コロナ禍でおうち時間が増えたことで、「丼や麺類など単品の食事が多い」など食生活が偏りがちになり、栄養不足になっている女性が少なくありません。なかでも、20~30代の女性に不足しがちなのはビタミン・ミネラル。必要な栄養素をきちんと摂取できていないと、不調を招きやすくなります。そこで、管理栄養士の成澤文子さんに、体調に合わせて摂りたいビタミンやミネラルなどの栄養素について教えていただきました。今の自分に足りない栄養素は何なのかを知り、調子のいい体になりましょう。
多彩な野菜を食べて、ビタミン・ミネラル不足を解決
「国民健康・栄養調査(厚生労働省、令和元年)によると、20代の20.7%、30代の16.4%が、BMIが18.5を下回る“やせ”の状態であると示されています。原因は、食べる量が少ない=エネルギー不足です。食べる量が少なく、カロリーが少ないということは、筋肉、髪や肌などを作る栄養素も不足しているということで、さまざまな不調を招くことにもつながります。過剰なダイエットをしている人や時間がないからと食事を抜く、簡単に済ませる、お菓子だけで満足してしまうといったことが多い人は、注意が必要です」
厚生労働省によると、20~30代の女性に特に不足している栄養素は、ビタミン、ミネラルです。「ビタミンやミネラルが不足する原因の一つが野菜不足。野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維など、体の調子を整える栄養素が豊富に含まれているので、いろいろな種類を意識して食べるようにしてください」(成澤文子さん・以下同)
成人女性が1日に摂取するカロリーの目安は、約2000~2050kcal。食べる量が不足している人は、まずは1日3食しっかり食べるようにしましょう。その上で、不調に応じたビタミン・ミネラルをプラスするのがおすすめです。
とはいえ、「ビタミンやミネラルって、何?」と、思う方もいるかもしれません。ビタミンやミネラルは、炭水化物や脂質、たんぱく質と同様、私たちの体にとって重要な役割をもつ栄養素です。ビタミンには、水に溶けやすい水溶性のビタミンCとビタミンB群、脂に溶けやすい脂溶性のビタミンA・D・E・Kがあります。一方、体に必要なミネラルは、鉄やカルシウムをはじめ16種類。それでは、ビタミンやミネラルが不足すると体にどんな影響が出るのか、具体的にみていきましょう。
「だるい」「疲れた」ときは、鉄分+ビタミンCで疲労回復
鉄は、酸素を全身に運ぶ赤血球の材料になり、体のすみずみに酸素が行き渡るように働いています。不足するとエネルギー代謝が滞り、無力感を招いたり、貧血になることもあります。女性にもっとも多い貧血は、鉄分が不足することで起こることによる鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血は、爪の変形、肌のかさつき、枝毛や抜け毛が多くなるなど、美容にも悪い影響を及ぼすので、しっかり摂るようにしましょう。
レバー、牛肉(赤身)、まいわし、かつお、まぐろ、小松菜、納豆、厚揚げ、そら豆、枝豆、レンズ豆、ひじき、ほうれん草など
「鉄には肉や魚に含まれる動物性食品に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる植物性食品に含まれる非ヘム鉄の2種類があります。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよいですが、非ヘム鉄は、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ることで吸収がアップします。どちらかに偏ることなく、さまざまな食品から摂るようにしましょう。ほかにも、赤血球を作る際に必要な葉酸やビタミンB12も大切です。よく噛んで食べることで胃酸が分泌され、鉄の吸収を高める効果も期待できます」
「眠れない」「夜中に目が覚める」ときは、ビタミンCを
強いストレスを感じて眠れないというときには、ビタミンCを積極的に摂るのがおすすめだそうです。
「ビタミンCは、ストレスを受けると急速に消費されてしまうので、意識して摂りたい栄養素。睡眠を促す作用のあるメラトニンの原料になるトリプトファンも重要です。トリプトファンは、体内では生産できないため、食べ物から摂取しなくてはならない必須アミノ酸の一つで、肉や魚、大豆、卵などに含まれます。朝、時間がなくて朝食が摂りにくいという方は、卵かけご飯を食べるだけでもOKです。また、えび、ほたて、いかなどに多く含まれるたんぱく質を構成するアミノ酸の一種、グリシンも睡眠によいと言われています」
柑橘類、キウイフルーツ、パプリカ、ブロッコリー、小松菜、じゃが芋など
「イライラする」ときはカルシウム、ビタミンB6を補給
●カルシウムを摂取できる食材
牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、しらす干し、ひじき、小松菜、モロヘイヤ、がんもどき、切り干し大根など
「カルシウムには、神経の興奮を抑える働きがあります。カルシウム不足が続くと、イライラをはじめ、体に悪影響を及ぼすので注意が必要です。カルシウムは、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐、しらす干しなど、手軽に食べられるものに多く含まれているので、普段の食事にちょっとプラスするといいでしょう」
カルシウムは、骨や歯を作ったり、筋肉や内臓を動かすことにも欠かせないミネラルです。しかし骨量は、20~30代で決まってしまうと成澤さん。
「骨量は、20~30代をピークに、その後は減る一方です。将来、骨がもろくなって骨折しやすくなったり、女性に多い骨粗鬆症を防ぐためにも、骨量を増やしておくことが肝心。そのためにも、カルシウムの摂取は大切です。カルシウムの吸収をよくするために必要なビタミンD(魚介類、卵類)や骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなども合わせて摂りましょう。また、ビタミンB6の欠乏はうつや免疫機能の低下にも関連します。ハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンの合成には、肉や魚、大豆、卵などに含まれるトリプトファンやビタミンB6が必要なので、バランスよく摂るようにしてください」
●ビタミンB6を摂取できる食品
青魚、豚もも肉、牛レバー、大豆、小麦発芽、玄米、ニンニク、さつまいも、バナナ、かぼちゃ、パプリカ など
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