雑貨店『ロフト』と雑誌『ソトコト』が2022年より展開しているプロジェクト「ロフコト雑貨店」。その第6弾「3時のおやつ」が、『渋谷ロフト』および『銀座ロフト』で開催中!
自然のおやつ
素材そのものの持ち味が決め手となるのが自然のおやつ。誰がどのような思いでつくっているのか。その背景を知れば、さらなる味わいが感じられるはず。
【島根】おいしさに衝撃を受けた西条柿、その魅力を伝えるため、一つひとつていねいに。
鮮やかなオレンジ色で、食べるとしっとりやわらか。ぷにぷにとした果肉もたまらない。この「西条柿の干し柿」を栽培、製造しているのは、島根県出雲市の『柿壺』だ。代表の小松正嗣さんは兵庫県出身で、この地を訪れて食べた西条柿に衝撃を受けた。同時に生産者の減少で存亡の危機にあると知り、2014年、仲間たちとともに1.5ヘクタールの畑から柿の栽培をスタートした。

干し柿は果実を乾かすだけのシンプルな加工品なのに、どうしてこんなにおいしいのか。小松さんは「おいしさの根っこは土にある」と考え、有機質を多く含む堆肥をまぜ込んだ土をつくって柿を栽培。樹上で完熟した柿を選んで収穫したあとは、一つひとつ手作業で皮をむき、理想の水分量に調整しながら乾燥させていく。「どの工程も手間を惜しまず、味や食感に妥協することなく仕上げています」という小松さん。そのものづくりの姿勢が干し柿の味わいへとつながっている。

【高知】四万十川流域に伝わる稀少な地芋「人参芋」の食文化を残したいという思いから。
高知県西部、四万十川流域で古くから栽培されてきた人参芋は、皮はピンクで、中は鮮やかなオレンジ色。「昔からのおやつとして、私も小さい頃からよく食べてきました」と、四万十川流域でものづくりを行う『四万十ドラマ』の佐竹貴子さんは話す。「過疎化が進む中、どうにかして人参芋とともにある食文化を残したい、そんな思いで開発したのが『ひがしやま。』というお菓子です」。

人参芋のペーストにバターと砂糖、白餡を少しだけ足したスイートポテト風の焼き菓子で、もっちりとした食感が特徴。もともと「東山」と呼ばれていた干し芋の形を摸してつくり名前をつけた。

2015年の発売当時、生産農家は1団体で年間300キロしかなかった人参芋の生産量は、10年経った現在、40団体の農家によって45トンにまでなった。「懐かしいような、ほっとする味わい、と地元の方にも外の方にもご評価いただきとてもうれしいです」と佐竹さん。
