日本全国に存在する、読み方の難しい地名。
福島県福島市にある「温湯」もその一つです。あなたは何と読むか分かりますか?「おんゆ」や「おんとう」ではありません。
正解は「ぬるゆ」
知らなければなかなか答えられないですよね。
この「温湯(ぬるゆ)」の地名の由来を調べてみると、ちょっと変わった温泉や歴史ある観光地など、温湯の魅力が見えてきました!
温湯(ぬるゆ)の地名の由来はぬる~い温泉!?
温湯(ぬるゆ)の地名の由来には、ある温泉が関わっていることが分かりました。
それが「微温湯(ぬるゆ)温泉」。なんとお湯の温度が約32℃の超ぬるい温泉なんです!
福島市役所観光交流推進室の根本さんにお話を伺うと、「温泉の源湯温度が低温であることから、温湯(ぬるゆ)と名付けられた」とのこと。文献によると明治22年当時、住所に「微温湯」が使われていることが確認できたそうで、数度の市町村合併を経て現在の「温湯」表記に至ったのではないか、と推察されています。
四季の美しさとぬるい温泉を楽しめる、微温湯(ぬるゆ)温泉
微温湯(ぬるゆ)温泉・二階堂は、福島市・吾妻小富士の東麓に位置する温泉。冬季は積雪が多いため、11月下旬~4月下旬まで休業しています。微温湯温泉の魅力は、何といってもその“ぬるさ”。溶岩流の下から湧出しているため、地下水が混入して低温となっているのだそう。
微温湯温泉旅館の二階堂さんにお話を伺うと、「眼病に効果があると言われているため、その効果を求めて来るお客さんも多い」のだそう。また夏の間はぬるさが心地よく、長湯してものぼせないことも魅力だと言います。
福島市役所観光交流推進室の根本さんも、微温湯温泉の魅力について「毎分194Ⅼの豊富な湯量で、源泉かけ流しであること。また、夏場の福島市は、盆地性気候により気温35℃を超える日が続くが、ぬる湯がかえって心地よい」と仰っていました。
また、福島市内随一の秘湯であり、歴史のある建物や、周辺の豊かな自然も魅力。最も古い棟は、1872(明治5)年ごろの茅葺き屋根の旅館客室で、風情たっぷり。
山道の途中から車1台がギリギリ通れる一本道となり、その先にひっそりとたたずむ旅館二階堂は、思わず圧倒されてしまうほどの存在感。静かな山の中にあるため、避暑地として訪れる人も多く、現実逃避の旅にもおすすめです。
温湯(ぬるゆ)の他にも見どころたくさん!
温泉以外にも、温湯(ぬるゆ)を含む福島市西部エリアには、自然の美しい場所や歴史ある観光スポットがたくさんあります。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ①あづま総合運動公園
広い園内に四季折々の花や草木があふれる公園。春には約800本の桜並木、初夏には約10,000本のヤマユリ、秋には116本のイチョウ並木がライトアップされ、散歩や写真撮影などで人気のスポット。陸上競技場や野球場、運動施設、広場などがあり、ピクニックや遊び場としても楽しめます。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ②福島市民家園
園内には、江戸時代中期から明治時代初期にかけての県北地方の古民家が移築復原され、当時のたたずまいが再現されています。復原した建物の多くは国、県、市の文化財に指定されているのだそう。また、園内にある旧広瀬座は、連続テレビ小説「エール」のロケ地にもなっているそうですよ。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ③四季の里
四季の里は、16世紀のヨーロッパをイメージさせるレンガ造りの建物が点在する農村公園。広々とした園内は芝生に覆われ、花の庭園や伝統工芸、農村レストランなどが楽しめます。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ④水林自然林
明治時代より、度重なる荒川の氾濫から守るために、堤防を築いたり植林や育樹を繰り返した水防林。川のせせらぎと共に、多くの植物や野鳥など豊富な自然がお出迎えしてくれます。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ⑤アンナガーデン
小高い丘の上にある協会が目印で、市内を一望できるアンナガーデン。喫茶、ブティック、アクセサリーショップ、ヨーロピアン家具店などがあり、買い物やおしゃれな街並みの散策などが楽しめます。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ⑥慈徳寺の種まき桜
樹齢300年以上といわれるしだれ桜。昔はこの桜の開花を目安に苗代に種を蒔いたことから、「種まき桜」と呼ばれています。市街の眺望もよく、福島市の天然記念物にも指定されている桜です。
温湯(ぬるゆ)周辺の見どころ⑦honey bee(ハニービー)
手づくりジェラートのお店。100種類以上もあるフレーバーから、日替わりで16種類が並びます。フルーツやチョコレートがトッピングされており、見た目もカラフルで楽しいジェラートです。
秘湯のある町、温湯
温湯(ぬるゆ)には、ぬるさが魅力の秘湯や、自然にあふれた場所、異国情緒の漂う観光スポットなど、魅力的な場所がたくさん。読めない地名をきっかけにその町を調べてみると、知らなかった魅力的なスポットに出会えることがありますね。
「温湯」の読み方と町の魅力、ぜひ覚えておいてくださいね!
▼取材協力
・福島市役所観光交流推進室
・微温湯温泉・二階堂
・高湯温泉観光協会