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特集 | かっこいい農業 これからの日本らしい農業のあり方 !

『陽と人』代表|小林味愛さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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小林味愛さんが立ち上げたフェミニンケアブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」。その原料には福島県・国見町の柿農家から仕入れた柿の皮が使われている。地域や農家への思いをはじめ、小林さんのものづくりの考え方がわかる5冊を紹介。

『陽と人』代表|小林味愛さんが選ぶ、「農度」を高める本5冊

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(左上から時計回りに)2.『近所の地球』/1.『社会派化粧品 ─social cosmetics』/3.『柿づくし ─柿渋、干し柿、柿酢、柿ジャム、紅葉保存』/4.『31歳からの子宮の教科書』/5.『DXの思考法 ─日本経済復活への最強戦略』 
 2017年に福島県・国見町で『陽と人』を起業し、20年1月から「明日 わたしは柿の木にのぼる」という女性のデリケートゾーンケアに特化したブランドを展開しています。国見町は特産品のあんぽ柿を作る柿農家さんがたくさんいる地域で、「明日 わたしは柿の木にのぼる」のアイテムは、あんぽ柿の製造過程でこれまで廃棄されていた柿の皮を原料にしています。国見町には前職での仕事をきっかけに関わるようになり、退職後も「なんだか好きな町だな」と時間を見つけては通っていました。そのなかで高齢化や人手不足といった柿農家さんの厳しい状況を知ったのです。「明日 わたしは柿の木にのぼる」は、「柿農家さんを応援したい」という思いと、私自身のこれまでの体験から生まれた「女性が自分の心と体を大切にしながら、働き、生きていける社会をつくりたい」という願いとが重なってできたブランドです。

『社会派化粧品 social cosmetics』は、「明日 わたしは柿の木にのぼる」と同じように、地域で生まれた全国各地のコスメブランドを紹介している一冊。どのブランドも農家さんや地元の人と信頼関係性を築き、地域に根ざした活動をしてきたからこそ生まれたものだということがわかります。滋賀県東近江市の『MURASAKIno』や、愛媛県西予市『yaetoco』など自分たちで原料を生産しているブランドも紹介されています。

 私はプロダクトをつくるときや自分自身のあり方として、感性と論理性の両方を大切にしたいと思っているのですが、感性を磨くための本としておすすめしたいのがアーティスト・鈴木康弘さんの作品集『近所の地球』です。ものの見方が人によって違うことや、身近なものからさまざまな価値を見出せること、そして自分の見えている世界がいかに狭くてちっぽけなのかを思い出させてくれます。

 特に衝撃を受けたのは「水の切り株」という作品。雨の日に、雨水でいっぱいになったバケツの水面の波紋が「年輪」に見えることを発見したことがきっかけでつくられたそうなのですが、私はそんなことを考えたり、感じたりしたことはなく、そもそも雨水が貯まったバケツに関心を向けたことすらありませんでした。無意識に私たちはさまざまなことを見過ごしているのだと気づき、ハッとしました。こうした視点は、私がブランドやプロダクトをつくる際にも生かされていますし、これからも大切にしていきたいと思っています。

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こばやし・みあい●2010年慶應義塾大学卒業後、衆議院調査局入局、経済産業省へ出向。その後、『日本総合研究所』に入所。地域活性化事業に携わる。17年福島県・国見町で『陽と人』を設立。子育てをしながら、福島県と東京の二拠点生活を送る。
photographs by Yuichi Maruya text by Ikumi Tsubone
記事は雑誌ソトコト2022年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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