東京のおいしいローカルカレー 国立「ロージナ茶房」
国立駅南口から徒歩3分の場所にある「ロージナ茶房」は、昭和28年創業。東京有数の老舗喫茶店の1つ。
郷愁漂うレトロな雰囲気と欧風の洋食が人気で、毎日お客が絶えないほどの人気ぶりだ。
店内は1Fと 2Fの他に地下もあり、レンタルギャラリーも併設。創業当時、海外旅行が好きだった先代が、あらゆる土地で出会った料理をオリジナルにアレンジ。その料理に魅かれ、芸術家、ミュージシャンなどが多く訪れる大人の社交場的なカフェだった。
今でも出版社と作家の打ち合わせ場所として利用されており、ランチタイムは一橋大学の学生たちで賑わっている。そんな、老舗の喫茶店の定番メニューが「ザイカレー」。味とボリュームのよさが老若男女問わず人気なのだが、とにかく辛いのだ。
ひと口食べる度に汗がほとばしる!罪な辛さの「ザイカレー」
牛肉や玉ねぎなどの香味野菜に9種のスパイスを加えて3日間煮込んだという「ザイカレー」(980円)は、牛肉の旨みの中に、ほろ苦さと辛さが際立つ大人のカレーだ。
辛さレベルでいえば「激辛」で、あまりの辛さに一橋大学の学生たちが罰ゲームで食べさせられていたことから『罪(ザイ)カレー』と名付けられた……なんていう説もあるそう。本当は違うそうだが、いろんな説が生まれるのも楽しいと、あえて否定はしないのだとか。
実はザイカレーを食べるのは二度目。前回、美味しいと思ったから取材しようと思ったはず。そう考えながら、トロッとしたカレールウとご飯をスプーンでバランスよく掬い、パクリと食べた。
香味野菜の香りが鼻に抜け「あ、やっぱり美味しい」……そう思った次の瞬間、スパイスの鮮烈な刺激が口の中に広がり、前回の記憶がグルグルとよみがえった。
「あーーーっ!!そうだった!すごく辛かったんだ……!」
ふた口目で更に辛さが増していき、ブワッと汗が噴き出る辛さだ。
とりあえずスプーンを置き、汗を拭きながら水を飲む。なかなか辛さが引かないのに、また食べたくなる罪な味わい深さ。
違う意味で“ザイ(罪)カレー”だ。辛い辛いと言いつつも、しっかり完食。
ロージナ茶房特製「フルーツゼリー」で甘やかしたい
ヒィヒィいいながらようやくカレー食べ終え、セットのアイスオーレを飲み干した。いやそれでも辛さは引かない。そこで頼んだのがロージナ茶房特製の「フルーツゼリー」(500円)だ。
「フルーツゼリー」はライムとグレープ、グレナデンの3種あるそう。取材日はライムだった。
そうか、このフルーツゼリーを食後に食べたから、私は今日までの辛さを忘れてしまっていたのかもしれない。
そのくらいの癒しを与えてくれるご褒美のようなゼリーなのだ。フルーツたっぷりで、白いゼリーとのコントラストなど、見ているだけでも涼しげ。 頭の中で、風鈴がチリーンと鳴る音が聞こえた。
芸術家や有名人も虜になる「ロージナ茶房」
取材を行ったのは15時頃。
2F席には一橋大学の学生らしい人たちがチラホラ。本を読みながらコーヒーや自家製プリンを味わっていた。
残念ながらお客さんが座っていたので撮影は遠慮したが、階段の真上にある席は、RCサクセションの忌野清志郎氏お気に入りの席だったそう。清志郎氏の“聖地”といわれている「多摩蘭坂」を訪れる時に、一緒に立ち寄る人も多いのだとか。
「ロージナ」とは、ロシア語で“故郷”を意味するそう。今は遠く離れてしまった国立を愛する人たちも、いつかまた「ロージナ茶房」を訪れ、「ザイカレー」味わい、その辛さを懐かしむのだろう。
辛くてスパイシーなカレーが好きな人はぜひ一度召し上がってみては?