生理前になると歯茎に違和感がある、年齢を重ねるにつれて口臭が気になってきたなど、口内環境で気になることはありませんか? その変化、女性ホルモンと関係があるかも。口もと美容スペシャリストである歯科医師の石井さとこ先生に、女性ホルモンと口内環境の関係性とその対策を教えてもらいました。
女性ホルモンの乱れは口内環境の悪化につながる
思春期、成熟期、更年期と、それぞれのライフステージで起こりやすい口腔内の変化に向き合い、理解して正しいケア方法を日常的に取り入れていくことが重要です」(石井さとこ先生・以下同)
女性ホルモンの変動期による口内環境の変化
思春期
「12~18歳の思春期は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が始まります。中でもプロゲステロンは歯肉内の血管系に作用するため、歯茎の炎症が起こることも。
また、試験勉強や夜更かしなどで生活が不規則になることで免疫が低下し、思春期性歯肉炎になる可能性もあります」
成熟期
「この時期は妊娠や出産を経験する人もいると思います。妊娠をすると女性ホルモンの分泌量が増えますが、同時に口内では女性ホルモンをエサに増える細菌が発生。そのため妊娠性歯肉炎という、歯茎の炎症が起きやすくなります。
妊娠中は、つわりなどで歯磨きケアがいつも通り行えないこともあります。体調が落ち着いたら、歯科医院を受診し、歯肉や虫歯のチェックをしながら、歯磨き習慣を見直すのもおすすめです」
更年期以降
「女性ホルモンが減少する更年期は、心身の変化によるストレスと相まって口内の不快症状が発生しやすくなります。唾液の減少による口内乾燥、舌の痛み、口臭、味覚低下、ドライマウス(口腔乾燥症)で口内環境が荒れるなどが、代表的な症状です。
さらに閉経後は、エストロゲンの減少によって骨密度が低下するため、歯周病のリスクも高まります」
口内の乾燥が気になったら要注意!
口内の乾燥が気になりだしたら、女性ホルモンの影響を受けているサイン。虫歯や歯周病にもつながってきますので注意が必要です。特に歯周病は3人に1人の割合で起きているため、世代に関係なく気をつけてください。
歯周病の直接原因は、プラーク(食べ物の残りかすが歯の表面につき細菌が繁殖したもの)に含まれる細菌感染によって起きています。その菌が溜まった状態が続くと他の臓器に移行し、身体の健康を脅かすこともあります。例えば、妊娠中の場合、菌の出す毒素と炎症因子が母体に入り込むことで早産のリスクが上がります。
特に女性は、それぞれのライフステージで女性ホルモンの変動による影響を大きく受けるため、歯周病対策は必要不可欠と言えます」
よく噛むことと毎食後の歯磨きが対策に
対策1 よく噛んで唾液力を高める
「女性ホルモンの変動で乱れやすくなる口内環境を守るためにも、唾液力アップが決め手になります。そこで大切になるのがよく噛むこと!ひと口につき30回を目安にしっかり噛むことでサラサラした唾液がたくさん分泌され、口内環境が整い、歯の健康を守ってくれます。さらに、口臭予防効果、美肌ホルモンを含み、お肌をキレイにする効果も期待できます。また、噛むという運動は顔周りの筋肉を効果的に動かすため、肥満予防や美しい口もと周りを作ることにもつながります。
最近はマスクをつけていることによって無意識に口呼吸になりやすく、口もと周りの運動量が減っていることもあって唾液不足が起こりやすい状況です。舌を10秒間回すなど、舌を動かすことは唾液力アップにつながるので、意識的に行ってみてください」
対策2 飲食後の歯磨きをきちんとする
「1日2~3回は歯磨きをしていると思いますが、その際は歯と歯茎の間をキレイにすることを心掛けてください。可能でしたら、歯ブラシと歯間ブラシ、またはデンタルフロスを併用することをおすすめします。
歯ブラシ1本での歯磨きの場合、歯垢除去率は約60%ですが、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで90%近くまで高まります」
口内環境の改善は、日々のケアが鍵を握ります。歯周病や虫歯のリスクを軽減することにもつながりますので、毎日の歯磨き習慣から見直してみてください。
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