地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』から新たな企画が立ち上がりました。その名も『フェムコトU30』。女性が働きやすい企業とは? をアンダー30歳の女性たちのリアルな声を聞きながら考えていきます。
今回お話を伺わせていただいた企業は、『よもぎ温座パット』でおなじみ、健康食品、化粧品、医薬部外品、日用雑貨など女性の健康に寄り添った、女性目線の独自の商品開発を行っている株式会社グラフィコ。そこで営業として働く鈴木乃理子さんに、会社での働きやすさを感じる点、またどうすればジェンダーを超えた相互の理解が深まっていくと思うか、などキャリアや社会についてお話しいただきました。
〈Profile〉
株式会社グラフィコ 営業本部 流通営業部 東日本グループ・鈴木乃理子さん
1994年生まれ。大学卒業後、化粧品などの卸売業界を経て、2020年7月グラフィコ入社。よもぎ温座パットをはじめとしたグラフィコ商品の流通向けの営業を行う。体に関する悩みとして、生理前、生理中の体調不良やPMSなどがある。趣味は食べログの百名店巡り。 株式会社グラフィコ
女性社員が約7割でロールモデルの多いのは魅力
フェムテックtv:御社は社内サポートがすごく充実されていますよね。まずはその内容をお聞かせください。
鈴木さん:社内サポート制度として以下を設けています。
▼社内サポート
・時差出勤
・中抜け可能(通院や子供の送り迎えなど)
・在宅勤務制度(最大週4日可能)
・時間短縮勤務(子供の小学校卒業まで)
・月に1度の全社員6時間勤務の日(スーパーウエンズデー)
・副業可能
▼休暇制度
・1時間単位で取得できる有給休暇
・自分にとっての記念日休暇(アニバーサリー休暇)
・私傷病の治療に対する休暇(がん等の私傷病の治療に対し年5日の治療休暇取得可能)など。
休暇制度も充実していますし、その他にも不妊治療サポートとして、年5日の治療休暇の取得や治療のための短時間勤務を男女ともに取得できます。メンタルサポートとしては、産業医を精神科医に委託もしています。
フェムテックtv:女性がキャリアを考えたとき、すごく手厚いサポートですね。
鈴木さん:元々転職をするときに、結婚して家庭を持ってライフステージが変化しても、働き続けられる会社がいいなと思ったんです。グラフィコは女性社員が7割。子供を育てながら働いているロールモデルとなる人も多かったんですよね。これからのキャリアがすごく想像しやすい会社でした。以前働いていた会社もすごく勉強にはなったんですが、なかなかのハードワークで……。それに自社商品を取り扱いたいという気持ちもありました。商品開発から販売、販促までを深い目線で見つめたかったんですよね。
フェムテックtv:魅力的な商品が多いですよね。御社のブランドwithFEMの『よもぎ温座パット』は個人的にも特におすすめだとか。
鈴木さん:激推しです! 誰よりも大ファンで愛を持って営業しています。うちにはいろんな商品がありますが、これだけはどうしても商談中に熱が入り過ぎてしまうくらい(笑)。私自身も使用するようになってから、冷えからくるPMSや生理痛など体の不調はもちろん、心の不調にもすごく効いたんですね。「この商品に出会えて救われた」という声もたくさん届いています。これをつけていれば日常がもっと楽しくなる。お守りのようなアイテムです。
毎日湯船&よもぎ温座パットで冷え性が改善
フェムテックtv:鈴木さんは極度の冷え性やPMSに悩まれているとのことですが、それがホルモンバランスによるものと認識したのはいつ頃からですか?
鈴木さん:PMSという言葉が主流になってきた4年前くらいじゃないかと思います。それまで名もなき不安だったのが、理由がわかってからは対処法も変わりましたね。すごく心も軽くなりました。
フェムテックtv:具体的にどのように対処法を変えたのでしょうか?
鈴木さん:本当にPMSがひどくてピルや漢方薬を飲むなど自分なりに対処はしてきましたが、体質を変えていこうと思いました。焚き火の音が鳴るキャンドルをつけて毎日湯船に浸かるとか、それこそ『よもぎ温座パット』をつけるとか。鍼は、小学生の頃から継続しています。
フェムテックtv:小学生から鍼!?
鈴木さん:鍼歴は18年くらいですね。小さい頃から冷え性で、夏でも靴下を履いていないとすぐにお腹を壊してしまうくらいだったんです。それから肩コリもひどくなって、さらには頭痛もするように。結局、体が冷えていることが、全部に繋がっているんですよね。鍼の先生は、温活をするようになってからの私の体の変化にも気づいてくれます。極度の冷え性だったのが、だいぶ解消しました。これまでのツラさが10だとしたら、今は2くらい。すごく暮らしやすくなりました。グラフィコに入社してから、温活や女性の揺らぎの知識も増えましたね。
フェムテックtv:仕事をしながら女性の体について学べるのもいいですね。
鈴木さん:お客様の課題解決という視点から商品作りが行われるので、チームでディスカッションも行うんです。弊社のブランドwithFEMのコンセプトは“わたしの我慢を解放して笑顔に変える”ということ。女性はホルモンバランスの影響で、1カ月のうち健康に過ごせるのは1週間くらいとも言われています。元気そうに見えても、どこか我慢して日常を送っているのかもしれない。そこに寄り添う商品開発を目指しています。
男性に理解してもらってこそフェムケアは広がる
フェムテックtv:あえて御社の課題を挙げるとしたら何かありますか?
鈴木さん:企業課題というよりは、社会課題として感じる部分はあります。バイヤーの方は男性が多く、2年前とかと比べると浸透してきたものの、まだまだフェムケアについて知られていないところもあります。自分自身もしっかり向き合って丁寧に伝えていかないと、より多くの人に知ってもらえないと感じています。『よもぎ温座パット』の商談をするまでは「生理用品だと思っていた」と言われることも多かったんですよ。
フェムテックtv:鈴木さんがしっかり説明されても、商品の形などで先入観もあるのかもしれないですね。
鈴木さん:そうなんですよね。男性だと、この商品を使いたくても使えないし、中には「女性の体について知ることすら、少し恥ずかしいと思っていた」という男性バイヤーさんからの声もありました。なので私からは、女性の体のこと、ホルモン周期のこと、なぜ体を温める必要があるのかなど、一からお伝えさせてもらうことも多いです。理由をつけて説明すれば、それが理解に繋がる。「お近くにお渡しできる方がいらっしゃったら、ぜひ使ってみてください」ともお話ししています。そしたら「奥さんの体調も機嫌も良くなって、家族が仲良くなったんだよ」という話を聞けました。女性だけでなく、女性を取り巻く環境にもプラスの影響を与えられることが本当のフェムケアなんじゃないかと思います。男性はもっと女性のことを理解して、女性も同じくらい男性のことを理解する。それはすごく大事なことだと感じています。
フェムテックtv:課題感を持ってお仕事に取り組まれている鈴木さんですが、今後はどのようなライフプランを描いていますか?
鈴木さん:子供を欲しいなとは思いますが、となると会社はお休みする必要がありますね。それでも絶対、働き続けたい。それができるのがグラフィコだと思っています。
うちは、おばあちゃんが働き者で、すでに90歳くらいですが、布団屋でミシンを踏んでいるんです。母親も小学校の先生で、働くのが大好きなんですよね。「働くって楽しいよ。何事も経験が大事だから、視野を広げなさい」と言われて育ってきました。この言葉を胸に仕事をしています。個人の力でやれることには限りがある。会社を通じてできることがたくさんあると思っているんです。ゆくゆくは営業以外のことにも挑戦したい。“挑戦できる会社”というのも強く感じています。
鈴木さんが思う働きやすい企業とは?
「“使われるべき制度がちゃんと使われている”というのも、弊社の働きやすい理由かもしれません。生理などでちょっと体調が悪いなと思ったら在宅勤務に切り替えるなど、私自身も積極的に活用しています。制度はもちろん、商品に関しても思ったことは声に出して伝えられる会社なので、女性社員の声から多くの商品が生まれています。だから私たち社員が、商品のいちばんのファン! 風通しの良い会社であることは誇りです」(鈴木乃理子さん)
Photo:Mie Nishigori