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注目! | ロフト×ソトコト|2025年秋の「ロフコト雑貨店」へようこそ!

【ロフコト雑貨店】お菓子缶、全盛期到来!?“缶”の楽しみ。

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雑貨店『ロフト』と雑誌『ソトコト』が2022年より展開しているプロジェクト「ロフコト雑貨店」。その第6弾「3時のおやつ」が、『渋谷ロフト』および『銀座ロフト』で開催中です。

老舗から個人商店まで、缶で販売するお菓子が増える昨今。お菓子缶にはどのような魅力があるのでしょう。お菓子缶コレクターの中田ぷうさん、明治創業の缶メーカー『側島製罐』代表・石川貴也さんに語ってもらいました。

目次

永遠性とデザイン性を併せ持つ缶の世界に魅了され。

中田ぷうさん(以下・中田)今、お菓子缶がすごく増えていて、大手メーカーが紙箱をやめて缶にしたり、小さいパティスリーもオリジナルの缶をつくって販売するところが多くなりました。

お菓子缶研究家・フードジャーナリストの中田ぷう¥さん。

石川貴也さん(以下・石川)みなさん自分の世界観を表現するために缶をお使いいただいているなと感じます。

中田 確かに。アパレルブランドがお菓子缶での表現をやり始めていますね。

石川 缶は残るので、ブランドのロゴやデザインが買ってくれた人の家にあり続ける広告でもあります。好きな人にとっては、その世界観を地続きで家でも感じることができる。それってすごく豊かな体験だと思います。しかも缶って時間が経っても錆びにくいし、劣化しにくい。

『側島製罐』の代表取締役の石川貴也さん。

中田 本当に。1960年代につくられた缶をお菓子メーカーさんで見せてもらったことがあるのですが、日が当たらないところに置いてあったものは新品同様。印刷もできたてほやほやみたいでした。

石川 缶は発色の良さが唯一無二。紙への印刷は紙の質感に引っ張られてしまうことがあるけど、缶はかぎりなく滑らかな面なので、そこで表現される色はすごく美しい。色そのものが現実になったような表現ができるんです。

中田 だから名画を印刷した「絵画缶」が成り立つのでしょうね。缶も雑誌や本と同じ4色で印刷していますが、仕上がりの精度が高い。印刷の美しさとデザイン性の高さは、私が缶に感じる魅力のひとつです。

石川 僕が缶に感じる一番の魅力は、量産できるところ。形として長く残るもので、量産されて廉価で手に入るものって世の中で貴重な存在。しかも劣化せずに残るので、デザインのアーカイブ機能としてもすごいと思います。

中田 私もその永遠性を愛しています。私はオタク気質なので、集めたものが劣化するのが許せないんです。紙箱だといつか壊れてしまうし、湿気に負けて形がゆがんでしまうんですよね。

傷やへこみがないかどうかすべてを人間が目視でチェック。

中田 これだけたくさんのお菓子缶がある中、欲しいと思わせる基準はデザインが刺さるかどうか。一生懸命考えてつくったものはわかるし、応援したくなります。

石川 おっしゃるとおり。缶メーカーとしても、企画やデザインでめちゃくちゃこだわったものは、世の中に出たとき、色の現れ方や表現の細部のこだわりが違うと感じます。

中田 私は缶コレクターとしてずっと保存しておきたいから、ちょっとでもへこみや色のかすれがあるとダメなんです。日本のカスタマーサイドの缶への期待ってものすごく高いんですよね。

石川 期待が高い分、汚れとか傷とかへこみがあるとクレームにつながるから、絶対に出さないように全部目視でチェックしています。

中田 製缶会社でバイトしたいと思っていたことがあったんですが断られました。彼らは「匠」だからって。

石川 そうなんです。傷がないか、へこみがないか、危なくないかは定量化できないから、人間がやらないといけない。一日2万個くらいの缶を回したりしながらすべて目視でチェックしています。2.5秒に1缶見ないといけないので、めちゃめちゃ速いんですよね。紙箱のクレームってあまり聞かないけれど、缶だとへこみや傷は許されない。それってすごいことですよね。

中田 買うときに気をつけているんですけど、海外製のものだと、家に帰って傷やへこみ、ふたがしっかり閉まらないことに気づくこともある。そんなときはがっかりしてしまいます。

石川 あとは安全性ですね。危なくないようしっかり確認しています。

中田 日本の缶メーカーの安全対策は世界でもトップレベルだと思います。

プロフィール

中田ぷう(なかた・ぷう)
お菓子缶研究家・フードジャーナリスト。東京生まれ。3歳のとき祖父に買ってもらった「CHARMS(チャームス)」の缶をきっかけにお菓子缶を偏愛するようになる。

石川貴也(いしかわ・たかや)
愛知県にある老舗缶メーカー『側島製罐』の代表取締役。「世界にcanを」をミッション、「宝物を託される人になろう」をビジョンに、缶メーカーとしての価値を追求している。

ーTOPICSー しまう心

「缶は大事なものを入れる心の道具」と言うのは、『側島製罐』代表、石川貴也さん。その時々で大事だと思ったものをなんの気なしに入れ、あとになってふたを開けると、「これあのとき好きだったものだ」「大事にしたいものだから缶に入れたんだな」と、タイムカプセルのように思いがよみがえる。自分も気づかなかった大切なものが、缶を開けるとそこにある。それはまるで人生のアーカイブのようだ。「缶の中に入っているのは人生。人の心がそのまま入っていると感じます」と石川さん。

『側島製罐』の創業は1906年。フルオーダー、セミオーダー、既製品へのプリントなど、さまざまな要望に応えながら缶を製作。「缶は大切なものをしまう心の道具」として「側島心具製造所」というブランドもある。

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