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しなやかに地域と関わる二人から、さまざまな移住のカタチを考える。

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東北のことを知るきっかけを提供し、東北ファンを増やすための取り組み「Fw:東北 Fan Meeting(フォワード東北ファンミーティング)」。2021年度の第1回は、「『新しい東北』に暮らす」と題して移住をテーマにオンラインで行われた。その様子をレポートする。

「新しい東北」に暮らす、二人のストーリー。

 復興庁主催の「Fw:東北 Fan Meeting」は、2017年度に始まり、これまでに延べ100以上のワークショップを開催してきた。コロナ禍により2021年度はオンラインで実施。その第1回が9月27日に行われ、77名が参加した。移住が地域にもたらす変化や、そこに生まれるストーリー、そして地域の魅力について、宮城県・南三陸町に移住した浅野拓也さんと、岩手県陸前高田市に移住した髙橋瞳さんが自身の経験を話し、小誌『ソトコト』編集長の指出一正も交え、移住の意味や可能性について語り合った。
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 浅野さんは大学卒業直前に東日本大震災を経験。広告制作会社の仕事で東北を頻繁に訪れ、第一次産業の担い手に取材をするなか、生産者に寄り添って地域で活動したいと思うようになり、2014年2月に南三陸町へ移住した。現在は研修コーディネートのほか、映像制作、取材・記事執筆、写真撮影、デザインなど、さまざまな仕事を行う。「少しのスキルでも地域の課題解決に貢献できるのが、やりがいになっています」と浅野さん。

髙橋さんはオンライン全国移住フェアに参加して東北地域に興味をもち、陸前高田市の「地域おこし協力隊」に応募して、2020年9月に同市に移住した。現在、『特定非営利活動法人高田暮舎』で移住希望者の相談や定住のフォロー活動、オンラインでの現地案内などを行う。「人とつながりやすい環境で、毎日が充実しています。ひとりの人間として認識してもらえるのがうれしいですね」と話した。

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終始和やかな雰囲気での開催となった。右上から時計回りに原亮さん、指出一正、浅野拓也さん、髙橋瞳さん。

”関わりしろ“のある地域で「ありたい自分」を実現する。

 後半は、ファシリテーターを務める『エイチタス』の原亮さんを交え、浅野さん、髙橋さん、指出によるトークセッション。まず地域での関係づくりについて、「どこへ行っても温かく受け入れてもらいました」と髙橋さん。コミュニティセンターや地域での草刈りなど、いろいろな場に顔を出すとつながりを広げやすいとのこと。一方浅野さんは、移住後の半年間は友達がいなかったそう。しかしフットサルに誘われ、同世代と一気につながったという。すっかり地域に溶け込んでいる二人に対し、指出は、「自分をきちんと認めてくれる地域に若い人が入ってくる。同じ地平で自分を認識してくれて、“関わりしろ”の多い地域を、陸前高田も南三陸もこの10年でつくってきたのだと思います」とコメントした。

また移住後の仕事について、浅野さんは「友人や地域の困りごとを解決できることに手ごたえを感じています」、髙橋さんは「移住を希望する人に寄り添って、その人に合った提案ができるのがうれしいです」と話した。自らのスキルを生かし、自分ごととして“生業”を楽しむ二人に、「移住を通して自己表現をしている」と原さん。

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コロナで開催が厳しくなった地域イベントの様子を、ハイクオリティの映像でライブ配信した浅野さん。
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髙橋さんは、オンライン移住相談や、現地の空気感を伝える冊子を制作している。
 そんな浅野さん、髙橋さんがこの先「ありたい姿」とは? 髙橋さんは「人とのつながりを大切にしながら、地域の人と外の人をつなげるハブになりたい」とコメント。浅野さんは「南三陸に限らず、自分のスキルが生かせるところ、おもしろそうなところがあれば動けるしなやかさをもちたい。フラット・自由でありたい」と話した。

それを受け指出は次のように投げかけた。「軽やかに移動する、ひとつの場所にとどまる、そのどちらもありで、大切なのは地域が幸せになり、町の人が元気になること。移住の新しい文脈を考えていってもよいのでは?」。東北の今、ローカルの暮らしや生業の魅力、移住の新しい形など、多くの発見や気づきのある2時間だった。

「Fw:東北Fan Meeting」

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「Fw:東北Fan Meeting」では、今後も東北にある自治体を取り上げ、移住にまつわる「東北の今」を発信予定。具体的な開催日時や内容は、決まり次第facebookページで公開される。気になる方はぜひフォローを。
www.facebook.com/fwtohoku
text by Makiko Kojima
記事は雑誌ソトコト2022年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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