名古屋土産は数あれど、なかでもちょっと変わった商品名が印象的なのが「ごっさま」。江戸時代から続く老舗和菓子店『美濃忠』の銘菓です。もっちりとした食感と程よい甘さがおいしいと評判。ごっさまという名は、名古屋の古い方言から由来しているのだそう。どんな意味を指しているのか、わかりますか?
目次
尾張藩御用の菓子屋から暖簾分けされ、創業160余年
美濃忠の歴史は古く、尾張藩御用の菓子屋「桔梗屋」にルーツがあります。初代尾張藩主・徳川義直が名古屋城に入る際、駿河から同道したのが桔梗屋でした。ここで長年奉公をしてきた伊藤忠兵衛が安政元年(1854年)に暖簾分けされ、名古屋城下和泉町(現 丸の内)に創業したのが美濃忠だったのです。代々、伝統の味と技を守りながらも、積極的に事業を拡大。現在は6代目・7代目が先代の遺志を受け継ぎ、和菓子文化を発信しています。
名古屋の主な百貨店にはほぼ出店しており、地元では知られた名店。“通”な土産を買い求めに訪れる県外ファンも多いのだとか。
「ごっさま」の名の由来には、徳川義直の妻が関係していた!
ごっさまのパッケージ表側には「名古屋方言まんじゅう」の文字が。裏側を見ると、こんな説明が書かれています。
尾張徳川家の藩祖、徳川義直公の夫人「春姫」は、浅野家の出であるところから「安芸御前」と呼ばれました。「ごぜんさま」と敬称されたのがいつしか「ごっさま」へと転じ、遂には下って一般の妻女の呼称となりました。
「安芸御前」→「ごぜんさま」→「ごっさま」と変化し、「奥様」や「女性」を表す名古屋ことばになったとのこと。美濃忠の歴史にゆかりのある徳川義直の名前が、ここで登場するのですね。
もっちり感に驚き!「ごっさま」を実食
パッケージを開けると、生地には“ごっさま”の顔が描かれています。焼き皮は、餅粉を使ったカステラ生地。中身には、みずみずしくしっとりとしたこし餡が入っています。つぶ餡ではなく、あえてこし餡を使うことで生地に馴染みやすくなるのだそう。
弾力のある生地と口どけのよい餡は、相性抜群。手に取ってみると、触っただけでそのもちもち感がわかります。小豆の上品な甘さは、お茶請けにぴったり。「誰にとっても食べやすく」を心がけてつくられたお菓子とのことで、幅広い年代に愛される味です。手土産に持っていけば、愛らしい見た目とその由来となった名古屋ことばに、会話が弾みそう。出張や帰省の土産に迷ったら、名古屋方言まんじゅう「ごっさま」をお試しあれ。
「ごっさま」が購入できるのはここ!
ごっさまが買える名古屋市内の店舗は以下の通り。5個入・10個入・15個入・20個入の箱詰め販売のほか、店頭では1個単位(140円)でも販売をしています。・美濃忠 本店
・檀渓通店
・平和公園店
・ジェイアール名古屋タカシマヤ店
・名鉄百貨店
・松坂屋名古屋店
・名古屋三越栄店
・名古屋三越星ヶ丘店
・檀渓通店
・平和公園店
・ジェイアール名古屋タカシマヤ店
・名鉄百貨店
・松坂屋名古屋店
・名古屋三越栄店
・名古屋三越星ヶ丘店
また、公式オンラインショップでも購入可能。ごっさま以外にも、棹菓子、焼き菓子、餡菓子、豆菓子など種類豊富な和菓子を取りそろえています。
文・撮影:齊藤美幸
取材協力・写真提供:美濃忠
取材協力・写真提供:美濃忠