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「ラーメン屋台」でグローバルテック界を席巻!RAMEN TECHの地方創生戦略from福岡県福岡市

ソトコトオンライン編集部

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東京ビッグサイトで開催されたアジア最大級のテックカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2025」に、福岡からラーメン屋台をモチーフにした異色のブースが登場。「RAMEN TECH」と名付けられたこの取り組みが、なぜ多くの来場者の注目を集めたのか?

目次

「なんじゃこりゃ!」から始まる国際的な対話

5月8日から10日まで東京ビッグサイトで開催された「SusHi Tech Tokyo 2025」。世界中のスタートアップ関係者が集うこのグローバルイベントで、ひときわ目立つブースがあった。

それが福岡市が仕掛けた「RAMEN TECH」パビリオンだ。屋台のラーメン店を模したユニークなデザインのブースは、来場者の足を止めるのに十分なインパクトを持っていた。

「最初はみんな『何これ?』って感じで近づいてくるんです。でも、それが狙いでした」と関係者は振り返る。注目を集めることで、福岡のスタートアップ企業との商談機会を創出する——。一見奇抜に見える戦略の裏には、地方都市ならではの知恵が詰まっていた。

福岡が選んだ「らしさ」での差別化戦略

なぜ「ラーメン」なのか。その答えは、福岡の街の特色にある。

博多ラーメンで知られる福岡は、屋台文化が根付く街だ。中洲や天神の屋台は、地元の人から観光客、さらには外国人まで、様々な人が肩を並べて座る場所。そこでは言葉の壁を越えた交流が日常的に生まれている。

「グローバルなスタートアップイベントも、本質は同じ。異なる背景を持つ人々が出会い、新しいビジネスを生み出す場なんです」——。RAMEN TECHは、福岡の屋台文化をメタファーとして、国際的なビジネス交流の場を演出したのだ。

4社の多様性が物語る福岡エコシステムの実力

RAMEN TECHパビリオンには、福岡発の4つのスタートアップが出展した:

KAICO株式会社:昆虫カイコを利用した経口ワクチンの開発 Chiral株式会社:創薬分野でのクラウド活用SaaS提供
MarbleXR株式会社:ウォレット連携可能なインタラクティブARアプリ 株式会社OneAI:生成AI活用チャットマーケティング「ChiChat」

バイオテック、創薬、XR、AIという全く異なる分野の企業が一堂に会したのは偶然ではない。これこそが福岡のスタートアップエコシステムの多様性を示している。

高島宗一郎福岡市長も現地を訪問し、各社から事業説明を受けながら熱いエールを送った。地方自治体の首長が直接スタートアップを支援する姿勢は、福岡の本気度を物語っている。

「コンビニのようなワンストップ支援」の評価

注目すべきは、外国人起業家からの評価だ。スタートアップビザを取得して2021年に福岡で創業したChiral株式会社の代表Qin Wan氏は、セッション登壇で福岡の支援体制をこう評価した:

「福岡市は、外国人起業家に向けた支援がコンビニエンスストアのようにワンストップで揃っている」

ビザ取得支援、オフィス提供、資金調達サポート、生活面での支援まで——。これらが一元的に提供される環境は、国際的に見ても珍しい。

地方都市の新戦略:「アジアとの近接性」

福岡Growth Nextの池田事務局長が登壇したセッション「オールジャパンで切り拓く日本のスタートアップ・エコシステム」では、地方都市ならではの戦略が語られた。

大阪・愛知のエコシステム代表者らとともに議論されたのは、東京一極集中ではない、地域の特性を活かした連携の可能性。福岡の場合、それは「アジアとの近接性」だ。

上海まで1時間20分、ソウルまで1時間40分という地理的優位性を活かし、アジア展開を目指すスタートアップの拠点として機能する——。これが福岡の描く未来図だ。

「Colive Fukuoka」が象徴する新しいコミュニティ

RAMEN TECHの運営に協力したのは「Colive Fukuoka」。世界中の起業家やリモートワーカーが福岡に滞在し、地域ビジネスとのマッチングや国際交流を実現するアジア最大級の体験型プログラムだ。

「ビジネス環境だけでなく、生活する場所としての魅力、コミュニティのつながりが重要」——セッションで語られたこの視点は、まさに地方創生の新しいアプローチを示している。

10月の本格開催に向けて

今回の東京での展示は、いわば「予告編」だった。本格的な「RAMEN TECH」は、2025年10月の第2週に福岡市天神・大名エリアで官民一体となって開催される予定だ。

地元の屋台街を舞台に、世界中からスタートアップ関係者が集まる国際イベント——。その光景は、まさに福岡らしい国際都市の姿を体現することになるだろう。

地方創生の新モデル「らしさ×グローバル」

RAMEN TECHが示すのは、地方都市の新しい可能性だ。東京の真似をするのではなく、その土地「らしさ」を前面に出しながらグローバルに挑戦する。

ラーメン屋台という身近なモチーフで国際的な注目を集め、実際にビジネス機会を創出する——。この成功体験は、全国の地方都市にとって示唆に富む事例となりそうだ。

「地方だからこそできること」を追求し、それをグローバルに発信する。RAMEN TECHの挑戦は、日本の地方創生に新しい道筋を示している。

福岡の屋台で生まれる次なるイノベーションに、世界が注目している。


RAMEN TECH 2025 詳細

  • 開催予定:2025年10月第2週
  • 会場:福岡市天神・大名エリア
  • 問い合わせ:福岡市グローバルスタートアップ推進課
  • TEL:092-711-4706
  • Email:globalstartup@city.fukuoka.lg.jp

取材・文/ソトコトオンライン編集部

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