東京都港区芝地区に関わる人なら、誰もがつくり手です!「みんなの地図」が描く、つなげる、地域の輪。

東京都港区芝地区に関わる人なら、誰もがつくり手です!「みんなの地図」が描く、つなげる、地域の輪。

人の気配が感じられる地図!? 地域活性化を目指す「ご近所イノベータ養成講座」のプロジェクトで、一枚の地図が完成しました。知っていそうで知らない店や、かなり個人的な願いなどが載った地図。つくる過程でもつくった後にも、地域をつなぎます!

「住む」から「暮らす」にシフトする地図を!


 スマホやパソコンの地図で、目的の場所を検索する。毎日当たり前に使っているけれど、「暮らしている」実感が持てる本当に必要な情報はその地図にあるのだろうか……。そんな気づきを与えてくれるのが、「みんなの地図」だ。そびえ立つ東京タワーが目の前に見える東京都港区芝地区。そこにある、知られざる地域に根ざしてきた店やコミュニティスペース、子どもの自転車の練習にぴったりな公園などがプロットされている。


 このユニークな地図を製作したのは、「ご近所イノベータ養成講座」で結成された「みんなの地図チーム」。港区と慶應大学によって2013年から開講されているこの講座で、地域を活性化させるのに役立つスキルを学んだ受講者が、プロジェクトを企画・実施している。19年に受講した久松知博さん(ひさまつくん)、本間順子さん(じゅんちゃん)、佐藤玲緒奈さん(ロンちゃん)、佐藤めぐみさん(さとめ)、本名は内緒の“はにお”の5人でチームが結成された。


これからまち歩きに出発する「みんなの地図チーム」のメンバー。
これからまち歩きに出発する「みんなの地図チーム」のメンバー。

 この「みんなの地図」は、港区在住のひさまつくんの発案だった。子どもが生まれてから子どもと遊べる場所を知りたいと地域に興味を持ち始めた。また、育児に追われ、あまり外出しなくなった妻にきっかけをつくれたらという思いもあった。「まちの魅力や安心できる情報が載っていれば、妻も出かけるかもしれないと思って。それに僕は、基本的に一人が好きな根暗な人間なので(笑)、コミュニティに積極的に入れない人でも、人の存在を押し付けがましくなく感じられるような地図を手に取り、まちとのつながりを持てたらと思いました」。こうして、今までにない地図づくりが始まった。


チームリーダーの“ひさまつくん”、こと久松知博さん。東京・港区在住6年。
チームリーダーの“ひさまつくん”、こと久松知博さん。東京・港区在住6年。

人の存在を感じられる地図が、試行錯誤の末に完成。


 講座受講中、ひさまつくんに起きたある出来事が、地図のコンセプトにつながった。「『芝の家』(芝3丁目のコミュニティスペース)に出かけた帰りに、子どもの靴の片方を落としてしまって。探しに戻ると、『どなたか分かりませんが、ここに置いておきます』と手書きのメモと靴を道端で発見しました。そんなまちの優しさを、地図を通じてみんなで共有できたらいいなと思いました」。


 メンバーはみんな、日中に仕事をしているため、普段はSNSを使い、時には仕事帰りに集まって「みんなの地図」をどうつくっていくのか話し合った。ただし、その道のりは平坦ではなかった。


 「2時間遅れでミーティングに参加したら、役立つ情報のメディアがいいと話が変わっていて……。そこから1時間かけて地図への思いを再び伝えるなんてことも」と話すひさまつくん。仕事とは異なる、地域の活動。メンバー同士にも地域の人とも利害関係がなく、正解がない話し合いに、メンバーは何度も戸惑った。それでも、SNSでは伝えられない大事なことは電話や対面で話をして、コンセプトや方向性を共有できてからは、作業のスピードが上がり、一気に地図を完成させられたという。


 地図には、住民の思い出や地域に欲しいものを掲載する。『芝の家』に集まる人にアンケートを取ったり、Facebookで募集したり、また、Instagramから芝地区の情報収集も。さらには、より多くの人が製作に関わる開かれた地図にしようと、一緒に散歩しながら地域の魅力を発見するイベントも開催した。「参加者は一人でしたが、この企画に共感してくれた人がいてうれしかったです」。そう話すひさまつくんをはじめ、チーム全員で困難を乗り越えて、「みんなの地図」がようやく完成した。


2019年11月に完成した「みんなの地図」。暮らしがより楽しくなる。
2019年11月に完成した「みんなの地図」。暮らしがより楽しくなる。

 「地図をつくって、外出した時にあいさつする人が増えました。妻はすごいねと言ってくれたけれど、外出は増えたかな……(笑)。やってみるとそれなりに楽しいので、自分のまちでやってみるといいですよ!」とひさまつくんは押し付けがましくなく、勧めてくれた。


地図を一緒につくるメンバーの方々に聞いてみました。 ローカルプロジェクトを実際にやってみて、どう感じた?


ロンちゃん


ロンちゃん


 ネット上にコミュニティをつくる港区のIT企業に勤務して6年。自宅と会社の往復で、この地域のことをよく知りませんでしたが、活動に主体的に関わることでここが好きになっていきました。誰でも参加できるハードルの低さが、この地図づくりの魅力。関西の方から上がった、「たこ焼き屋さんがあったらなあ」のような声を引き出せたら、地域が盛り上がるのではと思いました。


 直接コミュニティに参加しなくてもつながれるツールがいいなあと思っていましたが、顔が見えるのはやはり安心しますね。この地図が次のステップになればうれしいです。


じゅんちゃん


じゅんちゃん


 港区に在勤約15年、品川区在住です。地域のコミュニティのよさや、時代の流れによる温故知新に関心があります。地図をつくるなかでSNSによる情報収集・発信をしていたら、港区在住の方から活動に共感するコメントをもらい、うれしくなりました。こうやって情報を共有することで港区と関わりを持つことができ、地図づくりを通じて関係人口になれたと思います。


 世の中には情報があふれていて、欲しい情報はすぐに集まると思ったけれど、簡単にできることでもないとわかりました。寄り添う気持ちを持って自ら行動することの大切さを体感しました。


はにお


はにお


 港区に住んで10年以上。未婚で子どももなく、同世代、同じ境遇の人と接点を持ちたいと思い、参加しました。


 地域のプロジェクトに参加して、肌で人の多様性を感じ、自分を客観視できるようになってきたように思います。もともとせっかちな性格なのですが、相手と意見や行動が違っても、その人なりの理由があると思えるようになりましたね。会社では体験することができない地域のフラットな関係で、どうコミュニケーションを取るのか。最初は、「普通やらなくない?」と戸惑うことも多かったのですが(笑)、普通なんてないと気づくと楽しいです。


さとめ


さとめ


 子どもの頃から18年間暮らして、港区への帰属意識を強く持っています。私は別の区で学童保育をしていたのですが、子どもと親との関係が密になり過ぎて行き詰まっている様子を見て、第三者の目が持てる多世代交流が必要だと感じていました。


 実際に参加して気づいたのは、自分の思い込みで人の話を聞いている、ということ。みんな外国人相手、ぐらいの気持ちで話すていねいさが必要だと思いました。地域で暮らすからこそ、小さいけれど大切な声が聞こえてくる。自分で行動するためにも、まずはどんなニーズがあるのか観察しています。


東京都 みんなの地図


代表の久松知博さんに聞きました!


代表の久松知博さんに聞きました!


Q.プロジェクトにはどんな参加方法がありますか?


 地図に載せたい情報を随時募集しています。Facebook(FB)アンケートに投稿をお願いします。イベント開催の場合もFBで発信するので、興味があればぜひご参加ください。


❶活動団体名
 みんなの地図
❷プロジェクト・スタート年
 2019年
❸ウェブサイトなど
 www.facebook.com/minna.no.map/?modal=admin_todo_tour
❹スタッフ・メンバーの中心年齢層は?
 20歳代〜30歳代
❺スタッフ・メンバーの募集
 有

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