2019年5月17日から19日までの3日間、東京・新宿の『国民公園 新宿御苑』で、「第14回ロハスデザイン大賞2019 新宿御苑展」が開催されました。都会のなかの貴重な自然を体感しながら、持続可能なライフスタイルや地球環境について、みんなで考えました!
子どもも大人も体験! 木育から未来へ。
初夏の爽やかな青空のもと、木々の葉を揺らす風を感じながら、環境のこと、自然のこと、未来のライフスタイルに思いを馳せる「第14回ロハスデザイン大賞2019 新宿御苑展」が5月17日〜19日までの3日間、東京都新宿区にある『国民公園 新宿御苑』で開催された。今回のテーマは、「サスティナブル・ウェルネス」だ。
若いファミリーに人気のイベント「森のおもちゃ美術館」では、全国各地から集まった約500種類の木のおもちゃや大型遊具が展示され、子どもたちはもちろん、大人も一緒になって楽しげに遊ぶ姿が見られた。そんな様子に目を細めるのは、企画した『東京おもちゃ美術館』館長の多田千尋さん。10年以上前から取り組んでいる木育の広がりをこう語った。
「子どもを対象にした木育活動に取り組むなかで、その親御さんが木の魅力を発見される様子が見受けられます。30〜40代の親御さんもゲーム世代ですから、木のおもちゃが新鮮に感じられるのでしょう。『森のおもちゃ美術館』で木のファンになった親御さんが、子どもに木製の学習机を買い与え、さらに木の家具や木造住宅を選択されるようになるという広がりにも期待できそうです」。出展している自治体も、山や林業の課題を抱えつつも、 "お荷物"とされていた地元の山を磨けば"宝"に変えられることに気づき始めているという。「多様な樹木が生い茂る新宿御苑は木育との親和性が高く、さまざまな人に木育を広められる絶好の場。今後も続けていきたいです」と、多田さんは笑顔で語った。
同館ウッドスタート事業部の鈴木純夏さんは、「『森のおもちゃ美術館』で木とふれ合ったことをきっかけに、暮らしに木の製品を取り入れ、お手入れしながら愛着を持って使うというライフスタイルを、お子さんと一緒に実践してほしいです」と期待を込めて話していた。
子どもは遊びから学ぶもの。大人もそうかもしれない。木とふれ合った体験が、持続可能で健康的な未来へとつながっていく。

左下/電車型遊具『ランバー・トレイン』の中で裸足になって遊ぶ男の子。見守っていたお母さんは、「木のおもちゃはぬくもりを感じます」。
右上/「木に親しみながら成長してほしいです」と、木の積み木で遊ぶ親子。大人もいっしょに楽しめるのが「森のおもちゃ美術館」。
右下/「森のおもちゃ美術館」を出展した『東京おもちゃ美術館』館長の多田千尋さん(左)と同館職員の鈴木純夏さん。
環境省ブースでは、国立公園を紹介!
日本を代表する自然の風景地、国立公園。全国で34か所が指定され、国土面積の約5・8パーセントを占めている。自然環境に影響を与える行為の規制が行われるとともに、歩道やビジターセンターなど施設の整備や自然環境の再生事業も実施されている。会場では、国立公園を管理する環境省が、その魅力を広く知ってもらおうとブースを設置。パネル展示やパンフレットの配布、生息する動物の写真などを掲示しながら、国立公園の概要や特徴を紹介した。
ブースを訪れたパスカル・カウテンさんは、日本でスキューバダイビングのインストラクターをしているオランダ人男性で、国立公園に関心があるという。「富士箱根伊豆国立公園に指定されている静岡県の伊豆大島の海は何度か潜ったことがあります。とても美しく、大好きです」とのこと。訪れてみたい国立公園は、小笠原諸島。「ドルフィンスイムに挑戦したいです。5年前にキャンプを楽しんだことがある西海国立公園の平戸へも行きたい。オランダと日本が江戸時代に貿易を行っていた縁のある地域ですから、歴史を感じながら平戸の海に潜ってみたいです」と笑顔で話してくれた。

また、新宿御苑インフォメーションセンター内に設置された国立公園フェアのブースでは、環境省自然環境局国立公園課保護係環境専門員の豊田勝弘さんと、同課国立公園利用推進室環境専門員の竹節優希さんが、全国の国立公園をPRしていた。豊田さんは、「登山やトレッキング、スキー、バードウォッチングや植物観察、写真撮影、温泉など、国立公園の楽しみ方は多様です。初めて訪れる方でも気軽に歩ける森林散策コースが整備されたエリアもあります」とアピール。竹節さんも、「34か所、それぞれのストーリーが楽しめると思います。ぜひ、保護された豊かな自然を体験してみてください」と、年間約3億人も訪れるという国立公園で、自然とのふれ合いを満喫してほしいと呼びかけた。

五感を刺激する、ワークショップ!
遊ぶだけでなく、木のおもちゃや製品をつくる楽しみと、素材としての木に意識を向けてもらおうと、楽器や箸づくりなど15のワークショップが催された。「日本の森林資源を使うことが、地域の、ひいては地球環境の保全にとっても大切だと知ってもらう第一歩」と、『東京おもちゃ美術館』の鈴木純夏さんは話す。
ブースを出展し、ワークショップを開催したのは、地元の木材や木製品をアピールする全国の自治体や団体、企業だ。「森のおもちゃ美術館」に初出展した鳥取県・智頭町の『あすなろ手芸店』では、普段、販売する商品の端材を有効活用したワークショップを実施。智頭産のスギでつくった板に文字や柄などのパーツを貼り付け、オリジナルのネームプレートをつくる。
「智頭は97%が森林のまち。智頭のスギを知っていただく機会になれば」と代表の小畑明日香さんは話す。また、群馬県・みなかみ町のブースで「森のトイカメラ」を組み立てた女の子は、顔の前でカメラを構えてくれた。「構えると、カメラが鼻に近づき、木の香りも楽しめるのです」と、ワークショップを提供する『工舎 澄み処』の山口長士郎さんが言う。そんなアイデア満載のワークショップに参加した親子は、木の魅力を多方面から感じ取っていた。

ロハスデザイン大賞2019 大賞・準大賞受賞者はこちら!
6月5日の「環境の日」に発表された「ロハスデザイン大賞2019」。
最終審査は、「ヒト」「モノ」「コト」各部門の最終ノミネートを対象に、個人メンバーによるインターネット投票で決定しました! それぞれの詳細はホームページで。www.lohasclub.jp
ヒト部門
大賞 秋元ういさん(写真左)
愛知県に住む小学生の秋元ういさん。小学生に「なるまでに」「なってから」するといいことを、園児に向けて綴った『しょうがっこうがだいすき』という絵本を2018年に自費出版し、話題に。
準大賞 ヘラルボニーさん(写真中央)
岩手県花巻市を拠点に、福祉の世界と一般の人々をつなぐ活動を行っている双子の兄弟ユニット。知的障害者がつくるアート作品に新たな価値を与え、販売するなど、福祉の可能性を広げている。
準大賞 永松真依さん(写真右)
削りたてのカツオ節のおいしさを知ってもらおうと、東京都渋谷区にあるバーを間借りして『かつお食堂』をオープン。日本中のカツオ節職人や漁師を定期的に訪れ、カツオの魅力を発信している。
モノ部門
大賞 きぐみのつみきKUMINO(写真左)
日本の家の木組みからアイデアを得た、木を組んでつくる積み木。同じ形の木のピースを組み合わせていくことで、多彩な造形が生み出される。木のピースには樹種と産地も刻印されている。
準大賞 イノシシストーブ(写真中央)
一度に鍋、やかん、鉄板、炊飯、燻製料理ができる多機能型薪ストーブ。顔がイノシシになっていて、鼻の穴の開け閉めで火加減を調整できる。ノーパンクタイヤがついているので、移動も簡単。
準大賞 おさがりネームタグ(写真右)
おさがりになることを見越して、名前を書く欄が3か所あるネームタグ。成長して着られなくなったベビー服を捨てるのではなく、「譲る」という習慣を広めることで、大量消費に歯止めをかける。
コト部門
大賞 ほっちのロッヂ(写真左)
2020年4月に長野県・軽井沢町で開業予定の診療所とデイサービス、病児保育を中心にした在宅医療拠点で、子どもからお年寄りまで誰でも好きなことに熱中できる場所を目指している。
準大賞 ぞうさん出版(写真中央)
田舎だからこそ世界とつながるために情報発信をするべきだという思いのもと、広島県・北広島町で2018年に設立された出版社。過疎を吹き飛ばすような痛快な本づくりが注目を集めている。
準大賞 八百屋のタケシタ(写真右)
フードロスをなくそうと、農家から直接、規格外農産物を仕入れて移動販売。売れ残った野菜はカレーなどに調理して提供するなど、フードロス削減を徹底。ゴミ削減のために個別包装も行わない。