群馬県の中でも人口流出が進み、消滅する可能性があると言われた甘楽郡南牧村に県内外問わず多くのファンに愛される「とらのこぱん」があります。村をはじめさまざまな方の協力や試行錯誤を繰り返し、一度は途絶えた南牧の味を復活させ、現在でも進化を続けるご当地グルメです。地元を元気にする可能性を大いに秘めた「とらのこぱん」をご紹介したいと思います。
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/329534
緑豊かな山々と清らかな川、何よりも人が温かい南牧村
人口およそ1,600人(2020年の国勢調査による)の南牧村は、2014年のシンクタンク会議の報告で「消滅可能性都市」として発表されたほど、過疎化が進んでいました。しかし、村民が住みやすいようにと村の福祉サービスなどに取り組み、人口の流出の傾向は緩やかになっています。
南牧村には行き合うと声をかけてくれるアットホームな方が多く、人の温かさを感じられる地域です。また空き家バンクなどのサービスも充実しており、移住を考えている方にとって生活しやすい地域という印象を受けます。
一度は途絶えた南牧名物パンの復活ストーリー
今は無き、絶大なる人気を誇った初代名物「とらおのパン」
虎雄さんが体調を崩され、2021年春に村へ石窯のある小屋を寄付した後、お亡くなりになりました。お一人で作られていたパンのレシピは残されていなかったため、とらおのパンの味が途絶えてしまいました。
石窯を受け継ぎ「とらのこぱん」作りが始まる
現在はお二人のパン職人の方が、虎雄さんが愛用していた炭小屋の石窯を引き継ぎ、二代目となる「とらのこぱん」を焼き上げています。ちなみにパンを焼く炭には、地元の木をメインに使用しているのだそうです。
外はカリッと中はふわもち! 優しい味わい「とらのこぱん」
石窯で焼かれているため、香ばしさが口から鼻に抜けていきます。素朴なおいしさとこだわり、そして暖かさがぎゅっと詰まった、ほかでは入手できないご当地名物グルメです。
焼きたてを提供したい!パン作りのこだわりのスケジュール
パンが焼き上がったら納品や店舗販売の準備をします。出来立てをおいしく食べてほしいというこだわりと熱意が伝わってきます。
試行錯誤と新たなチャレンジ
まずはレシピ。パンの作り方が何も残されていなかったので、当初はかつてのパンについていたシールにかかれた原材料と自分たちの舌を頼りに、とらおのパンに極力近づけるよう研究を重ねました。
またとらの模様を入れる際の力加減にも神経を使い、試行錯誤ののち現在のとらのこぱんが産声をあげたのだそう。お客さんの「懐かしい! 美味しい!」という言葉や笑顔、また窯を寄付してくれた虎雄さん、そして応援してくれる地元の方にも喜んで欲しいという想いがあって、数々の苦労を乗り越えることができたのでしょう。
新たな取り組みとして、ギフトでパンをもらった人が喜んでもらえるように、可愛らしい「とら」のキャラクターをあしらった紙袋の導入も考えていらっしゃるそうです。
パンを通じてお客さんやその先の人たち、そして南牧村に笑顔があふれるように、今後もアイデアあふれる取り組みから目が離せません。
味を受け継ぐ熱意と愛が、地域を元気にする
古くからのファンも多く、偉大なとらおのパンの味を受け継ぐということはプレッシャーがあり、ゴールが見えなくなることもあるそうですが、続けていくこと自体がゴールなのかもしれません。また、とらのこぱんがおいしくなったというお客さんの言葉に元気づけられ、より一層パン作りに熱意が入る。もしこのパンが途絶えた時、とらおのパンのように惜しまれるような存在になりたいとおっしゃっています。
プレッシャーなど大変ことも少なくないとは思いますが多くの方の協力の下、「南牧村名物の味を引き継ぎ守り続けていきたい!」 という熱い思いが、この地域を元気にする大きな可能性を秘めているのではないかと強く感じた筆者なのでした。
とらのこぱんの販売場所や時間について
そしてパン工房。併設の石窯や薪が積まれている風景も見られます。看板が出ていればパンを購入できます。
住所:群馬県甘楽郡南牧村大字千原3−1
電話:0274−87−3350
営業時間:9:00〜17:00
HP:http://www.nanmoku.ne.jp/modules/oasis/index.php?content_id=4
住所:群馬県甘楽郡南牧村檜沢935−5
時間:7:00頃〜売り切れ次第終了
Instagram:https://www.instagram.com/toranoko_pan/
※人気商品のため早い時間に完売してしまうこともあります。