【ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー連載】第4回目(前編)。日本の各地域を再生して、地域を活性化、関係人口を推進していくプロジェクトが「ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー」。毎回ゲストを迎えてソトコトと一緒に対談。
日本の築古戸建ての再生賃貸事業を手掛ける株式会社ヤモリ代表の藤澤正太郎さんが毎回、ソトコトと一緒にゲストを招いて、日本の各地域の空き家から推進する地域活性化、関係人口作り対談。
第4回目は、ヤモリ取締役で、およそ30棟計10億円の空き家不動産を運用してきた「きこり先生」が登場。前編、中編、後編に渡って、空き家の価値と、空き家が生み出す地域の活性化と経済圏について語ります。
30棟計10億円の空き家不動産を運用! 空き家再生が持つ可能性について!
藤澤 今回第4回目は、ヤモリ共同創業者で、空き家など中古不動産を対象とした賃貸オーナーでもある、きこり先生を招いています。空き家再生が持つ可能性について、お聞きしていきます。まずは自己紹介をお願いできますか?
きこり先生 本名は廣瀬涼哉と言います。北海道出身で1985年生まれです。筑波大学を卒業後、新卒で三菱商事に入社しました。 上海への駐在中に、単なるサラリーマンとして生活していくことに息苦しさを感じ、会社に依存しない生活を手にしたいと思い、不動産を手がけ始めました! 空き家の不動産を始めたのは2014年で、10年以上になります。空き家を購入し、リフォームして、大家として賃貸しています。
藤澤 具体的に、どういう空き家事業を展開されてきたんですか?
きこり先生 地方で空き家になって放置されているような物件を買い、修繕して貸し出し、賃料を収入源としてきました。最初は個人でやっていましたが、さらに拡大していくために会社組織も作り、日本の各地域にたくさんある空き家を購入しています。
藤澤 今まで何棟くらい空き家を購入しましたか?
きこり先生 計30棟ぐらいで、総額で10億円ほどです。範囲は北は北海道から、南は長崎まで、日本各地です。毎年1億円ほど不動産収入を得ています。

自ら取締役を務める会社ヤモリでも全国の築古物件を購入。
地方の空き家の価値が正しく評価されていない…そんな歪みにポテンシャルの高さを感じて…
藤澤 一般的に不動産投資は、都心の築浅マンションが主流になってくると思います。 しかし、なぜ「地方」「空き家」の物件に着目したのでしょうか?
きこり先生 地方の方が、実は不動産のポテンシャルが高いと思ったからです。ワンルーム投資や、立地の良い場所に土地を買って新築アパートを建てて運用するのが、基本的な不動産投資です。私が不動産投資を始めた10年前も、同じでした。しかし、それでも地方の空き家に着目した理由は、地方には空き家が多く、しかし空き家の不動産価値は低いと認識されていたからです。つまり空き家が古くて汚い…収益性も良くないと、マイナス面ばかりフィーチャーされて、これだけ地方には空き家がたくさんあるのに、歪んだ認知をされていたからです。
藤澤 都心の物件は検討しましたか?
きこり先生 都心の物件も真剣に検討していると、逆に地方の筑古の戸建てが過小評価されていると思いました。建物を実際に見てみると「これなら直して、ちゃんと使える。むしろ新築よりも良い住環境が作れるんじゃないか?」とすぐに実感しました。これなら実際に住む人も、このリフォームした家に魅力を感じるはず…しかも費用対効果が高い…そこにニーズを感じ、収益に結びつくと…!

この物件も「歪み」を突くことで、大きな収益を生み出した。
人口減少している地域で、不動産賃貸業をやるのは怖い…最初はそんな概念が…
藤澤 きこり先生は北海道北広島市で育ち、その後、茨城の大学を卒業し、東京で働いていましたよね。 地方と東京の生活を両方知っていると思いますが、不動産購入を始める際に地元の物件は視野に入らなかったのですか?
きこり先生 最初は視野に入っていませんでした。政令都市以外の地域はそんなにどこも盛り上がっていない印象で、人口減少が著しいと思っていました。人口減少している地域で不動産業…特に賃貸業をやるのは、怖いなと…それは世間の一般認識だとも思いました。(次回、中編に続く)

安定して黒字で経営推移。
【きこり先生プロフィール】
本名は廣瀬涼哉。2009年に筑波大学を卒業後、三菱商事株式会社に入社。上海駐在から帰国後に不動産事業をスタート。戦略コンサルティング会社への出向や育児のかたわら、地方の空き家を再生するために、築古の物件を購入し収益性が高い事業を構築。10年以上の事業経験をヤモリのサービスに注ぐ。
【藤澤正太郎プロフィール】
株式会社ヤモリ代表取締役。2011年に慶應義塾大を卒業後、三菱商事株式会社に入社。インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。南米チリに4年間駐在。その後、NY本社の不動産ユニコーン企業であるKnotel IncのJapan GMを務める。2018年に株式会社ヤモリを創業し、日本の中古戸建て市場の活性化を通じた地方創生を目指す。