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特集 | 新・関係人口入門

『SMO南小国SMOMO』編集長・かじちゃんが、みなさんと南小国をつないでいきます!

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「かじちゃん」こと、梶原麻由さんが編集長を務めるウェブメディア『SMO南小国SMOMO(すもも)』。熊本県・南小国町の魅力を、ときには「体を張って」楽しく記事で紹介。その明るさで南小国町のファンを増やしています。

目次

地域の魅力を発信する、南小国の「案内人」。

「保存版・湯めぐりと一緒に楽しみたい。阿蘇・黒川温泉の食べ歩きグルメ完全ガイド!」「厳選・ハズレなし! 阿蘇育ちの編集長が本気でオススメする阿蘇絶品スイーツ7選!」──熊本県・阿蘇地方の観光情報を知りたい人はもちろん、読み物としてもおもしろそうなタイトルの記事がズラリと並ぶのは、『里山再発見メディアAMO南小国SMOMO』(以下SMOMO)。熊本県阿蘇郡南小国町やその近辺の魅力を発信するウェブメディアだ。

『SMO南小国SMOMO』のトップページ。最新情報を掲載することを心がけ、一度アップした記事に追記することも多い。
『SMO南小国SMOMO』のトップページ。最新情報を掲載することを心がけ、一度アップした記事に追記することも多い。

南小国町は九州のほぼ中央、阿蘇外輪山のふもとに位置し、黒川温泉をはじめとする多くの温泉地を擁する人口約4000人のまち。SMOMOは2018年6月にスタートして以来、グルメ、自然、アウトドア、温泉、注目してほしいまちの人のインタビュー、移住情報など、これまで1年半で約150本の記事をリリースしている。SMOMOの編集長を務めるのは、「かじちゃん」こと、梶原麻由さん。かじちゃんの署名記事を見て南小国町を訪れたという人も大勢いる。いまや、外の人を南小国につなぐ「案内人」だ。

取材時のスタイルで、赤い愛車と梶原さん。
取材時のスタイルで、赤い愛車と梶原さん。

梶原さんは南小国町出身で、高校卒業後に福岡県の大学に進学した後、そのまま就職。計8年間、福岡県で暮らした後、2018年2月にUターンしてきた。

「福岡では不動産会社の営業をしていました。4年勤めて、最後の2年は営業成績1位という結果も出していたのですが、出世をしたかったわけではなく、次第に『このまま先の見えるレールの上に乗り続けていていいのだろうか』と疑問に思うようになりました。福岡や都会は今も好きですが、『私だから頼みたいと言われる仕事』をしたくて辞めることにしました」

その後、地元の南小国町に戻ったところ、役場での仕事に空きがあり、そこで働くことに。

「入って2か月ほどで観光協会へ出向となり、観光振興が私の仕事になりました」

また、ちょうどその頃、町が出資するかたちでまちづくり会社の『SMO(Satoyama Management/Marketing Organization)南小国』(以下SMO)が立ち上がった。

7つの温泉地があるなど観光面で強みを持っている南小国町で、観光を手段としながら、「上質な里山」をマネジメントするために生まれた組織だ。観光の対象となる風光明媚な光景は、里山の構成要素である豊かな第一次産業やそこで働く人たちと密接に結びついている。そこで、第一次産業の成果である物産と観光を多様な視点で組み合わせ、新たな価値を発見・発信しようというのがSMO設立の目的だ。

「そうしたら、今度は『SMOで新たにウェブメディアをつくるから、町の記事を書いてほしい』と言われて、その流れで突然、ライターをすることになったんです」と梶原さんは笑う。

『未来づくり拠点MOG』とSMOのスタッフや関係者。後列左から宮本龍さん、荒関望さん、ワル・マックスさん、前列左から大島由佳さん、梶原麻由さん、安部千尋さん。
『未来づくり拠点MOG』とSMOのスタッフや関係者。後列左から宮本龍さん、荒関望さん、ワル・マックスさん、前列左から大島由佳さん、梶原麻由さん、安部千尋さん。

「すごさ」を見つけ、記事で伝える。

ライター経験はなかったが、前職の営業で培った積極性が取材に役立った。「最初から物怖じせずに店に入っていけました」。

取材中、「Uターンで南小国に戻ってきました」と言うと、相手との心の距離が近づくのも感じた。

「『いつもなら取材は断っているけれど、特別に載せていいよ』と言ってもらえたこともあります」と梶原さん。

取材中の梶原さん。相手がこだわっているポイントを聞き出す。
取材中の梶原さん。相手がこだわっているポイントを聞き出す。

最初は手探りで進めていた原稿作成。いくつかの記事を仕上げるうち、やりがいを感じるようになった。「自分の店が記事になったり、それを読んだというお客さんが来たりすると、その店の方がすごく喜んでくれるんです。それがうれしかったです」。

梶原さんのお気に入りの場所の一つ、小萩山稲荷神社。ここからは阿蘇の雄大な山並みや草原が一望できる。
梶原さんのお気に入りの場所の一つ、小萩山稲荷神社。ここからは阿蘇の雄大な山並みや草原が一望できる。

取材を重ねるうちにわかったのは、「南小国には自覚を持たないまますごいことをしている人や、見過ごされている魅力あふれる場所が多い」ことだった。

「たとえば、大きな窓から圧倒的な阿蘇の景色を眺めながら、歯ごたえと香りを楽しめる蕎麦が食べられるお蕎麦屋さんや、ご夫婦がサッカーコート3面半ほどの広さの山を切り拓いてつくったキャンプ場があったりします。地元の人や、本人ですら『すごい』と感じていないのですが、私は一度外に出たからこそ、その『すごさ』がわかり、客観的な視点で発信できます。来たいと思ってくれる人も増えるし、迎える人たちも『自分たちはすごかったんだ』と誇りを持った状態で受け入れてくれるから、『ファン』が増えて、関係性のいい循環が生まれます」

梶原さんおすすめの店のひとつ『辻の茶屋』で。郷土料理のだご汁が絶品。常田文利さんと由美さんが切り盛りする。
梶原さんおすすめの店のひとつ『辻の茶屋』で。郷土料理のだご汁が絶品。常田文利さんと由美さんが切り盛りする。

すごさの発信をさらに多彩にするため、梶原さんは文字の記事のほかに、SMOでインバウンドツアーの企画などにたずさわるスウェーデン人のワル・マックスさんと組み、PR動画の配信も昨年末から始めた。

「マンガ」がきっかけで日本に興味を持ち、今は南小国町で暮らすスウェーデン人のワル・マックスさん。
「マンガ」がきっかけで日本に興味を持ち、今は南小国町で暮らすスウェーデン人のワル・マックスさん。

もともと九州が好きだったマックスさんは、18年12月に南小国町に移住してきた。地元の小料理店のお母さんと何げない世間話をしたり、採れたての味の濃い野菜を食べるのが至福の時だと話す。

多様な関わり方を提供する。

19年4月には、SMOで新しく「未来づくり事業」が始まった。まちの未来をつくる人材や仕事を育てるため、南小国で何かチャレンジをしたい人をサポートしたり、人と人とを結びつけていこうという取り組みだ。

事業の運営を任されているのは、自身も最初は「関係人口」として南小国町のファンとなり、19年4月に夫、子どもと共に東京から移住し、SMOに就職した安部千尋さん。東京で千尋さんは社会事業のコーディネーター、夫はローカルベンチャー支援などの仕事をし、夫の仕事のつながりで南小国町を知り、実際に足を運んでみた。

家族で南小国町に移住し、『SMO南小国』未来づくり事業部部長として活躍する安部千尋さん。
家族で南小国町に移住し、『SMO南小国』未来づくり事業部部長として活躍する安部千尋さん。

「最初は町役場の方の、まちをよくしていくために動く際のスピード感に感動しました。何かを提案したらその場で決まることもあるくらいです。ちょっとした提案がきっかけで、南小国の魅力を伝えるイベントを東京でして、最終的には移住。関わることから移住に至る一般的なステップを、半年程度の短期間で辿りました」

さらにSMOでは、地域の人や南小国町に興味のある人が集まることができる『未来づくり拠点 MOG』も運営している。コワーキングスペース、ワークショップなど多目的に使うことができる会議室、シェアオフィスなどの機能を持つ場所だ。物産と観光の組み合わせに「人」というリソースを加え、得意分野を活かすことで、企画、商品化、販路づくりなどを一貫して行える、より強い動線をつくっていく。

玄関の看板にはイベント情報が。
玄関の看板にはイベント情報が。

人材育成にも力を入れており、「南小国未来づくり起業塾」も開講。南小国町に興味を持ってくれた受講生に、どう関われるかを考えてもらうため、可能な限り多くの人や場所との出会いの機会を提供する。その機会の中には、SMOMOの記事をつくる取材活動もあり、より深くまちを見つめることができる。

発見と感動の連鎖が、南小国町の関係人口を着実に増やしている。

記事をつくるとき、かじちゃんが大切にしているPOINT

❶インタビュー→撮影の順で。

インタビュー→撮影の順で。

先に話を聞いておくと、場所の全体像や撮影ポイントがわかり、無駄がない。このお二人はキャンプ場『蔵迫温泉さくら』オーナーのご夫婦。じっくり話を聞いた記事は大反響を呼んだ。

❷相手のおすすめを押さえる。

相手のおすすめを押さえる。

取材相手が気持ちを込めてつくっているものは必ず押さえる。相手にこちらを信用をしてもらい、心を開いてもらうことにもつながる。写真は『吉原ごんべえ村』イチオシのドームサイト。

❸読者目線でわかりやすく。

読者目線でわかりやすく。

常に「自分が読者だったら、どんな疑問を持つか」という視点を忘れない。場所の紹介でも、そこへ行くときに迷いそうな道のポイントは、現場写真に矢印を入れてていねいに紹介する。

❹楽しんでいる様子を入れる。

楽しんでいる様子を入れる。

自分が体験し、楽しんでいる写真を入れる。同行者がいる場合は構図を決めて撮影をお願いし、一人のときはセルフタイマーで撮影。「もちろん、最初は恥ずかしかったです」と梶原さん。

かじちゃん思い入れSMOMO記事4選

「こわけランチ」を紹介。

「こわけランチ」を紹介。

記念すべき初めて書いた記事。1500円の手形で、加盟店のうち3店でランチを少しずつ食べられる。観光客にいろいろなグルメを楽しんでほしいという取り組みを紹介記事にした。

パワースポット「押戸石の丘」へ。

パワースポット「押戸石の丘」へ。

南小国町のパワースポット、押戸石の丘。一面の草原の中の巨石群は絶景中の絶景。ここを保全するNPOのスペシャリストに聞くかたちで原稿をまとめたが、歴史などの執筆に苦労した。

「ふるさと納税」について、町長に聞く。

「ふるさと納税」について、町長に聞く。

南小国町の「ふるさと納税」について髙橋周二町長(写真)にインタビューし、寄付金が学校や関連事業などで使われる現場にまで取材に行った。使用目的は毎年変わるので年ごとに更新。

「かじマックス」で動画デビュー。

「かじマックス」で動画デビュー。

マックスさんと組み、「かじマックス」として動画も制作、YouTubeで配信している。第2弾は秘境「マゼノ渓谷」を紹介。臨場感と笑いに満ちていて、人気コンテンツになること間違いなし。

『SMO南小国SMOMO』編集長・梶原麻由さんに聞きました。

Q:関係人口が増えると、地域はどう変わる?

A:喜び合う関係が自然にできる。

新鮮な目線で相手のすごいところを発見でき、褒め、相手が喜ぶことで自分もうれしくなる関係が自然に生まれます。

Q:関係人口を増やすコツは?

A:資源を発掘し、それを表に出す。

地域ならではの資源を発掘し、表に出す。「おもしろそう」「ウケそう」というだけでなく、自分自身が感動したものを選ぶことが大切です。

記者の目

関係人口の現場を取材して。

「そこにいる人の元気さは、まちも元気にする」。かじちゃんに会って、そんなことを感じました。いるだけで周りが明るくなり、人や地域のよさを高テンションに表現できるかじちゃんがいれば、まち全体が元気に見えて、人も集まってくるはずです。

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