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2020.02.20 UP

連載 | ながれやまlab. ‐まちをみんなでつくる‐ | 8 ヒトありきの配置配属はアートのように

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まちの人事部長が一番こだわる、配置配属の考え方や具体的に行なっていることを書きたいと思います。

通常の配置配属との違い

一般的に配置配属といえば、既存ポストへの異動や、戦略推進のための新規ポストへの任用をイメージするのではないでしょうか。業務に対する適性に加え、組織文化やメンバーとの相性も考慮されるのは、「組織が狙っている結果を出してほしい」という“組織のため”を重視した意図があり、こうした配置配属は戦略の見直しに伴い定期的に行われます。経営戦略を実現するための組織戦略だから、当然です。

まちの人事部が行う配置配属は、以下の点で一般的な企業組織での配置配属とは決定的に異なります。

①組織戦略やポストは存在せず、地域リーダーとなったまちの“ヒトのため”に行われる
②ヒト研修修了のタイミングで、ヒトが望むその後のステップに合わせた箱を創る

素材(ヒト)を引き立てるレシピ(今後の展開)を創作し、皿(箱)を用意する

例えてみましょう。machiminにヒトが集い、研修を通じて育ったヒトがプールされていくことは、冷蔵庫に旬で食べ頃の食材が存在することだと仮定します。“料理人”であるまちの人事部長は、冷蔵庫の中を見渡すかのように、研修で交わした多様な会話や表情から、「これとそれに、あれを合わせたら、各々の素材が活きる最高の一皿ができる!」というイメージを膨らませます。

次々に湧き出すイメージに沿って、素材の組み合わせや切り方、分量、下味のつけ方、火の通し方、隠し味など味見をしながら試作を繰り返し、全ての素材が活きるバランスの取れたレシピを丁寧に開発します。

日刊machimin

レシピ開発とは、つまり研修の中で知り得た情報、具体的にはヒトの希望や強みをはじめ、弱み・制約条件・癖・価値観・本気度・テンポ、そして何より能力やスキルをうまく組み合わせられそうなヒトをチームとしたときに、どんな企画や戦略を立てればヒトの価値が最大限発揮されるのか(=素材が最も活きるのか)を考えることです。

ただし、レシピ開発を私1人で最初から最後まで行うわけではありません。「これを実現するには、こんなバショがほしい」というヒトのイメージを詳細に共有する時間を設けます。その中で、その場にかかわるスタッフの強みを全員で確認し、役割を明確に分け、各々の強みから逆算して準備できるコンテンツを人数分見つけておきます。そうすれば、シーン毎に企画や運営を主導するリーダーが変わることになります。だからこそ、自分の能力を自覚しやすく、チームへの貢献感を感じやすく、自己肯定感を高めながら互いに認め合うことができ、上下固定されないチームの“関係性”をつくることができます。

ワークショップ

カチッと音を立ててパズルがハマった音が全員に聞こえた時こそ、machimin◯という名の新たなレシピの完成です。次に、そのレシピが一番引き立つお皿(箱)を選ぶのですが、食べてほしい相手(ターゲット)や提供するシーン(コンセプト)などもよく考えて選ぶ必要があります。

現在は、machimin2-4についてチームメンバー毎に詳細なレシピとそれに見合うお皿像の話し合いを重ね、実現可能な箱の候補を数カ月かけて探し、ようやく見つけた段階です。あくまでも、ヒトの「~したい」ありきで箱(バショ)を探し、コンテンツに応じてDIYで自分たちが使いやすいように箱の中身を整えていきます。

machimin2のリノベ計画中
※いま、machimin2のリノベ計画中です!

machiminの配置配属は、ヒトの希望する暮らし方や生き方が最適化できる環境設計であり、ただの部署移動や人の補填などではありません。

「報酬なんてどうでもいいや」と感じるくらいに、ヒトがワクワクして活動に取り組める環境設計をしたときに、結果的に組織に対するロイヤリティや成果が上がってくると考えます。

アートを科学していく3年目に

2周年を機にmachimin4まで細胞分裂のように展開できることは、奇跡のようです。汎用性がある採用や育成、輩出とは異なり、私の配置配属論には汎用性があるとは思えません。レシピの無限の可能性を探る開発プロセスは、まさにアートのようにも感じています。アート作品のようなバランスは模倣をしても、全く同じにはならない、なれないでしょう。それでも科学的に分析して、誰もが立ち上げられる仕組みにしてみたいのです。「自分のまちにmachiminをつくりたい」と立ち上がる方がいるなら、“0円フランチャイズ”として広めていきたいと考えています。

おっと、文字数の限界が来ていますので、この辺で(笑)。生き物のように変化進化していくmachiminですが、次回は「今後、どこに向かっていくのか」という方向性や可能性についてお伝えできればと思います。

text●手塚純子
illustration●はしもとあや

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手塚純子

株式会社WaCreation 代表取締役社長(本社:千葉県流山市)
1983年大阪生まれ神戸大学経営学部卒業。人的資源管理を学び、体育会アメフト部で組織マネージメントを実践し、人や組織の面白さにどっぷりはまる。2007年株式会社リクルート入社、営業・人事・企画を経験。ビジョン策定浸透・採用・人材育成などの分野でプロデュースを強みとする2児の母。生牡蠣とオムライスが好き。