第8回 ディスカバー農山漁村の宝アワード 受賞者決定【特別賞-後編】

第8回 ディスカバー農山漁村の宝アワード 受賞者決定【特別賞-後編】

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2022.02.28

「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」は、「強い農林水産業」、「美しく活力ある農山漁村」の実現のため、農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例を選定し、全国への発信を通じて他地域への横展開を図る取組です。第8回目(令和3年選定)となる今回は、合計651件の応募の中からアワード受賞者を決定しました。

https://www.discovermuranotakara.com/

【特別賞ーナイスネーミング賞】環境大善株式会社

アップサイクル型循環システムで地球をキレイに!

事業概要
牛の尿を発酵・培養させた「善玉活性水」を用いた消臭液、土壌改良材等の商品開発と製造販売を実施しています。土壌改良材等は近隣アジア7ヶ国に輸出されており、輸出先での土壌改良や水質保全にも貢献しています。

◯今回応募したきっかけ

2つあって、私たちの隣町の山上木工さんが第6回で準グランプリを受賞されていたことが一つ。もうひとつは北海道開発局さんからご紹介をいただいたことです。当初弊社事業が応募対象になるかわからなく躊躇していたんですが、対象となることがわかったことと、強くご推薦いただいたので応募しました。

◯消臭液「きえ〜る」のネーミングができた過程

弊社は先代である私の父が創業したのですが、創業する以前は地元北見市でホームセンターの店長をしていました。、二十数年前のこと、お客様から「この店で売っている消臭剤では悪臭は消えない」とお叱りを受けたことがあったそうです。

様々な消臭剤を仕入れし、新商品も積極的に探したそうですが、良い商品に巡りあえませんでした。ある日、いとこの酪農家さんが「園芸の資材として販売できないだろうか?」と牛の尿を発酵させた液体をお店に持参ししていきました。父はこの液体にまったく臭いがないことを不思議に思ったそうです。

「あの臭い牛の尿が無臭になるのだから、もしかしたら悪臭が消えるかもしれない」と、ペットのトイレや、排水口、生ゴミ等で試してみることにしました。実際に使用してみると糞尿臭や腐敗臭などの悪臭が見事に消えてびっくりしたそうです。。その後安全性試験などを経て製品化をすることにしたんです。そのときにわかりやすいネーミングとして「きえ〜る」と名付けました。

◯アップサイクル型循環システムの構築で意識していること

地域内で産業を作りたいと思っています。もともと牛の尿はお金をかけて処分するか、畑に撒くしかありませんでした。我々は独自の技術を使い、牛の尿を環境微生物群により発酵・培養させる事で地球環境に役立つ液体を製造し、それを「善玉活性水」と名付けております。

善玉活性水を使い消臭液だけではなく、土壌改良材、水質改良材も製造し、空気をキレイにし、土と水を再生しています。この循環は、酪農家から牛の尿を購入することによって地域経済を循環させるだけでなく、製品を使用してくれる方々も自動的に環境危機の解決へ加わる事になり、善の循環を起こす事ができます。

製品を詰めるボトルにはラベルを貼りますが、その作業を社会福祉法人さんへ委託したり、酪農家さんから弊社への液の運搬も専用の車両を購入してくれた地元の運送会社にお願いするなど、地域内で経済が回るような仕組みを意識して事業を行っています。

◯今後同じような循環システムで取り組みたい事業構想は?

いま研究に力を入れています。私たちはもともと廃棄物だった牛の尿をアップサイクルすることに特化して事業をやっており、大学と連携して新しい使用用途や物質を生み出す試みを始めています。地域内で作ったものを全国商品に出来ることも強みだと考えており、そして私たちが稼いだお金をまた地域内で再投資するような循環を作りたいと思っています。

【特別賞ー農泊賞】SAKU酒蔵アグリツーリズム推進協議会

13の酒蔵がひしめく蔵人になれるまち

事業概要
酒蔵に蔵人(くらびと)として宿泊し、日本酒造りを体験できる世界初の酒蔵ホテルとして、インバウンドを誘致しています。長野県の空白地帯とされる軽井沢・長野間に位置する佐久の新たな冬のコンテンツとして、日本酒文化の神秘性、魅力を国内外に発信しています。

◯今回応募したきっかけ

関東農政局からお知らせで知り、調べてみると隣の小諸市も受賞されていたので、佐久地域(佐久市、小諸市、佐久穂町)で日本酒で受賞が出来ないか考えました。

認証されるようなアワードや外的評価が得られれば、認知度向上や地元行政からの信頼を得て、事業をさらに円滑に実施できると考え応募しました。

◯日本酒の蔵で酒造り体験×宿泊を思いついたきっかけ

地域おこし協力隊という立場で、DMOの立ち上げに携わるために地元にUターンはしたんですが、株式会社で地域づくりに取り組んだらもっと攻めた取組ができるのではないかという期待がありました。地元では季節波動の影響で1年を通してスタッフを雇用できずに労働生産性とサービスのクオリティが上がらないという課題も見つけたので、その課題に挑戦したいと考えるようになりました。

みんなが何もないと思っているからこそ、本当に何もないのだろうかと、この事業を通して地域に問いかけています。日本酒を作る蔵人の疑似体験ができることがキラーコンテンツになると考えたこと×これまでの経験に裏付けられた自信から挑戦しました。

◯コロナ禍で工夫している取組があれば

コロナ禍の2020年3月に宿泊施設をオープンし、これ以下にはならないだろうという状況からスタートしているので、このあとは伸び代と期待でいっぱいです。各種メディアからの情報やSNS、口コミで来てくださる方が多いです。

すでに3〜4回以上リピート参加してくださっている方もいるので、お客様とのつながりを大切にしながら、アフターコロナを期待するよりもwithコロナ時代がしばらく継続する環境であると捉えています。

◯すごく面白い取組だが、今後さらに仕掛けていきたい取組は?

「蔵人になれるまちSAKU」をさらに磨き上げて、世界中の日本酒ファンが、SAKEといえばSAKUと連想してもらえるような、世界初で世界一の日本酒ツーリズムの実現を目指して活動していきたいです。

佐久平駅や佐久市の観光サイトでの情報発信も含めて佐久の街全体のツーリズムの構想にも携わっていきたいです。蔵人体験は、非常に高いお客様からの評価をいただいているので、世界一の満足度追求とさらに多くの蔵と一緒に日本酒ツーリズムによる地域振興に携われるような機会を得たいと考えています。

【特別賞ー食ブランド賞】お茶の通販・京都おぶぶ茶苑合同会社

DX化推進で地域力を高め、日本茶を世界へ

事業概要
宇治茶生産地にて、日本茶の通信販売・輸出、オンライン教育部門への参入を通じ、町内ビジネスのDX化推進に貢献しています。ネット販売や輸出のほか、年4回茶畑直送の茶葉が届く「茶畑オーナー制度」等の取組も行っています。

◯今回応募したきっかけ

自分たちがこれまで取り組んできた事業が国や行政からどのような評価を受けるものか知りたかったので応募しました。

また、今回の応募をきっかけに自分たちの取組が地元をはじめ、広く知られるようになったらいいなあという思いもありました。

◯DX推進のなかで一番苦心したところ

DX推進の中で苦心したというか、苦心しているところは、現在のコロナ禍もあり、実際に茶畑に来てもらえる機会がほぼなくなっている状況なので、それをオンラインで伝えるためにできることを考えて、模索している点です。

つまり途上であるため、模索は今も続いています。「これは!」という解答には未だに出会えていないと思っています。

◯「Online Tea Education」をはじめて気づいた「気づき」があれば

「Online Tea Education」をはじめて気づいた点としては、これまで対面しないとできない、伝わらないと信じてきたことのうち、案外オンラインでも伝わることが多いという点です。

またオンラインであるからこそ、これまで表現できなかったことを伝えることができるようになりました。例えば、オンラインのほうが映像を通じて伝えられることが多いため、季節や時間、場所を横断した内容が伝えやすいことに気が付きました。

◯DX推進で町におこった変化があれば教えてください

DX推進で町に起こった変化というのもその模索にあるという感じですね。

ここ数年DXという言葉が一般化しましたが(以前はDXはデラックスの略でしたよね(笑))、そこからの変化というのは、そうですね、会議がオンラインが増えたという点でしょうか? 未だに書類に印鑑は必要ですし、町全体としては、特に大きな変化は感じていません。

【特別賞ーブランディング確立特別賞】那須誠

紫宝梅『ミスなでしこ®』のブランディング

事業概要
2005年に父親が品種開発し生み出した果皮が紫色の大梅品種のブランディングとPRの両活動を、自らが旗振り役となって実施しています。「ミスなでしこ®」として商標登録取得等のブランド化、香港への輸出、誕生した地区の幹線道路沿いへの看板設置等の宣伝も行っています。

◯今回応募したきっかけ

当園で、果皮が紫着色する「ミスなでしこ®」が誕生して十数年が経過しており、誕生より今まで、自身が「旗振り役」となって、様々な「ブランディング」活動に努めてまいりました。

 個人としてのPR活動が多く、対外的に評価される機会がなかったので、第三者の率直な評価がどうなのかと常々思っていました。

昨年、「ディスカバー農山漁村の宝」の存在を知って、応募を通じて当方の活動を評価していただこうと思ったのが、応募に至ったきっかけです。

◯「ミスなでしこ® 」のブランド化で一番苦慮したこと

個人活動がほとんどでしたので、限られた予算と日々の農作業をこなしながら、実現可能な有効手段を見出していくことが大変でした。

家内労力運営である当園の農業経営状況を加味し、自身が各種イベントへ出店参加する体制から、看板広告やネット広告といった自身が動かずともPRする体制へ切り替えていく活動方針への転換タイミングに苦慮しました。

活動については、商工会議所が開催する様々な「セミナー」への参加を通じて、ホームページ制作、プレスリリース、知財戦略等の多方面から、ブランディングを進めるアイデアを得るきっかけをいただけたと思います。

また、「小規模事業者持続化補助金」の存在を知り、数年前より継続して活用できていることが、毎年年頭に【事業目標】を打ち出して、申請書類作成を通じて【事業計画/事業予算設計/事業推進内容】が明確化される事で、事業が実践できていることに繋がっていると感じています。

◯SNSを活用した情報発信で拡がったことがあれば

【Facebook】は、2012年から【Instagram】は2015年から活用しています。現在は【Instagram】をメインに、投稿内容に【#ハッシュタグ】を付与して、情報発信に活用しています。未だフォロワー数はわずかですが、日々の農作業を通じて感じたことを川柳で表現する「旬感句」を中心に投稿を積み重ねた結果、2000投稿を超えることができました。

昨年より、ショッピング機能を使い、SNS投稿商品にタグ付けし、ネット販売が可能になりました。その結果【新規購入者】獲得の積み上げに繋がっていると感じています。

◯今後さらに「ミスなでしこ® 」ブランドの展望を教えてください

当園誕生の「ミスなでしこ®」は、「JA紀南」管内の生産者に限り栽培可能として、現在では20〜30戸で栽培されております。

ブランド価値を下げないため、着色不良の果実や流通サイズ等、独自の流通基準を定めて「当園」と「JA紀南」に限って、「ミスなでしこ®」の流通・販売をすることで品質維持に努めています。

数年前より、青果市場に「雑梅」として出荷された「ミスなでしこ」を買い取った小売業者が、「紫南高梅」等の別名を名乗り「フリマサイト」を中心に匿名販売する行為が目立っています。

当園としては「ブランド価値」が下がらないように、取得している商標登録などを駆使して、知財による流通管理を最優先としています。

また、当園の流通は収穫前の相対取引が大部分を占めることから、農家の勘による作柄予想に頼らず、気象データを活用して園地別の作柄【収穫時期/生産量】をより正確に算出する事で、有利販売に繋げたいと考えております。

そのために、ソフトバンクの「e-kakashi」を本年より導入しようかと、メーカーに協力を得ながら導入準備に努めています。

気象データを農業経営に活用していくことは手探りではありますが、数年がかりで自身だけではなく地域の生産者に情報提供できる体制を目指したいと考えています。

【特別賞ー先端発信賞】愛媛県立三崎高等学校「せんたんプロジェクト」

四国最西端から最先端の活動を!

事業概要
高校生が主体となる地域の魅力開発及び発信により、伊方町の関係人口の増加と移住・定住者数の確保に貢献しています。全校生徒をPR、カフェ、商品開発、ツアー、アート、防災の6つのグループに分け探究活動を実施中です。

◯今回応募したきっかけ

「ディスカバー農村漁村の宝」については、YouTube等で知っており昨年度から応募は考えておりました。ただ、本校は普通科の学校であるため、農業や漁業に特化した取組や授業を行うことは難しいと考え、応募を見送っておりました。そんな中、生徒たちから「だいだい」を使ったマーマレードの製作と三崎の海から取れた塩を使ったスイーツを販売するカフェのプロジェクトの計画が上がってきたため、「これは農業と海だ!」と思い、応募させていただきました。

◯オリジナルスイーツづくりで苦労したこと

生徒たちだけで製作するには限界があり、外部機関との連携に苦労しました。コロナ禍ということもあり、ZOOM等を使ってミーティングを重ねました。

また、味へのこだわりを追求し、放課後や休みの日に何度も試作品を製作しました。

◯地元の特産物を活かしたカフェを展開して、地元と紡いだ絆みたいな話があれば

月1回のオープン日に必ず来てくれる地域の方々が居られ、「次のカフェはいつなの?」というお声がけをいただきます。

また、普段は地元レストランをお借りして営業をしているのですが、昨年12月に出張カフェとして隣町の古民家でカフェを実施しました。その際には地域のおじいちゃんやおばあちゃんが来てくださり、大変喜んでいただけました。

◯今後さらに若い世代の目線を通して地元から発信していきたいことは?

教師という立場での話になりますが、「田舎にはたくさんのチャンスがあるぞ!」と伝えたいです。田舎では当たり前のことが都会では高い価値を得たりします。そのような情報をどんどん発信していきたいです。