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多様性

ルワンダにいる母と子の今の姿。『あれから——ルワンダ ジェノサイドから生まれて』

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 この春、書籍『あれから——ルワンダ   ジェノサイドから生まれて』が発売されると聞いて、2010年に発売された前作『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』を本棚から取り出し、再びページをめくった。

 1994年4月から6月、中央アフリカのルワンダで、フツによるおよそ80万人のツチの大虐殺が起こった。そのさなかに横行した性暴力によって約2万人の子どもが生まれたという。写真家のジョナサン・トーゴヴニクは、2006年に取材ではじめて訪れたルワンダで、残忍な性暴力に遭った女性の話を聞いて大きな衝撃を受けた。このほとんど知られていなかった事実を世界に伝えようと自らプロジェクトを立ち上げ、09年には被害に遭った母と、その被害によって生まれてきた子を支援する財団を立ち上げた。

 前作にはトーゴヴニクが3年をかけて取材した30組の親子のポートレートと母親へのインタビューが収録されており、圧倒的な写真の強さ、詳細な言葉の力に、打ちのめされた一冊だった。そして取材当時12、13歳の子どもたちが成人して、再びカメラの前に立ったのが本作だ。前作との大きな違いは、母に加え子どものインタビューも収録されているところだ。大人になり、出生の経緯を知った子どもが語る言葉。そしていまも続く、母の葛藤やトラウマ。その苦悩を想像する努力はできても、理解しきれるものではない。本作には、過去と現在の子どものアップの顔写真が並べられたページがある。こちらを見つめ返す強く真っすぐな目に、あなたは何を思うのかと、問われている気がしてならない。ルワンダにいる母と子の現在と未来に思いを巡らせ、心にまとわりつく複雑な感情と向き合いたい。

目次

『あれから——ルワンダジェノサイドから生まれて』

 (写真・インタビュー:ジョナサン・トーゴヴニク   企画・翻訳:竹内万里子/赤々舎)5月中旬発売予定

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