東北の食をテーマにした複数の活動をしている弘田光聖さんに食や人との関係づくりについて、おすすめの5冊を選んでもらいました。深い思考や地域での実践、そして愛情から選ばれた、力強いセレクトです。
選者 category:食
『多様な自分を生きる働き方 COLLABOWORKS』で中村龍太さんは、「社会資本(人と人との信頼関係やつながり)、金融資産(お金)、人的資本(スキル)の3つが、人生の豊かさを高めることに寄与する」と解説しています。関係人口と地域側の双方が関係人口を取り入れることで、社会資本を高め、人間関係の幅を広げ、自分の多様性を増やす視点をもてる。そして自分の幸福度が上がる──。僕は、関係人口が直接収入などにつながらなくても、関係人口の価値はそこにあるんだと感じました。みんなが幸せになるために関係人口をつくると双方が意識できるといいですよね。いろいろな人の関わり方を許容し、心地いいつながりをつくりたいです。よりよい関係づくりのため、関係人口の方たちとていねいな面談を心がけています。そこを大切にすると、継続的に関わってくれる場合が多いです。
また、社会資本を高めやすいのが「食」です。一緒に食べることで無防備になり、会話がはずみやすく関係性を結べるからです。『きっかけ食堂』は、東北や社会のことを真面目に考えましょうとストレートに言うのではなく、「おいしいごはんを食べに来ませんか?」と声をかけ、実はその食が被災地の応援につながっているという活動です。
人との関係性を育むヒントになるのが、非暴力コミュニケーション(NVC)を分かりやすく解説した『「わかりあえない」を越える』です。
関係人口の人が地域で自分とまったく違う人に出会うケースや、世の中で進んだ分断により理解し合うことが難しいケースも、時にはあるでしょう。でもそういう時、その前提に立ち、どう共感し合えるかが大切だと思うのです。相手を理解し、信頼関係をつくっていく際、NVCは多くの人が受け入れやすい、やさしい手法だと思います。また、日本人が苦手な、自分を大切にする手法でもあります。具体的には、自分がどう感じたかを素直に伝えたり、きちんと質問して相手のニーズを知ったりすることなどで、よりよい関係性の構築を進めていきます。
事業を進めていくうえで、人とのつながりは欠かせませんし、自分自身と向き合うこともあります。今回紹介する5冊は、僕を支えてきてくれた大切な本です。
尾原和啓著、幻冬舎刊
湯浅 誠著、朝日新聞出版刊
長尾 彰著、学研プラス刊
世界各地の個人や組織、社会で広がっている新しいコミュニケーションのアプローチである非暴力コミュニケーション(NVC)。人を評価するのではなく、自分と相手が大切にしているものに寄り添い、共感し合い、信頼関係を築きます。
多様な自分を生きる働き方 COLLABOWORKS/中村龍太著、エッセンシャル出版社刊
複業の始め方をまとめた本ですが、社会資本、金融資産、人的資本という3つの資本・資産を組み合わせて考える「複業ポートフォリオ」を紹介しているので、関係人口についても勉強になりました。複業の事例なども紹介しています。