社会主義時代の末期。ハンガリーの大平原にある寂れた村に、死んだはずの男イリミアーシュが戻ってくる。村人を前に演説を打ち、ある計画への参加を呼びかけるイリミアーシュは、彼らにとって救世主か、災いなのか。1994年に完成したタル・ベーラ監督の代表作にして、日本初公開となる『サタンタンゴ』。
牛舎から放たれた牛/降り止まぬ雨でんだ道を、酒を求めて歩く医者/木立の間を駆け抜けてゆく少女/酒場で踊り続ける村人/廃墟と化した荘園の屋敷へ移動する農民……。風景と同化した人々を延々と映す長回しのモノクロ映像と、そこにシンクロする音楽が、観る者の胸に心象風景として刻まれる全12章438分の超大作。
『サタンタンゴ』
9月13日(金)より、シアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町にてほか全国順次公開