ヤギのひじきと犬のあわと、悪戦苦闘しながら古民家暮らしを続けている筆者。何に悪戦苦闘しているかというと、ネズミ問題だ。対策として、苦手だった猫を迎えてみた。新たな家族を迎えた安房での暮らしはいかに?
ボロボロ古民家の欠点
ネズミに足の指をかじられたという友だちがいるので、私はネズミやいろんな虫、小動物の恐怖から解放されて安眠できるよう、蚊帳のなかで寝ている。それでも、ネズミの存在はかなりのストレスだ。
忌避剤を試してみたが全く効果はなく、お金の無駄使いに終わった。ネズミ捕りも試したが、捕まったあとの処理に相当な苦痛を伴うためすぐに止めた。周りに相談すると、「猫が一番」とみんなが口をそろえる。
チビちゃんと呼ばれていた猫
私は、猫が苦手だ。つかみどころのないぐにゃぐにゃ感。子どものころにひっかかれたこともあるし、ひっかく気がなくても爪が当たって痛いことが多々ある。そして、犬に比べて何を考えているのか分かりにくい。
ところが「チビちゃん」と呼ばれていたこの猫は、素直に可愛いと思えた。最近カフェに居着いた野良猫だという。カフェに行くといつも現れ、可愛いさをアピールしてくる。
そう思った私は、カフェのオーナーに相談してみた。カフェでは既に猫を飼っていたので、私がチビちゃんを引き取ることを快諾してくれた。
エサでチビちゃんを車へと誘いこみ、わが家へ向かう。そこで待ち受けていたのは、犬のあわだ。勢いよく吠えるあわに、チビちゃんもびびっている。抱っこして家のなかへとチビちゃんを連れ込み、自由に外へ出られるように窓を開けておいた。
新しい家族、猫の「ワラワラ」
ところが、わが家へ連れて来られたワラワラは、その日のうちに家出をしてしまった。猫を飼うとき、最初は一つの部屋に入れてそこがわが家だと覚えさせるものだと、あとで友だちに教えられた。
庭や近所、元いたカフェに何度も探しに行ったが、見当たらないまま月日が流れる。山に入って迷っているのか、人懐っこいから誰かに拾われたのか、地域猫にいじめられて逃げているのか……。
5カ月ほど経ったある日、あわの散歩のときに同じ場所で同じ猫に出会うようになった。あわが勢いよく追いかけようとしてすぐに逃げてしまうのだが、私が一人で出かけるときに現れたその猫は、ワラワラ!?
「ワラワラ? おいで」
と声をかけると、寄って来るではないか。すぐにエサを与えて、様子を眺める。白い手足、短くて曲がった尻尾、間違いなくワラワラだ!
野良猫ワラワラの餌付け大作戦
家のなかで過ごす時間が少しずつ増えてきたワラワラだが、夜になるとどこかへと出かけていく。もう一人飼い主がいるのか、夜活を楽しんでいるのか……。
2019年の5月に出会って即日家出され、同年11月20日、ついにワラワラがわが家で一夜を過ごした。あわとはまだ少し距離があるが、ひじきとはあいさつを交わして既にお互いを認識しているようだ。