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サスティナビリティ

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小さなあかりが、未来を照らす -パナソニックが取り組むLIGHT UP THE FUTURE- 

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曇りや雨の日、あるいは夜になって部屋が暗くなったら、パチンとスイッチを入れて“あかり”をつける。私たちにとってはごく当たり前のことですが、アジアやアフリカには電気が通っていないため無電化地域がまだ多く、電灯を使うことができません。とくに農村部では電化が進んでおらず、アフリカの農村部での電化率は30%以下というデータもあり、世界では約8億人に電気が届いていません。しかも無電化地域は貧困人口が多いこともわかっています(*1)。そんな地域で、あかりとして使われているのが灯油ランプ。手入れが簡単でランプ自体の価格が安いため広く使われていますが、明るさはあまりにも心もとなく、周囲をわずかにしか照らしません。臭いもきつく、煙が発生するため、長く使い続けていると健康を害する人も少なくありません。そこで無電化地域に「ソーラーランタン」を届け、あかりを灯すことで貧困解消につなげる活動を10年以上にわたって行なっているのが、パナソニックです。

(*1)電化率・無電化率:IEA-World Energy Outlook 2020(国際エネルギー期間 調査データ)より
目次

はじまりはウガンダからの手紙

2006年、アフリカの国、ウガンダの大臣からパナソニック宛てに手紙がきました。

「無電化地域でくらす人々は、灯油ランプが放つ黒い煙による健康被害に悩まされています。パナソニックの太陽電池はその解決手段となります。ぜひ力を貸してください」。

パナソニックは、ウガンダの人々のために再生可能エネルギーを使った照明器具、ソーラーランタンを新たに開発し、ウガンダへと届けました。その背景には、パナソニック創業者、松下幸之助の理念がある、と語るのは同社企業市民活動推進部無電化・学び支援ユニットのユニットリーダー、多田直之さんです。

「幸之助は、企業の使命は社会から貧困をなくすこと、と言い続けました。あかりを途上国に届けることは、日本人の暮らしに電気製品を普及させた家電メーカーとして行うべき社会貢献だと考えています」

この寄贈をきっかけに、2013年から5年にわたりあかりのない人々に10万台のソーラーランタンを届けるプロジェクトを開始。国際機関やNPO/NGOなどさまざまなパートナーと連携して届けた国は、アジア、アフリカ、中南米など30か国に広がり、その後は「LIGHT UP THE FUTURE(LUTF)プロジェクト」に受け継がれています。

あかりがあることで暮らしが変わる

あかりは、直接貧困を解消するわけではありません。しかし、夜あかりがあることで人々の暮らしは大きく変わります。たとえば、学習。夜学校の宿題ができれば、学力が上がり、教育を受ける機会が増えます。夜間の出産や医療行為も安全に行えます。夜、家で仕事ができれば収入が増えることもあるでしょう。

「あかりがあることで教育、健康、収入向上など、貧困から抜け出すための選択肢が増えます」と多田さんは説明します。「なによりも、真っ暗だった村にソーラーランタンが灯ったとき、集まった村人たちが『わーっ』と歓声を上げました。いかにあかりが必要とされていたのか実感できました」。

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ソーラーランタンの下で、安全にお産ができるようになった。
実際、効果も出ています。ミャンマーでは灯油ランプの使用率が37.7%減り(*2)、夜間の出産で安全に誕生した赤ちゃんは2,434人(*3)にのぼります。
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インドでは宿題をするきょうだいの手元をソーラーランタンが明るく照らす。夜、家で宿題ができるようになり、勉強時間が増えた。
進級テストの合格率が57%から100%に増えた学校(*4)もあり、インドでは女性たちが夜間の内職ができるようになり、年間の収入が40%(*5)も増えています。
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ソーラーランタンの明かりの下で布を織る女性。夜、仕事ができるようになり、収入が向上した。
(*2) ミャンマーの寄贈先団体ARTICによる調査。寄贈対象先の家庭における灯油ランプの使用状況の変化について、2016年2月と8月の2回の調査結果より算出。
(*3) ミャンマーの寄贈先団体セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンにより提供。2015年から2017年の2年間の出生数より推計。データは保健当局数値を参照。
(*4) ミャンマーの寄贈先団体Seatanarによる集計。年度末に行われる進級テストの9年生の合格率。2014-15年度は23人中13人に対し、2016-17年度は32人全員が合格。

(*5) 寄贈先団体CALICOによるインタビュー調査。1人あたりの労働時間が1日あたり1時間増え、収入は多い月で1,000ルピー程度、年間で3,600〜6,000ルピー増加し、平均年収の約40%程度に相当。
「1日2〜3時間勉強できるようになり、学校で20位に成績があがりました」「出荷の準備が夜できるようになり、暮らしにゆとりが生まれました」「ソーラーランタンが来て、これまで以上にみんな意欲的に仕事に取り組むようになり、月々の収入も1,000ルピーほど増えた女性もいます」などの声が寄贈先の国々から寄せられています。

「カンボジアのある村の人からは、『夜、家族みんなで食卓を囲んで食事ができることがうれしかった』と聞き、ソーラーランタンが、私たちの予想を超えた役割を果たしていることを感じました」と多田さんは語ります。

企業の枠を超えて協力を

10万台寄贈プロジェクトは2018年でいったん区切りを迎えたが、パナソニックでは途上国へのソーラーランタンの寄贈や、ソーラー発電による電化の取り組みを継続しています。
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上国に寄贈されるソーラーランタン。明るさは3段階で切り替えられ、最大の明るさは100(lx:ルクス)。部屋全体を照らすことができる。
「そこで大切なのは寄贈する数ではなく、社会そのものを動かすこと」と多田さんは語ります。「私たちの最終的な目的は貧困をなくし、持続可能な共生社会を実現していくこと。ソーラーランタンという小さなあかりがあることで、教育や健康、収入を改善できると示し、貧困そのものをなくそうという途上国の社会の動きにつながってほしいと考えています」

LUTFプロジェクトは、あかりがあること、電気が通ることによって、人々の生活にどれだけのインパクトを与え、貧困の連鎖を断ち切ることができることを、実例をもって示しています。

こうした取り組みの理解者を増やし、企業の枠を超え、より多くの人の力でソーラーランタンを届けるために始まったのが「みんなで“AKARI”アクション」です。古本やCD、DVD、貴金属・ブランド品などを寄付すると、ソーラーランタンが途上国へ寄贈される仕組みです。

「寄付による社会貢献はハードルが高いと感じる方も多いと思いますが、リサイクル感覚で寄付していただいた古本やDVDなどがソーラーランタンになる。自分の行為の先に、あかりで笑顔になった子どもたちがいると思える仕組みなので、誰にでも取り組みやすいと思っています」。今後は、より参加しやすい仕組みを考えたい、と多田さんは意欲的に語ります。

無電化地域にあかりを灯す--こういうと壮大で個人にはなにもできないと思ってしまいがちだが、LUTFプロジェクトの10年以上の歩みを見ていると、小さなアクションを積み重ね、仲間とともに実行していくことで社会は確実によくなっていくと思えてきます。

あなたも途上国にあかりを灯す仲間になってみませんか?

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