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料理開拓人|堀田裕介さんが選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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生産者と食べる人をつなげる料理研究家で、現在は青森県の道の駅のプロデュースも予定している堀田裕介さん。地域の食をより深く知り、魅力的に伝えるにはどうすればいいのか日々考える堀田さんが「ヒントになった」と考える5冊を挙げてもらった。

堀田裕介さんが選ぶ、道の駅をつくる本5冊

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(左上から時計回りに)1.『発酵の技法 ─世界の発酵食品と発酵文化の探求』/2.『売り場の教科書』/3.『聞き書 福井の食事』/4.『SEED TO SEED 固定種野菜の種と育て方』/5.『The Kitchen』 
 僕は現在、自分の飲食店や食材のプロデュースをするほか、さまざまな地域の「食」の魅力を発信する仕事もしています。その地域の食を理解するのに、郷土性やそこに基づいた郷土料理を知ることは欠かせません。郷土料理の多くには発酵食があり、風土やそこでの人の暮らしと密接に結びついています。発酵食について知ることで逆算的に、今その土地にある食材を発酵と組み合わせて、より魅力的にアレンジすることもできます。その際の指針にできるのが『発酵の技法』。世界中の発酵食品を紹介している本です。発酵を知りたいという若い方にも、手に取りやすいお洒落なデザインで読みやすいのがいいですね。

「いいもの」をつくったら、今度は売り場のつくり方を考える必要があります。『売り場の教科書』は、ディスプレイづくりのノウハウが詰まった本で、実際にお店をつくるときの参考にしています。
 最適な棚の幅・高さについてや人の目線の誘導の仕方など具体的なテクニック集なので、その時々で合っていそうなものをピックアップして試せたり、組み合わせたりできるのがいい。とくに物販のみのお店だと、お客様とほとんど会話をすることがないので、ディスプレイの部分でどれだけコミュニケーションができるかが重要です。そういったことを考えるときの参考にしています。

『聞き書 福井の食事』のシリーズは、その土地の郷土食を詳しく紹介、解説している本です。郷土料理は食べ方がおもしろいものも多く、「石に食材を乗せて焼く」など、ケータリングのアイディアにもつながります。全都道府県版がある中で福井県を選んだのは、釣りや魚料理が好きな僕にとって、福井県での渓流釣りの経験や鯖料理の多彩さなどには惹かれるところがあるからです。

『SEED TO SEED 固定種野菜の種と育て方』を読むと、その土地の食材や料理を知るときに、固定種野菜は避けてとおれないとわかります。調理の仕方がわからないという理由で売りにくいとされがちな固定種野菜ですが、レシピとセットで伝えることの大切さも感じます。

『The Kitchen』は、アーティストのアトリエにあるキッチンの写真集。アトリエの真ん中、つまり制作において大事な場所にキッチンがあり、食べることがアートを生み出す関係性づくりにつながることが見えてきます。食を提供する場でも、関係性づくりを基盤に新たな発信について考え方を広げられる一冊です。

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ほった・ゆうすけ●「食べることは生きること、生きることは暮らすこと」をモットーに活動する料理開拓人。食と音のイベント「EATBEAT!」、国産米の普及のための「grow rice project」主催。「堀田裕介YouTube kitchen」ではレシピや食の動画を配信中。
photographs by Yuichi Maruya text by Sumika Hayakawa
記事は雑誌ソトコト2021年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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