公益財団法人 黒潮生物研究所、新江ノ島水族館、アクアワールド茨城県大洗水族館の共同研究で判明した新属新種の「オトヒメクラゲ」。2022年7月12日から標本展示を開始しましたが、このたび江の島周辺でのクラゲ採集調査で「オトヒメクラゲ」を確認。8月4日(木)より、新江ノ島水族館とアクアワールド茨城県大洗水族館で、生体の世界初展示を開始しました。
これらのクラゲはヒドロ虫綱花クラゲ目ウラシマクラゲ科の新属新種であることが明らかとなり、学名/Octorhopalona saltatrix(オクトロバロナ・サルタットリクス)、標準和名/オトヒメクラゲと命名しました。
2022年7月12日から標本展示を公開しましたが、さらに7月24日、7月25日におこなった江の島周辺での採集調査で、本種を多数確認できたため、新江ノ島水族館とアクアワールド茨城県大洗水族館で生体の同時世界初展示を開始しました。
学名:Octorhopalona saltatrix
分布:茨城県、神奈川県、高知県で確認
傘の直径が1cm程の小型種です。触手を8本、放射管を8本もちます。
掲載誌:Animals
論文タイトル:Octorhopalona saltatrix, a new genus and species
(Hydrozoa, Anthoathecata) from Japanese waters
(日本産の新属新種Octorhopalona saltatrix(ヒドロ虫綱、花クラゲ目))
著者:Sho Toshino, Gaku Yamamoto, Shinsuke Saito
(戸篠 祥[1]・山本 岳[2]・齋藤 伸輔[3])
[1] 黒潮生物研究所[2] 新江ノ島水族館 [3]アクアワールド茨城県大洗水族館
オトヒメクラゲの和名は「浦島伝説」に出てくる「乙姫」に由来します。外見が本種に近縁の「ウラシマクラゲ」に似ていること、それに比べて最大サイズが少し小さいことから、この和名を選定しました。学名はOctorhopalona saltatrixで、「8本のこん棒を持つ踊り子」という意味が込められています。8本のこん棒を持つと聞くと少し物騒なイメージですが、8本の触手を広げながらぴょこぴょこと踊るように泳ぐ姿はとても可憐です。