るてん商店街
2020.01.21 UP

京都駅東側、崇仁地区でお買い物を。お店はくるくる代わります。露店のような『るてん商店街』。

LOCAL

2019年9月、JR京都駅東エリアにある広大な駐車場区画に週末限定の商店街がオープンしました。
そこは、かつて被差別部落として差別に苦しんだ人たちと在日コリアンが多く暮らし、近年では高齢化や人口流出などの問題を抱える下京区の崇仁地区──。

京都屈指の好立地に、新たな商店街がつくられた理由。

 下京区河原町塩小路の交差点の北西角にある駐車場約2万600平方メートルがその舞台。通常は時間貸しの駐車場で、毎月第1土・日曜に商店街がオープンする。なぜ、そんな好立地に広大な土地があったのか。実はこの京都駅東側は京都市による再開発が進められており、駐車場として活用されている土地も住宅用地として買収したもの。同地区に隣接する土地には京都市立芸術大学の移転も予定されており、京都市の中でも注目が集まるエリアの一つだ。

けん玉のパフォーマンス
けん玉のパフォーマンス。

 他方、一帯は、長年にわたり部落差別に苦しんだ土地で、近年では高齢化や人口流出に直面している。多くの住民が暮らしているにもかかわらず、当地には大きな問題もあった。スーパーマーケットや商店などが近隣になく、わざわざ自転車やバスを使って買い物に行かねばならなかった。好立地だが、難しい課題を多く抱えた場所。地域に入り、プロジェクトを起こすにはなかなかにハードルが高かった。ただ、京都市としても、地域住民の暮らしを守り、コミュニティを再生していくことは必須。そこで出来上がったのが、今回の『るてん商店街』なのである。

駐車場敷地内にある常設店舗。
駐車場敷地内にある常設店舗。

崇仁地区でプロジェクトを遂行するために。

 『るてん商店街』を立ち上げたのは『ピーエイ』。東京に本社を置く企業で、京都市から土地を賃借するカタチで運営する。この日、案内してくれたのは『るてん商店街』運営事務局長の佐藤秀喜さん。「弊社代表の加藤が、高齢化や若者の流出が著しかった崇仁地区に賑わいをつくりたいと、まず立ち上げたのが、近くにある『崇仁新町』。一定の評価をいただき、この『るてん商店街』のプロジェクトにつながりました」。

『ピーエイ』に所属して運営にあたる佐藤秀喜さん。
『ピーエイ』に所属して運営にあたる佐藤秀喜さん。
ピーエイ』代表の加藤博敏さん。加藤さんは福島の未来を担う人材を育成する『ふくしま復興塾』の発起人の一人でもある。
『ピーエイ』代表の加藤博敏さん。加藤さんは福島の未来を担う人材を育成する『ふくしま復興塾』の発起人の一人でもある。

 『崇仁新町』はいわゆる屋台村だ。さまざまな飲食店が、コンテナを改装した店舗に入る。連日若者を中心に賑わいを見せる。一方、『るてん商店街』は、より地域密着型。付近の住民の方々に、日々の暮らしに必要なものが買える場所をつくりつつ、賑わいを提供したいと始まった。

 「ブースの出店は月に1度ですが、野菜や肉などは敷地内にある店舗で毎日販売しています。休憩スペースとしても利用でき、無料のコーヒーも用意。地域の方々に利用していただけるよう、今も工夫を重ねています」

飲食ブース。
飲食ブース。

 一見、よく見かける普通のマルシェのように見えるが、やはり崇仁地区でできていることに、驚きを隠せない人は多い。「チームをつくって進めたのがよかったのだと感じています」。佐藤さんがそう話すチームのメンバーの一人が小久保さんだ。小久保さんは『崇仁新町』のブランディングや企画を担当した人物。「京都は自治組織が特に強いところ。『崇仁新町』でも地域の自治連合会の方々とコミュニケーションをとり、長年地域でビジネスをやってこられた方に、運営団体の代表に就いていただきました。僕らがよそからやって来て、僕たちが主でやるんじゃなくて、地域があって、地域でやる気のある人やキーマンがいて、あくまで僕らはそのパートナー。きちんと地域にお金が回りますし、地域主体で進めていくのが一番いいと思っています」。

エリアプロデュースの専門会社である『walks』代表の小久保寧さん。
エリアプロデュースの専門会社である『walks』代表の小久保寧さん。
近くにある屋台村『崇仁新町』も小久保さんのプロデュース。
近くにある屋台村『崇仁新町』も小久保さんのプロデュース。

 『るてん商店街』でもチームが結成され、およそ1か月という短期間で仕上げることができた。地域のキーマンである篠部大五郎さんもメンバーの一人。長らく、京都市内各地でイベント運営などに関わってきた人物。「地元の人間が一人いると、つなぎ役や、クッションになっていいのかなって思いますね。感想ですか? 駐車場を使って、こういう催しをすることが非常におもしろい。毎日満車になるわけじゃないし、『空いているなら、違う使い方をすればいいんだ!』という新たな発見。ほかのところでもやりたいとこ、あるんちゃうかな」。

『るてん商店街』プロジェクトマネージャーの篠部大五郎さんは、「あせらず、この場の認知度を上げていきたい」と話す。
『るてん商店街』プロジェクトマネージャーの篠部大五郎さんは、「あせらず、この場の認知度を上げていきたい」と話す。

記事は雑誌ソトコト2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

photographs by Mao Yamamoto
text by Yuki Inui

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