの夫と、プロダクトデザイン事務所『COMULA』とセレクトショップを運営。大垣市『和-NAGOMI-』句会所属の俳人。俳号は、後藤衣錦。