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サスティナビリティ

連載 | やってこ!実践人口論

ハワイの海は風呂説

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「実践人口」を増やすための合言葉が「やってこ!」である。「やってこ!」が世代を超えたつながりを生み、ローカルをおもしろくする。「やってこ!」を持続するための「本当の休息」を覚えよう。

 普段から「やってこ!」なんて言葉を使っていると肩にも力が入るし、全国行脚の移動疲れは蓄積されているし、正直にいえば身体と心も消耗している。「実践人口論」なんて連載を続けている以上、うとうとしていてもビクッと身体が反応して「やってこ!」って言いそう。そんな呪いにかかっている私ですから、休むための旅行を企てても「せっかくだからあの店に寄ろう」「取材ネタになるかもしれないからリサーチしよう」など、超ド級の“もったいないオバケ”が毎度現れてぜんぜん休みきれなくて悲しい……。

 昨年12月上旬。友人の結婚式があるため人生初のハワイ旅行に向かった。お正月に芸能人がゾロゾロと向かい、私の知らないバカンスを満喫するあの常夏の島へ。自分のアイデンティティとまったく異なる“アゲアゲ”な雰囲気が漂ってそうで、「これは最初で最後だな」と思い込んで過ごした5泊7日の滞在……正直サイコーだった。3年前に起業してから初めて本当の意味での休息(バカンス)の価値を知った気がする。ハワイすごいぜ! 日々、好奇の目に晒されて疲弊している芸能人が正月をあえてハワイで過ごす意味、いや、そのもっと気持ちよいものの片鱗を味わったぜ……。

目次

ハワイは実践主義者の休息地。

 サーファーの聖地とも言われるハワイのオアフ島。31歳のときに千葉の九十九里浜でサーフィンに初挑戦したことがあるんだけど、地元の人が「今日は波が危ない!」って警告してるのに大波に呑まれて死に損ないの海底大3回転。地面に打ちつけられた反動で「二度と波に乗ろうとなんて思うまじ」と「速攻引退宣言」したことがある。そんな苦い体験を持った私でも、ホノルルのビーチは波がいいなと思えた。海に浮いてるだけでも超楽しいし。

 全世界の多種多様な人種が集まる土地で大自然と一体になる。沖合ではプッシュマンと呼ばれるサーファーレッスンのおじさんたちが、白人の女性や子どもたちの波乗り初体験を成功へと導く。なんて素敵な風景なんだろう。九十九里じゃなくて、ここで波乗りカキジローを目指せばよかった。で、小一時間ほど泳いだあとにシャワーを浴びて、ホノルルの街並みを颯爽と歩いたときの圧倒的な気持ちよさよ。それはもう「風呂上がり」と同等のソレッ! ハワイの海は風呂だったの!?

自然豊かなハワイは野生の鳥が多い。カフェやレストランに飛び込んでくる南国の鳥もまた癒やし……!
自然豊かなハワイは野生の鳥が多い。カフェやレストランに飛び込んでくる南国の鳥もまた癒やし……!

快適な気候が人間を癒やす。

 約500年前の海底隆起と大陸プレートの移動で出現したといわれるハワイ諸島。太平洋のド真ん中で生き物が喜ぶ快適な気候を年中維持し、自然豊かな山と海に囲まれている。風土大好きおじさんとして土地を見つめたときに、世界有数のリゾート地がなぜ生まれたのか? お金持ちが集まる理由は? いくつもの仮説が生まれて、自らを納得させ、青い海の前ですべてを忘れるような感覚。ハワイの海は風呂だなんて言ってみたけれど、理屈を超越するような気候が人間を癒やすんだなあ。「日本で実践主義の疲れを感じたら、とにかくハワイへ逃げ込もう」、この選択肢を持てたことが何よりの収穫ともいえる。片道9時間。航空券は往復10万円前後。ホノルルの物価は世界の富裕層設定で死にそうなほど高かったけれど、普段の仕事を切り離して、数年に一度のご褒美として惜しみなくお金を使うのも悪くない。

 帰国後、友人や同僚たちと会話を交わすたびに、新たなアイデアがどんどん浮かぶことに気づいた。思考のキレ、柔軟な発想、うさん臭く焼けた肌。本当のリラックスを知った脳は、これまでの実践で燃やし続けた思考のカスを一掃し、次の「やってこ!」を創造する余白を生んでくれたように思う。休息と実践はワンセット。今年はウェル・ビーイング(心も体も健康で満たされた状態)を目指すぞ!

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