甑島(こしきしま)の名産といえば、全国一の漁獲量を誇る「キビナゴ」ですが、他にもおいしいグルメがあります。甑島で忘れられない味と出合った筆者が、みなさんにも推したい「甑島のおいしいもの3選」を紹介します。
化石眠る断崖絶壁の島
甑島は鹿児島県の西部、東シナ海に浮かぶ自然豊かな島。島の名前は、米を蒸す「甑(せいろ)」によく似たかたちの岩からきており、この大岩を御神体とした「甑大明神」が大切に祀られています。
甑島へは、鹿児島の串木野新港または川内港から船に乗り約1時間で行くことができます。鹿児島には屋久島や種子島など魅力的な島が多いため、離島好きの間では「行ってみたいが、なかなか行けない島」として密かに評判なのだとか……。
近年「甑大橋」が開通したことで、上甑島・中甑島・下甑島の3つの島が車で行き来できるようになり、島内巡りが非常に便利になりました。新鮮な魚介類はもちろんのこと、古い地質や多様な地形、恐竜の化石の発見などにより、地質学を学ぶ人も多く訪れているそうです。
「喫茶くるみ」のタカエビフライ
甑島といえば「キビナゴ」が有名ですが、ほかにも多種多様な海の幸に恵まれています。その一つが「タカエビ(ヒゲナガエビ/薩摩甘エビ)」。旬は春と秋で、甘くてぷりぷりの食感が人気です。
島では漬け丼やラーメンなど、さまざまなタカエビ料理を堪能できますが、筆者のイチオシは長浜港そばにある「喫茶くるみ」のタカエビフライです。小ぶりなタカエビをなんと、5匹以上まとめた贅沢なフライをいただけるのです。
1日5食限定の「甑定食(タカエビフライ3尾)」は逃してしまいましたが、タカエビフライが1尾入った「シーフードミックス定食」を注文しました。タカエビフライのほかに、サーモンフライ、カニクリームコロッケ、カキフライ、お味噌汁とたっぷりのご飯とお漬物もついて1,100円と、とても良心的な価格です。
オリジナルのタルタルソースがこれまた美味……。タカエビフライにぞっこんになった筆者、帰りのフェリーが高浜港に立ち寄った際、「喫茶くるみ」に駆け込み、またもや「シーフードミックス定食」をお弁当にしてもたせていただきました。船上で最後のタカエビフライの味を噛み締めつつ「必ずやいつかまた」と誓いました。
「ヒラミネ」の木立甘酢
古民家を改修した、雰囲気抜群の「オソノベーカリー」。時間がゆっくり流れ、おもしろい本がたくさん置いてあるので、ついつい長居してしまったお気に入りのカフェです。
ここで出合ったのが「島アロエ」。上甑島のヒラミネファームで育てたキダチアロエを使ったお酢で、ソーダかミルク割りを選べます。アロエ独特の甘味とほどよい酸味が絶妙なバランスで、心と体が一気に回復するような、さわやかなごしです。
ソーダ割りはさっぱりと爽やかに、ミルク割りはとろっとデザート風に。お土産用には「ヒラミネの木立甘酢」として、素敵なパッケージで販売されています。筆者は自宅用に大きいのを、お土産用に小さいのを購入しました。
ちなみに「島アロエ」は「コシキテラス」でも注文でき、「ヒラミネの木立甘酢」は島内の各お土産屋さんで販売されています。あまりのおいしさなので、自宅でキダチアロエを育てようと思いました……。
「甑フルーツ園」のパッションフルーツ
筆者は大のフルーツ好き。甑島でも南国フルーツを食べられると聞いて、一目散に向かったのは「甑フルーツ園」です。甑島では「こしき姫」という品種のパッションフルーツが栽培されており、6月頃から収穫が始まります。
訪れた日はちょうど収穫が始まった数日後で、採れたてのパッションフルーツをいただくことができました。思わず「酸っぱい〜!」と声がもれてしまいました……南国のフルーツはこうでなくちゃ。沖縄や奄美でも食べたことがありますが、さすが採れたては果実のエネルギー満点。粒も大きくしっかり詰まっていて、半分でも十分な満足感でした。
食後、カフェのお隣で栽培している様子を見学させていただきました。ちょうど花が咲いてから実になっていく様子を見ることができ、成長過程の美しさに感動。筆で写真のように受粉させていくのですが、この細かい作業あって、実の詰まったおいしいパッションフルーツになるのですね。カフェはゴールデンウィークから9月頃限定でオープンしているようです。
いかがでしたか? ほかにも、山下商店の手作り豆腐や福田商店のタカエビラーメンなど、紹介したいグルメがたくさんありますが、はじめて訪れる方にも「これだけは食べてほしい!」と思う3つのグルメを紹介しました。減っていく木立甘酢の残りを眺めながら、今日も島を思い出しています。