母豚は、養豚の生産性を上げるため、身動きできないストールと呼ばれる檻の中で妊娠、出産を繰り返します。すみだハッピーピッグプロジェクト(以下、SUMIDA happy pig project)は、国産豚革の9割を生産している墨田区が中心となり、動物福祉の観点から世界標準になりつつある、檻を使用しない「フリーストール」を日本でも推進し、養豚・と畜・流通・加工・消費・・・全てにやさしい持続可能なものづくりに挑戦します。エシカルレザー推進を目的とする一般社団法人やさしい革(東京都墨田区)が中心になり、プロジェクトの運営、クラウドファンディングに取り組んでいます。
目次
お母さん豚の現状
日本では、豚をはじめとする家畜の飼育について、十分な運動ができるスペースの確保といった、ストレスのない環境づくりに関する法規制などはありません。そのため、たとえば妊娠している母豚は、「子どもを踏みつけるかもしれない」「暴力的になるから」といった理由で、ストール(檻)に閉じ込められ、身動きができない状況に置かれています。その割合は、日本では9割近くにも上ります。
ストレスの多い豚が抱える問題
ストレスのたまる環境で育つ豚は、他の豚を傷つけたり、尾や尻尾をかむなどの自傷・他傷行為に走ることがあります。その結果、傷がついた豚の革は、なめしても傷が残ってしまい、革としての価値も下がってしまっているのが現状です。
プロジェクトの基本的な考え方
一般社団法人やさしい革が提唱するやさしい革4つの約束を順守し、人にも環境にもやさしいのはもちろん、動物にもやさしくありたいという想いに共感する墨田区のものづくりチームが集結。一つの命を大切にするために、食と人と革をつなぐプロジェクトが10月28日から本格始動しました。
畜産業と墨田区のものづくりチームがタッグを組んで人から豚へ豚から人へのサーキュラーエコノミーを実現
クラウドファンディングのリターンとして、アニマルウェルフェア(動物福祉)によって養豚業を営んでいる宮城県の養豚家、高橋希望さんが育てた豚のお肉と、墨田区のタンナー山口産業株式会社(東京都墨田区)が開発した人にも環境にもやさしい「ラセッテーなめし製法」でなめした国産豚革を使った商品として、墨田区にある革のスペシャリスト株式会社二宮五郎商店(東京都墨田区)の新作ミニウォレットがラインナップ。初日に目標を達成し、大きな関心が寄せられています。
ミニウォレットには、日本最古の靴クリームメーカーとして知られる株式会社谷口化学工業所(東京都墨田区)のヒアルロン酸入りモイストレザーローションもつけ、食肉加工後の皮のアップサイクル、油脂のアップサイクルを実現。大切な命が果てるまでずっと使える工夫を凝らしています。
支援金は豚のストレスのない環境づくりに充当
今回、SUMIDA happy pig projectでは、クラウドファンディングを通じて、皆様からのご支援を豚の環境づくりの取り組みへ活用したいと考えています。豚の好奇心を満たすおもちゃ(ボール)を提供するだけではなく、さまざまな環境で暮らしている豚のストレスを低減させるために、株式会社JVCケンウッドの協力を得て、ハイレゾ自然音の音響環境による実証実験にも取り組みます。