ご当地グルメとして岐阜では有名な「からし豆腐」。筆者は岐阜県の西濃地域で生まれ育っているものの、大学進学で岐阜を離れていたことなどもあり、実は「からし豆腐」というものを最近まで知りませんでした。そのことを地元の友人に話すとみな一様に驚くため、はたして地元の人たちは「からし豆腐」についてどのくらい認知しているのかを知りたくなり、運営するInstagram（ぎふのこと @gifu_info）でアンケートを取ってみました。

Instagram（ぎふのこと @gifu_info）のフォロワーは1.6万人。フォロワーの多くは岐阜県在住者です。「からし豆腐って知ってる？」と聞いたところ、その認知度は76％でした（※1）。その認知度の高さに改めて驚き、もう少しこのご当地グルメについて調べたいと思いました。

（※1）回答数1,348件 「からし豆腐を知っている？」はい（76％(1,025票)）/いいえ（24%（323票））

「からし豆腐」は県内の中濃地方と西濃地方を中心にスーパーの豆腐コーナーで売られており、地元では日用的に食卓に上る食品です。京都や北陸地方、名古屋でも食べられているところはあるそうですが、おそらくここまで広く一般的に食べられているのは岐阜が一番なのではないでしょうか。岐阜のスーパーで売られている「からし豆腐」のパッケージには“美濃の名物”という表記もあります。

「からし豆腐」を作っている会社は県内にいくつかあるのですが、県内イオン系列スーパーに卸している株式会社万福（岐阜県本巣市）の代表 福田広高さんに話を伺ってみました。

福田さんによるとその起源は戦前の昭和初期で、先々代の祖父の時代にさかのぼるそう。この地方は稲作が盛んで、春から夏の農繁期、肉体労働をする人たちに好んで食べられていたのが始まりだということです。

株式会社万福では年間を通して「からし豆腐」を作られているそうですが、スーパーに卸すのは3月末から9月末まで。「からし豆腐」は冷ややっこで食べるスタイルの豆腐のため、暑いシーズンに好んで食べられることが多いからだそうです。

「からし豆腐」を半分に割るとからしが詰められているのがわかります。福田さんによると、初期の「からし豆腐」はからしが豆腐から漏れ出ないように、からしをさらに海苔で包んで作っていたそうですが、現在は作業の手間や食べやすさなどを考えて、そのまま入れているそうです。

冷ややっこであれば、ネギや生姜など薬味を用意して食べることが多いと思いますが、「からし豆腐」はあらかじめからしが中に入っているので、そのまま食べてもある程度味が付いているのが嬉しいポイント。からしが刺激になり、暑くて食欲がない時でも食が進みます。

地元の人はどう食べているのかが気になり、Instagramで食べ方も聞いてみました。約70件ほどの回答をいただいたのですが、圧倒的に多かったのは「醤油をかける」という回答でした。2番目に多かったのは「醤油とかつお節をかける」ということでした。

福田さんはおすすめの食べ方について「からしがありそうなところをめがけて箸で半分に割り、そこに醤油を垂らして溶かしながら食べるとおいしいですよ」と教えてくださいました。そのように食べてみると、からし醤油のようになり、辛さも少し落ち着く感じがし、食べやすいです。

夏場のお酒のアテとしても最適な「からし豆腐」。岐阜のスーパーでは夏季シーズン当然のように並んでいる商品です。岐阜に来た時はぜひチェックしてみてください！

＜岐阜からし豆腐が購入できる場所の一例＞
【万福　からし豆腐】イオン系列スーパー（マックスバリュー等）、岐阜タカシマヤ地下1階食品売り場。遠方への商品発送は株式会社万福（連絡先は下記）まで。

株式会社万福
岐阜県本巣市小柿841-8
TEL：058-324-0313　FAX：058-323-3758

写真・文：各務ゆか
取材協力：株式会社万福