時間の使い方に関するコンサルティングを行う吉武麻子さんがコンセプトにしているのは、「時間を管理するのではなく、コーディネートする」こと。人生という長いスパンで考える際や、日々過ぎていく時間と上手に向き合うために必要な視点を得られる5冊を教えてもらいました。
私は韓国に留学し、その後、現地で就職、結婚もしました。当時は24時間365日が仕事。ある日、このままでは結婚や子育てというライフイベントと仕事が両立できないと気づきました。ところが、韓国の働くママたちは、家族やベビーシッターの手を借りるなどして、仕事とプライベートな時間を両立させていました。それを見て、自分の時間の使い方を考え直すようになりました。
その経験を生かして起業したいと考えていた頃に読んだのが『エッセンシャル思考』でした。生きていくうえで大事なのは、自分にとってなにが最もやりたいことなのかを見極め、自分に正直でいること。いちばん大切なこと、優先すべきことを考えることで、時間に追われるのではなく、時間をコントロールする主体は自分なのだ、と気づくことができます。そうすれば、時間に振り回されて疲弊することも少なくなります。
実際に時間の使い方を考える際に参考になったのが、『神・時間術』です。具体的なアドバイスに富んでいて、特に仕事の場面で限られた時間を生かすためになにをすべきかが紹介されています。なかでも私に響いたのは、朝の時間を有効に使うことと、睡眠の時間をしっかりとって健康でいること。私が起業したときは下の子が生まれたばかり。仕事は子どもが寝てからと思いながらも一緒に寝落ちしてしまい、自己嫌悪に陥ることも。そこで朝の時間を活用しようと4時に起きて、仕事に充てました。朝起きて3時間は脳のゴールデンタイムと呼ばれていて、クリエイティブなことに充てるのに最適なので、「朝活」は理にかなっています。コロナ禍にオンラインで「朝活」をサポートしたところ、「英語の勉強をしてみた」「好きな本や漫画を読んでいる」「将来について考えた」など、自分一人の時間が持ててよかったとの声をいただきました。
私が時間の使い方を考えるうえで大切にしているのは、「楽しい」と感じることを優先して時間をコーディネートすること。それによって、日々の心地よい時間を増やしていき、自分の中から湧き上がる「やりたい」気持ちを大切にしていこうというもの。それがウェルビーイングにつながると思います。
記事は雑誌ソトコト2022年7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。