勉強や仕事で日本に暮らす外国人を見かけることが増えてきたけれど、じっくり話をしたり触れ合ったりする機会は実は少ない。そこで、地域の人と外国人が顔を合わせて互いの魅力を知るプログラムが福島県郡山市で行われ、たくさんの笑顔が生まれました。
豊かな自然はもちろん、地域の魅力は人の温かさ!
このプログラムが実施された背景には、これからの国際社会に向けた郡山市の在り方を考えるなかで明らかになった衝撃的な事実があったという。「2年前に市内の専門学校に通う留学生にアンケートを取ったところ、居場所がないという回答がありました」と郡山市役所国際政策課の岩浪正人さん。
留学生らは、学校、家、アルバイト先を行き来するだけで、地域の人と交流する機会がほとんどなかったのだ。「“多文化共生”を目指していくなかで、非常に重たい言葉でした。そこで、学生に限らず市内在住の外国人と地域の人々とをつなぐ第一歩としてこのプログラムを企画しました」。参加者募集をSNSで行ったところ定員を超えるほどの反響があり、県内在住のベトナム人約20人が参加することになった。
お母さんたちはなぜこんなにも手馴れているのだろう。『郡山ふるさと田舎体験協議会』会長・勝又俊博さんがその答えを教えてくれた。「以前から農家民宿の事業などに取り組んでいて、これまでに首都圏在住の外国人や、研修で来日した人などいろいろな国の人を迎え入れてきたんですよ。だから、ベジタリアンやイスラム教のハラルにも対応できますよ」という頼もしい声を聞かせてくれた。そして、逢瀬町地区に魅せられて東京から移住し、今回のプロジェクトに一緒に取り組んでいる『おおせのとおり』代表の中潟亮兵さんは「手料理を振る舞うのが好きなお母さんたちにとって、町に来てくれた人たちに喜んでもらえるのが生きがいなんです。少々頑張り過ぎてしまうので、そこまでは大丈夫だよと声を掛けるのが僕の役割なんです」と笑って教えてくれた。
最後の振り返りの時間で、今回のお礼にベトナム料理を教えたいと参加者らが伝えると、お母さんたちからも、ぜひやってほしいと喜びの声。一歩ずつだが着実に、新たな居場所ができる気運を感じた。
参加者の声
福島弁は難しいけれど慣れてきて、地域の人たちはとても優しい。コロナ禍でストレスを抱えているベトナム人が多いので、もっと地域で遊べるイベントがあったらと思いました。
グエン テイ ミン トウさん
プログラムの内容を見て「流しそうめんに参加してみたい!」と思って参加しました。思い出のためにたくさん写真を撮りました。今度は浴衣を着てお祭りに参加してみたいです。
ファム ディン トアイさん
日本在住10年ですが勉強に仕事に忙しく、自然や農業に触れたくて参加しました。一緒に参加した妻がもうすぐ出産で、地域の方々が祝ってくれると言ってくれてうれしかったです。
逢瀬町地区の魅力を伝える動画コンテンツも。
こちらから視聴可能⇒https://catchjapan.jp/20210625-04